1話
これは
"本を好きになった女と本を好きになった女を好きになった男"
のちょっぴり不思議で心が暖かくなった図書館でのお話
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私、中村玲音
産まれも育ちも東京だったのだけれど中学の頃にお父さんを亡くし、母が女手一つで私を育てるのに困難になり、高校1年の夏休み前に少し土地が安いという事で、千葉県勝浦市に越して来た。
別に東京までそう遠くはないのだけれど学生って事もあって当時アルバイトもしてない私は東京に行く事すら困難な状況にあった。
家から徒歩10分もかからない所に海があり凄く開放感があるのだけどこっちに来て間もない私は学校で友達も出来ずにいて辺りの環境にも馴染めずそして、本当に周りに何もなさ過ぎてどうしようもなく暇だった。
今は丁度夏休みで海には人で溢れていた、
私は日焼けしたくないのでなるべく家で扇風機にあたりながらゴロゴロと漫画を読んだりする毎日だった。
すると1階から聞き慣れた声が聞こえてきた
「ちょっとぉー玲音ーお使い頼まれてくれるー?お母さん今手が離せなくて」
母、中村暁美
二十歳で私を産んでるので今は35歳位だろうか?あまりそこら辺気にしてなかったけどそんな事はどうでも良いと思わせてしまう母の天真爛漫さが内心凄いと思っている。
お父さんを亡くしても私の前では悲しんでる姿を見せずにいる。
本当は凄く辛いんだと思う、でも表情に出してしまうと余計に辛くて明るく振舞っているのかも知れないと感じる私はあえてこの事は触れないようにした。
それが私にとっての最大の親孝行だと思う。
「えー今忙しいからー」
正直、この町に来てから忙しい事など何一つ無い。
「何言ってるのよ、どーせ漫画とかアニメとかしか見てないでしょうがっ!お願い!アイス買ってきて良いから!」
「、、、もぅーしょうがないわねぇー、よいしょっと」
と、だるそうに重い腰を上げるがアイスにつられてしまう所はやはりまだピチピチの高校生だなって自分も実感してしまう、、、
いつもノースリーブに垂れたデニムパンツ、外に出る時は深々とキャップを被るのが玲音の定番となっていた。
「これでよしっと!」
外出するまでの準備時間、約20秒。
いくらなんでも女子高生と言えどメイク合わせて1時間はかかるのだがメイクにもファッションにも興味を持たない玲音は殆んど男子に匹敵する程の準備時間であるのでよく男子生徒からは男女と呼ばれる様になっていった。
「まぁたアンタその格好?たまには女性らしい格好しなさいよね?」
「うるさいわね、別に良いのよ!楽が1番っ!てー忙しいってただドラマ観てるだけじゃないっ!」
玲音は2階の自分の部屋から1階のリビングに行くと暁美が煎餅をボリボリ食べながら韓国ドラマを観ていた。
「いいじゃない、今回の話で大きく展開が変わるから見逃せないのよっ!」
ここは田舎なのでまだ録画内臓機能を持たないテレビの家庭はそう少なくはなかった。
「もう、しょうがないなぁー、で?何を買ってきて欲しいの?」
すると暁美がよしよしと言わんばかりに立ち上がりゴソゴソと1枚のチラシをを持ち出して来た。
「これこれ、新しくスーパーが出来たんだって、そこで卵の特売を今日やるみたいなのよーだから、ね?」
「ね?じゃないわよ!これ自転車でどう頑張っても30分はかかる所じゃない!」
「なぁに言ってんのよ、玲音なら15分位でしょ?」
「ま、まぁーとばせばそれ位だけど、、、」
「それじゃ、お願い、ね?」
「もぅー、、、」
結果15分位かかるスーパーまでアイス1つでパシらされる事になった。
まぁ普段何もしていない女子高生にしてみればたかが15分の所でアイス1つが割に合っているという所だった。
「ったくー卵の1つや2つ位で何で私が自転車こいで行かなきゃならんのじゃー!」
そう言いながら坂を上がっていく
東京に比べて平坦な道が少なく、どちらかと言うと坂道のが多くて登っては降りて登っては降りての繰り返しの道が多い。
"まるで人生の様ね?"
最初に勝浦に来た時に暁美が自転車の後ろに玲音を乗せて漕いでる時に笑いながら言った言葉を今でも思い出す。
坂を女性1人後に乗せてても簡単に自転車を漕いでいく姿はたくましい、玲音より遥かに暁美の方が力は上だった、やはり母強し!
「気持ちぃぃぃぃっっっ」
登りの道が終り下り坂道を両足いっぱいに広げて下って行く、ここら辺は車すらあまり通らない道なのでブレーキの心配はそう要らなかった。周りは田んぼに囲まれており車が通っても遠くの段階で見えるので安心だった。
そして坂を下り終えしばらくペダルを漕いでいくと玲音はいつもと違う風景に気付く
「あれ?なんだろーあんな所に古い建物が、あんなのあったっけ?」
家と家の間に細い石段がありよく見ると上の方に古風な建物の屋根が見えた。
玲音は興味本位か自然とその石段の方へ向かった。
「まあ、ちょっと位寄り道してもいいよね?っと」
石段の端に自転車を置いて一段一段登っていった
すると西洋風の建物の全体が見え始めた、
よーくみると皇綺羅図書館という看板が建てられていた。
「へぇーこんな所に図書館なんてあったっけ?聞いたことも無いけど随分古い建物らしいし、、、ちょっとだけ、、、いいよね?」
玲音は昔から好奇心旺盛な子で気になったらすぐ行動におこしてしまうのだった。
「図書館だからやっぱり静かに入らないとね、、、」
玲音は忍び足で玄関から入室した、
傍から見ればただの泥棒にしか見えない位怪しい体制で部屋へと入っていく
中は外見からは想像がつかない位広くて洋書や古書など様々なジャンルの本が並べられていた
玲音はふと気付いた、この図書館には誰も人が一人もいないのだ。
「なんか不思議、誰も居ないのに暖かい感じがする、ま、待ってれば管理人さん位は来るでしょ」
そう言って玲音は本をあさりだした
「へぇー童話とかもあるんだー懐かしい!あ、これ泣き虫な怪獣の話のやつ」
玲音は泣き虫怪獣を手に取り近くの椅子へと腰を下ろした
懐かしさのあまりか自然と口元が緩む
童話は殆どがイラストになっておりあっという間に読み終わり気が付いたら4冊程手元に置いて読書に夢中になった、、、
「お客様?、、、お客様?」
「んーなになに、、?」
どうやら玲音は気が付いたら寝ていたのだ
目をぼんやり開くとそこにワイシャツにスラットしたズボンをはいた20代半ば?位の男性が立っていた。
どうやらここの図書館の管理人さんらしい
「あ、すみませんっ、その、あのー、えーとーごめんなさいっ」
玲音は慌てて開いてた本を閉じ椅子にかけてあった上着を着た
「いえいえ、ゆっくりしていってください、ここにお客様なんて珍しいので私も嬉しいのです」
「あ、ごめんなさいっ素敵な図書館だなって思って気が付いたら入ってました!」
すると管理人はニコッと広角を上げ玲音に一礼した
「申し遅れました、私この皇綺羅図書館の管理人をやってます鏡野 颯人と申します」
さっきは眠くてハッキリ見えなかったのだがかなり顔立ちが良いスラッと体型で今で言うイケメンって感じの管理人がそこに立っていた。
「え、、えーー、、あー、、その、、すみばせぬっ!!!」
そう言って玲音は慌ててバッグを持って外へ出た
「まさかあそこまで綺麗な顔立ちの人が管理人さんだと思わなかったーてっきりシワシワのお爺さんかと思ってたよー緊張し過ぎて思わず外に出てしまった、、、」
外は夕日が出ており玲音の顔を紅く照らし出した。
と、ここでふと本来の目的に気付いた
「あ、やばいっ今何時?」
そう言って腕時計をみた、夕方四時半になっており図書館で2時間は寝ていたのだった
「やばい!お母さんに怒られるっ」
慌てて石段を降りて自転車の鍵を外してまたがった、、、
ふと振り返り図書館を見上げた
そこには洋風の建物がまるで火事にあったかの様に紅く、そして綺麗に照らし出されていた。
「わぁー綺麗ー!また明日来てもいいかな?」
ふと脳裏に先程の図書館の管理人の顔が浮かんだ
玲音は少しにこやかな表情でスーパーまで自転車を漕いで行った
続く
初めましての人は初めまして、おかぴ先生です。
今回2作品目となりますがもう1作品の『あくまで悪魔さま』も引き続き書いていきますので楽しみにしててください。
まず、ビックリされる方も多いと思いますがあくまで悪魔さまとは全然違う恋愛小説になっております、僕自身結構、青春恋愛小説みたいなのを読む事が多いので一度は書いてみたいなと言うのが昔からありました。
とあるきっかけで脳裏に物語が浮かんできて気が付いたら中村 玲音と言う女の子の物語を書いてました。
あくまで悪魔さまに比べてこちらの方が短い期間で終ると思いますが(夏の季語が入ってるので)、と言うか終わらせないといけないので夏の間に書き終えるように頑張りますね。
(内心必死)
ここまで見て頂いた方々、長文失礼致しました。
おかぴ先生




