元カレふざけんな!
ふざけんなくそっ!ふざけんなくそっ!
そう言って壁床天井に至るまで手足届くもの全てに喧嘩を売る女、デカ山デカ美は今大きな魚を逃したばかりだった
「やっぱ、別れよう」
朝起きたら、そう彼ピからラインでメッセージが来ていて、返信しようとしたら、もうブロックされていたのだった
このメッセージが来た時のデカ美の反応は、悲しいではなく、悔しいだった
くそっ!後一歩だったのに!!
というのも、別れの兆候はあった
それはデカ美が、焦って結婚を迫りまくったからである
身体の大きさに関しては受け入れてくれた彼だが、結婚圧の大きさまでは受け入れてくれなかったようである
久々の巨漢受け入れ彼氏に調子に乗ってしまったのがデカ美の敗因である
真ん中にデカデカと結婚しよの文字が書かれている、ゆうにLLサイズはあろうTシャツに、洪水のような涙をつけながら、怨嗟のこもった捨て台詞を吐く
くそっ!くそっ!くそっ!
勢いに任せて暴れまくったせいで携帯がどこかに飛んでいってしまった
部屋もめちゃくちゃになってとても人の住む場所ではない
かと言って今の気持ちで部屋を片付ける気になどならん
デカ美はドアを蹴破って外に出た
季節は夏、猛暑の暑さがデブの身体には堪える季節だが、もはや部屋に戻ってもエアコンは亡き者だ
とりあえず涼める場所に行こう
歩くこと10分
駅前にある行きつけのパチンコ屋に着いた
とりあえず台に座って気付く
あれ、財布ねぇじゃん
くそっ!なんてついてねぇんだ!
台パンをしたい気持ちをグッと抑えて、このやるせなさを発散するために、とりあえずズボンのポケットに入ってたタバコに手を出す
しかし、またしても気付く
くそっ!火がねぇ!
ついてねぇな!!!
クソすぎて涙が出てきた
すると、唐突に背後から声がする
「大丈夫ですか? おねぇさん」
ん?
何やら若い男性の声が…聞こえたような…!?
振り返ると、あら素敵、シュッとした出立ちの若い男が火をつけてくれようとしていたのだ!
「あ、ありがとうございます!!!」
あまりの少女漫画的展開に、加えたタバコを落としそうになるのを堪えて、緊張のあまりワナワナと震えたタバコの先に火をつけてもらう
なんだろう、火の付け方がすごく優しい
この男、見た目だけじゃなく、所作もイケている!
「どうして泣いてるんですか?」
男が聞いてきた
そらそうか、汗か涙かわからんけど、ビッショビッショの体でパチンコ台の前でえんえん泣いてたら、そら誰でも気になるだろう
わたしはことの経緯を全て話した
「…つらかったですね……」
「うん、わかってくれるの?」
「当たり前ですよ…そんな悲しいこと見過ごせるわけないじゃないですか!」
いちいち、きゅんきゅん来るなぁ
好きになっちまうじゃないか!
「ところで、この後お時間ありますか?」
「/////えっ!? それって!?」
「ちょっとお茶でもどうかなって? 僕、実は気になってたんです。あなたのこと」
ズッキューーーーーン
デカ美の、新しい恋の物語は、意外な形で幕を開けようとしていた(?)




