表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/46

16.メニュー全部覚えてる説

「やっぱりカレーも捨てがたい」


 だが洋介の口からついて出てきたのは、飽きるほど食べているはずの定番メニュー。


 意気込みばかりで習慣を追い越せない。結局「食通宣言」もそう長くはつづかないかも。


「こっちにも見せろ」


 洋介の手からメニューを抜き取った。その国ごとの言葉で書かれているメニューの文字の下に、読み方がカタカナで書かれている。たとえばSOUTHEN FRIED CHICKENは南部風フライドチキン、VICHYSSOISEはヴィシソワーズ、CEASER SALADはシーザーサラダというふうに。


「兄ちゃん、メニュー全部覚えてるんじゃないの?」


 胸が早鐘を打ったのがわかった。思いもよらぬことを言われて、身体がふつふつし熱くなり、周りの騒音が遠のいていく。


「わざわざ覚えてるわけないだろ、新作も出てるのに」


 ぼくの顔からは汗が浮いているにちがいない。


 洋介が何を知っているというのだろう。父さんと母さんのレシピのメモをこっそり読んでいることや、ためしに作ってもいるという、うちのメニューととぼくの内緒のつながり。  


 洋介がそんなに鋭いというのか?


「そうか。そういわれてみればちょくちょく新しいのも出てるだろうし、全部を把握してるわけじゃないよな。なんとなくでメニューを開いたけど、よく考えたらいまさら見なくてもいいじゃないかって思ったよ。でも新しいのが出てることを忘れてたな」


 何か気になる思いが胸に残った。動悸。鼓動。先ほどの比ではない。洋介が自分の知っている人物ではないという感覚とでもいうか。


「ってことはお前、全部メニュー覚えてるのか?」


 洋介は小首を傾げて、


「覚えてるだろ。いつからここに通ってると思ってるの」


 なんとも不思議そうな顔をしている。それで当然、兄も、メニューなんて見ずとも、覚えているもんだろうと思ったのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ