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百話厭説  作者:
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14/20

014.屋根裏の古物

「あの……これなんですが……」

 目の前に座る男は、慣れない正座に足をもじもじさせながら、その古ぼけた箱をこちらへ寄せた。

「開けてもよろしいですか?」

「ああ、はい、お願いします……」

 私が箱に手をかけると、彼は反射的に目を背けた。ずいぶんと怯えた様子だ。


 カタッ、と乾いた音を立てて、木箱の蓋はすんなりと外れた。


 中に入っているのは古い雛人形のようだった。女雛・男雛と書かれた小さな箱が、入れ子のように納められている。

 取り出して良いか、男へ目配せすると、どうぞと掌で返された。


 慎重に箱を取り出す。薄く積もった埃がふわっと舞う。


 蓋を開けると、書付通り古い雛人形の姿があった。


「こちらが、屋根裏で見つかった、と?」

「はい……」

「念の為、経緯を教えていただけますかな?」

「経緯、と言いましても……雨漏りがあったもんで、屋根裏に上ってみたら、隅っこにこの箱が置かれていまして……箱の周りには埃が積もっていて、ずいぶん長いことそこに置かれていたようでした」

 男は『話は以上』だと言うように肩をすくめてみせた。


「ずいぶん古そうな物ですが……お宅は古民家か何かで?」

「いえ、新築です。今年建てたばかりの」

「え?」

「建売じゃないんで、建築中もずっと見てたんですがね……。いや、いつこんなものを……誰が、どうやって運び込んだのか……」


 男はずずっとにじり寄って、囁くような声で言った。


「あの……住職。この人形だけじゃなくて、家の方もお祓いしていただいた方が良いですかね?」

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