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一学期が終わりました!

期末考査が終わり、あっという間に一学期の終業式となった。

体育館での式を終えた私は、席について一息ついた。



「ふぅ……」



体育座りはなかなかに疲れる。

しかも式結構長かったし。

私はそう思いながらも一学期を振り返ってみた。



始業式で頭を打って、前世の記憶を取り戻して、五条日和に転生したことに絶望して……

でもそれほど悪いことばかりじゃなかった。

前世の記憶を取り戻したおかげか、ヒロインの朱里ちゃんや攻略対象の桐生君や阿久津さんと仲良くなれた。

流星とも――



『――良かったな』



初めて見せる彼の優しさに戸惑う自分がいる。

心の中ではいけないと分かっていても、ついつい流星のことを考えてしまっている。



悪役令嬢として転生したときはどうなることかと思ったけど……。

無事にここまで来れてよかったなと思う。

変な気を起こさなかった自分を褒めてあげたいくらいだ。



しかし、油断はいけない。

何故なら悪役令嬢・五条日和のヒロインに対する嫌がらせが始まるのは二学期からなのだから。



この乙女ゲームは高校二年生の始業式から始まり、三年生に進級する手前――終業式で終わる。

一学期はただただ攻略対象と仲を深めるだけの時期。

そして二学期は順調に仲を深めていく二人に恋の障害が立ちはだかる時期。

まぁ、その障害というのが私五条日和なのだけれど。



嫉妬に狂ってヒロインに対する嫌がらせを繰り返した挙句に断罪されてしまうのよね。

ヒロインを意図的に孤立させたり、陰口を言ったり根も葉もない噂を流したり。

それはもう陰湿なことをしていた。



ゲーム内では、学園を退学になった日和のその後は描かれていない。

彼女はあくまでも悪役令嬢。

ヒロインとヒーローの恋の当て馬に過ぎないのだから。



そして問題は、ヒロインの朱里が流星ルートに入っているということだ。

体育祭の借り人競争で「黒い髪の人」というお題が出たということは間違いなく流星ルートだった。

私は前世で何周もこの乙女ゲームをプレイしていたが、あのお題が出るのは彼のルートだけだったから。



……だからこそ、怖いのよね。

私はヒロインの朱里とメインヒーロー・流星の恋を応援するつもりでいる。

だけど、もしかしたら乙女ゲームの強制力というものが存在するかもしれない。

それが最も恐ろしかった。



しかし、二学期がまだ始まってもいない今からそんなことを考えていても仕方が無い。

まぁいいや、今は目の前にある夏休みを満喫しようっと!

そのときちょうど担任教師が教室に入って来た。



「夏季休業の課題を配布する」



か、課題の存在忘れてたー!

これはとんだ誤算だ。



それからすぐに、それぞれの科目のワークが配布された。

これを全部やらないといけないのか……!



せっかくの楽しい夏休みが台無しだ。

まぁ、大学受験も近付いてるししょうがないのかな?

狼狽していると、こちらをじっと見つめていた流星と一瞬だけ目が合った。



「……!」



何だか恥ずかしかったからすぐに逸らした。

でも彼がそんな私を見て一瞬だけ微笑んだように見えたのは気のせいだろうか。




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