ある日突然に0001
ジリリリリリッ!!
けたたましい音を立て目覚ましが鳴る。
朝か…
昨夜も残業にて、家に辿り着いたのは午前様。
一応は大企業と名が通っている親会社の関連会社…まぁ、子会社なのだがな。
真っ黒黒助なブラックさんでしてな。
非常呼集とやらで休日の呼び出しや、下段日などと名付けた強制残業日などは当たり前。
朝8時前から深夜に至る業務にサービス残業…
昼や夕方の休み時間が失効する事も…
余りのブラックさを思い出し、逆に笑えてしまうな。
不況でなければ転職に至るだろうが…
生憎、今の世の中は大不況時代。
「1億皆幸せ」などと幸せな頭な阿呆が告げるほど幸せである筈も無い。
ボヤける頭にて、そんな事を衝動的に思いながら、ベルを止める為に時計へと手を伸ばす。
いや…
手を伸ばしたのだが…
何故に手応えが無い?
不思議に思い、目覚ましへと伸ばした手を見るとだ。
……… ……… ………
!?
なにぃ!?
時計が触れない、だっ、とぉ!!
うん。
あれだ。
あれ。
寝ボケているのか…
いや。
夢か?
取り敢えず、顔でも洗うか。
そう思い洗面所へと。
春先にて少々暖かくなってきた季節。
洗面所と風呂場への扉は開いてある。
乾燥するから、ワザと湯船に水を軽く張って扉を解放している訳なのだが…
そのお陰と言うか、何と言うか…
扉の開け閉めを行わずに洗面所へと至った俺はだ。
そこで、驚愕の事実に遭遇する事に!
先ずは蛇口のハンドルを回そうと…
いや。
回そう…
っか…
何故にハンドルが掴めない?
己が手を、シゲシゲ眺め、考える。
ってか。
んな、阿呆な事をしながら…
ふと流し台に設置された鏡を見る。
冗談でもイケメンとは口が裂けても言えない我が顔が…
写って…無い、だっ、とぉ~
はぁぁっ!!
自分の頬を抓る。
痛ひ。
ふむ。
痛みを感じるとは…
妙にリアルな夢であるな。
ははっ。
夢ならば、もう一度ほど寝直すか。
そんな事を思いながら寝室へと。
寝室へと戻り布団へと。
万年床の煎餅布団が俺を出迎える訳で…
っか…
おまっ、誰っ!?
誰かが、俺の布団にて寝てやがる。
何しとんの?
人の家に上がり込んで、尚且つ俺の布団にて休むなど、言語道断!!
なんと言う、不埒な野郎だっ!
下郎!!
そこに直れっ!
成敗する為、キャツの近くへと至り、そヤツの顔を視認した訳だが…
俺の顔と、瓜二つでした。
はぁぁっ!?
何事ぉっ!!
っか、コヤツ…誰!?
兄は居るが…
兄貴は、これ程までに俺と似ていない。
俺のソックリさん?
取り敢えずだ。
近付いて、そぉっとヤツを、触ってみる。
字余り。
じゃ、無くて。
んっ?
触れん。
なじぇっ?
っか…
蒼い顔で…
いや、白い顔?
身動ぎ1つしないんですが…
もしもぉ~しぃ。
生きてますかぁ~
っか…
あんるぇ~
生きて…無い…よね、コイツ。
つまり…
死んでる?
へぇっ!?
し・ん・で・い・る?
まじぃぃぃっ!?
何で、俺の部屋で、俺の布団で寝て、死んでんのさっ!
おかしくねっ?
しかもだ。
俺とソックリさんって…
んっ?
んんんっ!?
俺と…
ソックリ…さん?
今の俺、周り全てを、触れない。
いや、しかし、まさか…
そんな筈は…
でも…
鏡に己の姿が写し出されなかったよな。
っう事は…
アヤツは俺で、俺も俺。
どう言う事かと言うと…
うん、夢だな、夢。
現実逃避ですが…なにか?
いや。
分かってんだよ。
いやいや。
理解したく無いけど理解したさ。
俺…
死んだのか…ね?
認めたく無いものだな。
己の死と言うものは。
気取って言っても現実は変わらない訳で…
うん。
俺…過労死しました。
笑えん!
俺は花の独身貴族。
何処が貴族やねんなっ!
完全に社畜やんねっ!!
独身奴隷が正解やん。
こんなんで死にた無いわっ!
んでな。
今日は出勤日やねんな。
つまりはだ。
未出勤、俺への怒り、電話鳴る。
知らんがなっ!
オラ、死んでんべさ。
オラ、会社さ行くさぁ~
会社さ行くさぁ~
死んでるから無理さぁ~
シフトに、穴さ空けて、課長が激怒するだよぉ~
ってかっ!
え~っと…
思わず、取り乱しました。
仕方無いべさ。
っか…
どないしょ~
取り敢えずはだ。
現段階にて、出来る事を調べますか。
その方が建設的だもんな。
現実逃避とも言いますが…
なにか?