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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-8話】微かな疑問

 アリアの後ろに、黒い影が見えた。

あれは人ではない、“安全と判断していいものではない”、と私の脳内では警告の鐘を止まず鳴らしていた。

(……なんで?)

その中で、メリアが疑問を抱いていたことがあった。

それは、――魔力探知に一切反応が無いことだった。

なぜなら、メリアは戦闘時の後数分は、魔力探知を続けている。

今回も、戦闘が終わった後だったので魔力探知を展開していた筈だ。

というより、完全にしていた。

その証拠に、魔力探知がアリアに反応している。

(…精霊なのに?なんで?)

少し錯乱状態になっていたが、取り憑いた精霊はメリアを待つことなく壁へと追い詰める。

一旦考えることを止めて、メリアは直ぐに攻撃の準備をする。

すると、取り憑いた精霊側から攻撃が見られた。

氷属性の魔術だ。

「取り憑いたら魔術も使える…?」

口に出しながら、学園の校舎の柱から柱へ走り、メリアは全力で思考を回す。

(もう、一か八かっ…!)

「―水魔術、第75章、天の冠水。―」

手を伸ばし、水魔術の詠唱をする。

メリアは、自分が1番出せる速さでアリアに近付く。

あと少し、のところだった。

アリアの背中に黒い影は張り付き、吸収されるかのようにアリアの身体へ入っていった。

「くそっ」

小さく呟き、メリアは攻撃を容赦なくアリアの身体へと突っ込む。

その寸前に、アリアの身体は流れるように後ろに下がり、華麗に着地する。

(…っ)

メリアも1歩下がった辺りに着地すると、アリアの顔を見た。

『…取り憑いた…の?』

アリアの片方の瞳は淡いオレンジを放っていた。

立ち振る舞いも、やけに上品でアリアとはかけ離れた様子だった。

アリアの身体に、精霊が取り憑いたのだ。

メリアが言うと、取り憑いた精霊はアリアの声で言った。

「さぁ、どうでしょう?」

その声に、メリアは目を尖らせた。

「…容赦しないぞ」

メリアの目を見て、精霊はアリアの顔で微笑んだ。


――「…えぇと、ラウィーヌ。ミレさんのお兄様が精霊に取り憑かれたらしいのですけど、ご存知――」

「えぇ、とっくに承知の上ですわ」

エイラの声を遮るように、ラウィーヌは答える。

(…今日、なんだかラウィーヌの調子が可笑しいわね…?)

エイラはラウィーヌの様子を細かく観察する。

そして話を続けた。

「…最近、精霊の取り憑きが多いわね」

このフィーライト王国では、この時期当たり格段に精霊の取り憑きが多くなる。

しかも、この国には精霊の住む森も多いので、その件数も多い。

だから、別に精霊の取り憑きなんて半ば当たり前のようになっているのだが、エイラの言っていることは違う。

「この学園も、既に取り憑かれたのが12名。…だいぶ緩くなったわね。今までは1人なるかならないかぐらいだったのに」

エイラの言う通り、レイランド学園は魔術師育成学園ということもあり、

「…今回はわけが違うのよ」

「…?わけが違うってどういう――」

その後の言葉は出なかった。

正確には、言葉が詰まった。

エイラは悟ったのだ。

(…あぁ)

しばらくしてようやく、エイラはそのことについてを口に出した。

「特段に強敵な相手がいる、そういうことでしょうか?」

「…さぁね」

ラウィーヌはそう言って、青空が広がる空を見て、直ぐに目を瞑った。

「今年は一筋縄じゃあ行かないかもしれないわね」


――一方、メリアは精霊と綺麗な相打ち状態になっていた。

どちらも引くこともなく、激しい攻防を狭い廊下で繰り広げる。

しかし、相打ちになっていても、メリアは普通の見習い魔術師より少し上の位に位置しているだけであって精霊を制圧出来るほどの力はない。

出来ても深手を負わせることぐらいだ。

(…1人じゃあ、実践の授業の時間ぐらいしか体力が持たないし…っ)

「く…っ」

魔力の光線を結界で防ぎながら、メリアは思考を巡らせる。

(…っ。せめて誰か来るくらいは…)

メリアは辺りを見渡した。

次の瞬間、メリアは一瞬思考を止めた。


――(…なんで皆は私達の攻防に騒ぎを立てないの?なんで建物に一切の損傷がないの?なんで“何も無い”の?…それに――)


こんなことを考えているメリアの姿を、精霊は見逃さなかった。

メリアの無防備な姿に気付いた精霊は、メリアに向けて間無く次の攻撃の準備をする。

そこまでの間で、メリアは1つの結論に至った。

そして、メリアは呟いた。

「…!」

突然に頭に走ったその答えに、メリアはとある詠唱を始める。

「―風魔術、第91章、そよ風の囁き。―」

特に干渉魔術や操作魔術に秀でた詠唱をするんでもなく、メリアは基本魔術の詠唱をする。

通常、この攻撃は魔術で生み出した風を刃に変え、相手に矢の先端に付いている鏃のように、相手の動きを封じる為に使われる。

しかし、メリアはそれを逆手に取り、攻撃ではない方法に使用した。

メリアは、余計に風と矢に魔力を乗せて矢を生成する。

次に、メリアは相当の威力を持つ風の矢を、見えない壁に向けて放った。

「――」

想定通り、見えない壁――結界を壊したメリアは結界の直ぐ外にいる人物の名前を叫んだ。

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