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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-7話】油断大敵

 時は戻り、アリアとメリアが再開した頃。

アリアがようやくメリアの言葉で我に返ると、反対にいるレジリアへ身体を向ける。

(…操られているっていうことは…。多分、これは精霊の取り憑きってこと?)

体制を整え、アリアは再び考え出す。

その時、隣にいるメリアは続けて言う。

『大丈夫、これは全部演技って言ってた。この乗っ取ってる精霊も多分だけど、本心じゃないと思う』

「演技?どういうこと?」

アリアが訊ねる。

だが、その答えを聞く前に目の前のレジリアが話し出す。

「そこ、2人でこそこそ作戦会議しないでね。僕と君達じゃあ1対2で圧倒的僕が不利なんだからさ」

『…』

「…」

メリアとアリアは、どちらも一言も発さずにその場に身構えの体制を作り、10秒程たった後やっとアリアが口を開く。

「そういうことなら、私達の方がよっぽど不利なんだけど?」

「そうは見えないなぁ…?」

薄気味の悪い笑みを浮かべるレジリアの身体に、アリアは訊ねる。

「…なら、正々堂々と戦って私達が勝ったらさっさと消えてくれないかしら?」

アリアの提案に、精霊は口角を上げる。

「…うん、いいよ」

そう答えた瞬間、メリアは杖を生成し、レジリアの喉に突き立てた。

「―闇魔術、第142章、漆黒の闇霧。―」

詠唱を終えると、レジリアの周りには真っ黒な霧に包まれる。

目眩しのためだろうか、とアリアはメリアを見た。

すると、メリアは信じられないものを見るように目を見開き、言った。


――「こいつは、“あの人”の使いじゃないっ!」――


――「ちぇっ、やけに精霊が騒がしくしてこっちに来てたから何か絶対にあると思ってたのに。ハズレかよ」

蔓に縛り付けられた光の精霊は言う。

アリアはその精霊を軽蔑した目で見て、メリアに言う。

「…ということは、メリア。こいつはマリアーンの使いじゃないのよね?」

メリアは首を縦に振り、答える。

実は、メリアはマリアーンからこういったことを言われていたのだ。


――「今この学園にいる精霊ほぼ全ては私の使い。この学園の1人たりとも危害を与えないから。そう約束する。だから、アリアにも伝えておいて」――


この伝言は、メリア、そしてアリアがマリアーンの友人である為に、伝えられたものだ。

アリアはこの言葉を受けて、メリアに向かって言った。

「――分かった、任せて」


――「こ、これで終わりでいいの、メリア?」

アリアが額から垂れる汗を拭いて訊ねる。

メリアはレジリアの身体から離れた精霊を見ると、軽く頭を下げた。

すると、精霊も礼儀正しく頭を下げてその場を去っていった。

精霊を最後まで見送ると、メリアはアリアの質問に答える。

『うん、大丈夫…な筈』

「なら大丈夫そうだね」

ふぅ、とアリアは息をつく。

「突然に言われたから、少しびっくりしたけどさ。…マリアーンが言ったことなら、……まぁいいや」

マリアーンの訃報は、学校内だと家族の事情での退学扱いになった筈だが、アリアは大体のことは察していたのだ。

『ありがとう、アリア。信じてくれて』

「別に、友達の話なら聞くのが友達でしょう?なら、聞かなきゃ失格じゃない?」

『…それも、そうだね』

「…レジリアは、操られてただけなの?」

『分からないけど、ウルディア様の情報が正しいなら合ってると思う』

メリアが答え、アリアの表情を確認すると、アリアはメリアの肩を硬く掴む。

「……ウルディア様?あの最高魔術師の?」

『あ、う、うん…』

「…」

アリアは拳を握り締め、興奮気味にメリアに問う。

「何を話したの?!魔術の光の原理?それとも屈折した光の魔力の増加量について?!」

『…えっと。精霊の取り憑きについての情報をすれ違い様に聞いただけだけ…。なんだけど?』

メリアは、アリアと合流する前にウルディアと歴史修復記録人の3人と会っていた。

いや、正確にいえばメリアが言っていたように、唯すれ違ったときに囁かれただけであった。

メリアがあはは、と苦笑いを作ると、アリアは見るからに悔しそうな表情で言った。

「あのウルディア様だよ?!滅多に外に顔を出さないっていう、あのウルディア様だよ?!」

『う、うん』

アリアの興奮気味な言葉に、メリアは苦笑いを作る。

しかし、このままでは不味いと思ったメリアは、アリアの肩を抑えて言う。

『こ、今度会ったら話、しておくから……。』

「…っ!」

アリアの満面の笑みにメリアが微笑みを浮かべると、アリアは続けて話し出す。

「…そういえばだけどさ、メリア。マリアーンの使いの精霊の魔力反応平均が近い精霊は分かったんだけど、突き抜けて高い魔力反応がある精霊がいるんだけど――」

その時、メリアは後ろを振り返り、アリアの瞳を見た。


――「ん?どうしたの?」


アリアが言った瞬間、メリアは詠唱を始めていた。


「―水魔術、第75章、天の冠水。―」

メリアが詠唱を終え、掌に小さい水の塊を生成する。

(…えっ?)

アリアは驚いて後ろに下がろうとするが、何故か身体が思うように動かない。

(どういうこと…っ?)

焦っていても、メリアは攻撃を止めようとせずにアリアの胸の辺りまで来たところで、アリアは気を失った。

なので、無事に攻撃がアリアの胸に当たり、周辺には煙が上がる。

メリアはその中でも目をしっかりと開け、小さく呟いた。


――「くそっ」

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