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星が瞬く夜に、願いを捧げます。  作者: 夜花みあな
第10章「悪霊の取り憑き事件編」
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【10章-5話】晴れの下の快挙(サンダクトハント)っ!!

 同時刻、アリアとレジリアは。

「―蔓魔術、第152章、刺し槍蔓。―」

アリアがそう詠唱した後、レジリアの頬スレスレに槍型の蔓を刺す。

少し掠ったのか、レジリアの頬には血の赤い線が入っていた。

(当たらない…?)

アリアがもう一度詠唱をしようとすると、レジリアは抵抗せず話を始める。

「まぁ、まぁ。腹割って話をしようよ。こっちだって事情があるからさ」

「…精霊が話すことなんて、微塵も無いんじゃないかしら?」

軽蔑した目で、アリアはレジリアを見つめる。

それでも尚、気にもしていない様子でレジリアは言う。

「まさか。まだ僕は自分を精霊だと認めてないじゃないか」

「…それに、偽物だとも言ってないし」

(…)

アリアは小さく1歩後方に下がると、レジリアに訊ねる。

「…なら、何を話したいの?」

「なぁに、ちょっとした政治の話だよ」

「政治の話?」

「うん」

首を縦に振って頷くと、レジリアはその隙に2歩前に進む。

そして、あと数歩程度でアリアに手が届く位置に来ると、下ろしていた手を伸ばす。

その時だった。

『アリア…っ』

衝撃音と共に、ある者の気配がした。

「メリア…?」

アリアがその気配の名前を呼んで、一緒に振り返る。

「何でここに――?」

『その人…。いや“それ”からは何も聞かないで…っ』

「…本物じゃないから?」

アリアが自分の信じ切っていた予想を口にすると、メリアはその答えに横に首を振って言った。

『“操られて”いるから――』

「操られている?どういうこと?」

アリアは、今ここにいるレジリアの身体自体が違う、変化したものだと考えていた。

が、メリアはそれを否定した。

アリアの考えが否定されるのなら、言われなくとも答えは出る。

――本当のレジリアの身体の生身自体が操られているのだ。

これが、本当の悪霊の取り憑きだ。

そうアリアは悟った。――


――だが、アリアは後から気付くことになった。

この考察自体、間違っていた、ということを。


その頃、ウルディアとその他3人は。

「ご苦労様。…ところで、お前たちの本業の方の出来は?」

「申し分ない程には」

プルディスティアンが答えると、ウルディアは満足そうに3人の顔を見合せ、微笑みを浮かべる。

「しかし、お前たちの活躍劇、見させてもらったがとても参考になるものばかりだった!」

「…そ、そうですか?」

ナーフェルディアが言うと、ウルディアは目を輝かせ、早口で説明をする。

「まず、精霊は物理攻撃が効きにくいという特徴がありながらも、ナイフで突くという発想は我には到底想像出来るものではなかった」

これは、多分ナーフェルディアの感想だろう。

次に、ウルディアはソルメリドの方を見て言う。

「お前も、物理攻撃という拳の打撃で倒す、というものはとても感慨深いものだった」

2人を褒めた後に、ウルディアはプルディスティアンの方を見る。

なんとも言えない表情をしたかと思うと、渋い顔で説明する。

「あの…、必殺技の名が微妙にダサいというか…。初めてだった。あの技名は」

魔術には、詠唱をする時に少々ダサい言葉を言わなければならないのだが、それよりもプルディスティアンの技名の方がダサかったのだ。


――「晴れの下の快挙(サンダクトハント)っ!!」――


というダサい名だったのだ。

プルディスティアンがなんとも言えない表情で硬直していると、心の声を代弁するように、ナーフェルディアはウルディアに質問する。

「というか、何処で見ていらっしゃったのですか?」

「あぁ、大体は魔力探知で分かってた。最後らへんになったらもう透視の詠唱したけど」

「…そうですか」

プルディスティアンが少し暗い表情で言うと、ウルディアはプルディスティアンの前に立ちはだかり、言った。

「お前、操られかけてるぞ」

ウルディアは、それだけ伝えると人差し指をプルディスティアンの額に当てる。

「―解析、解術魔術。―」

詠唱をすると、プルディスティアンの額はカッと光を放つ。

その間は、プルディスティアンは抵抗することもなく、唯呆然としていた。

ウルディアがプルディスティアンの額から指を離すと、後ろで見ていたソルメリドがプルディスティアンの隣に駆け寄り、その後ウルディアに訊ねた。

「これは、どういうことだろうか?」

「さっき言ったではないか。操られているから治しただけ。それだけだ」

「治した…?この一瞬で…?」

「だから言ったではないか。あれほど…」

ウルディアはやれやれと首を振る。

プルディスティアンは、それを見てこう思った。

(こ、これが最高魔術師の実力っ…?!)

その顔は、とてもと言っていいほど崩れていた。


数時間前、メリアは本を持ったまま、とある場所を目指して歩いていた。

(あそこにいればいいんだけど…)

不安と焦りでメリアの胸がやたらと苦しく、何だか足取りも速い。

胸をザワつかせながらも足を止めると、左手側にある扉の方を向き、大きく深呼吸をした。

そして、自分の出せる声で言った。

「し、失礼ぃいしま…す」

しかし、メリアの頑張りも虚しく散った。

(…ぅう、あぁ……)

メリアの顔は、みるみるうちに赤くなり、メリアは顔を隠して魔術で言った。

『だ、誰もいない…』

「…と、思ってちゃあいけないよ。メリア」

優しい青年の声が、メリアには聞こえた。

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