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第15話 新発見ゲート3

前回のあらすじ:タマキの武器がハイレア級の太刀へと変わりました。

ダンジョン牛を発見し、美味しいお肉を食べました。

解体と調理の重要性を理解しました。

 十分に休み、体が動くようになったところで二人は再びゲートの中へと戻る。

 牛の魔物を回収して以降、倒した魔物は回収しないことにした。既に牛だけで一人当たり5000万P以上の収入があった。

 今回はこれ以上悪目立ちをするのはやめようという事にしたのだ。

 そしてしばらく階層を降り続けていくが、ユウキはこのままだとまずいと感じている。



「タマキ、そろそろ急がないと今日中にこのゲートをクリアできそうもないけど、俺の体力的に急ぐのが無理そう」



 二人はただ歩いて移動をしているだけ。もちろんユウキはスキルを使い続けているという処理的な負担はあるが、先に肉体的な限界が近づいてきてしまった。

 それに対し、タマキの方はまだまだ余裕があった。



「まだ2回目だし、いきなりこんなに深いとは思わなかったわ」



 タマキにしても誤算だった。

 前回初心者ゲートに連れて行って、ユウキは鍛えないとまだまだ未熟と分かっていたはずなのに。新発見ゲートに興味がわき、こんなに深い所迄付き合わせてしまった。ハイレア級の太刀などという強力な武器を手に入れたにもかかわらず、それでもタマキの攻撃すらまともに通じない所まで来ている。

 タマキはユウキの素質判定の結果を当然知っている。

 このままでは、ユウキは体力的な問題でダンジョンシーカーとして遠出ができない可能性が高い。通常の肉体的な修行でどこまでできるか、タマキにしてみれば悩ましい所だった。



「明日にはリセットされてまた最初からになっちゃうんだよね?ゴールは既に感知しているんだけど、もう竪穴ショートカットをできる場所がない」



 二人は既に竪穴ショートカットを2回行っている。



「あとまだ7階下の階が続いているけど、裏技使っちゃう?」


「裏技?」


「床下転移ショートカット。どうも下の階との間の床が薄いところがあるんだよね。正確には下の階の天井が高いところが。そこも通路として考えてショートカットする?」


「縦穴や落とし穴が無くてもいけそう?」


「多分。タマキが短距離転移している距離よりも薄いからとりあえずその場所に行って見ようか」



 ユウキはそういうと、下の階層の天井が高い部屋の真上まで移動した。



「ここなら下の階に転移できないかな?すでに魔物は倒してあるよ」



 タマキは自分でも床下を把握し、転移できる距離だと確認した上でユウキを連れて転移した。



(全体的な構造を把握できれば、こういう事もできるのね)



 タマキは素直に感心した。下の魔物対応も含め、どう見ても自分だけではできないことだからだ。



「上手く行ったわね。行けそうなところはこれで行きましょうか。でも魔物は倒してドロップアイテムを狙いたいから魔石の回収はお願い。強い魔物ならいいもの落としそうだし。私達以外の先頭PTはどんな状況? これなさそうなら宝箱も開けたいわね」


「明日の9時までにここにたどり着くのはまず無理だと思う。そういえば牛の魔物のドロップはこの牛乳だったよ」



 そうしてユウキは牛乳を取り出した。



「飲んでみましょ。間違いなくおいしいと思うわ」



 タマキは自分の収納からコップを二つ取り出した。



「そう言うのも収納に入れているんだ」


「もちろんよ。着替えや宿泊設備も入っているわよ。ユウキは?」


「最近覚えたばかりだから全く。普段は学校の行き帰りでカバンとか入れるくらい。そもそもあまり物を持っていなかったからね」


「いっぱい稼いでいるんだし、今度は好きな物を買いましょうね」


「うん、そうだね。それにしても、やっぱり美味しいね」


「ね。これってドロップはあまりなし?」



 タマキは乙女的に牛乳が欲しかった。

 きっと十分なご利益があるのではないかと思える魔物の牛乳なのだ。今でも大きさにそこそこの自信はあるのだが、もう少し大きくなりたいと思っていた。

 他から見れば十分なプロポーションの美少女なのだが、本人はまだ満足していない。



「あと5本あるよ。でもこの大きさだと直ぐに飲み切ってしまうね」



 取り出した牛乳は、1つ2リットル程度の量だ。



「そうね。そのうち直接絞れるようになればいいんだけど、あれが乳牛かどうかわからないし難しいわね」


「イチゴの魔物がスクロール落とす位だからね。ミルクを落としたってミルクが出るとは限らないか」


「そういう事よ。さて、魔物を倒して宝箱の中身を手に入れながら下に向かいましょ」



 タマキはそう宣言すると、ユウキの案内に従って迷宮を進んでいく。





「この先の部屋に居るのがこのゲートの最後の魔物。ゲートボスとでも言えばいいのかな? その先に宝箱のある部屋がある。同じ部屋に前見たのと同じような球体が浮いているように思えるから、それがコアかな。どうする?」



 ユウキとタマキは最下層の最終ボス部屋の前まで到達した。もちろん途中に魔物はたくさんいたが、ユウキが全て魔石を回収している。

 魔物自体は回収していない。お金の問題ではなく、これ以上強い魔物を持って帰ったらどうやって倒したのかと怪しまれてさすがに危険だと認識したからだ。

 二人はユウキの力を隠そうと決めている。

 当初は自分たちの利益の為であったが、今は知られると厄介なことになりかねないと考えが変わった。既に稼ぎは十分であり、二人の興味は宝箱の中身とドロップ品、そして迷宮クリアに移っている。



「同じように倒された姿だけ見るわ。このハイレア級の太刀でさえ、この階層の死んだ魔物に対して斬れないんだもの。まともに攻撃が通るとは思えないわ。それにユウキの装備も心配だし、安全に越したことは無いわよ」


「分かった。では魔石回収しちゃうね。流石に前のゲートの様にチャレンジしたら大けがどころではすまない気がするし」



 ユウキはそういうと、ボス部屋の魔物の魔石を回収する。



「魔石回収したよ。移動はタマキ任せだし、俺は正に魔石を回収するだけの簡単なお仕事ってやつだね」



 下の階への転移を利用することになってから、移動距離自体が大幅に減ったのだ。それにより、何とかユウキの体力でも最後まで来ることができた。



「全く反則よね、それ」


「ここまで見事に全部の魔物の魔石を回収できるとは思わなかったよ。結局斧は装備もしてないし」


「それについては予想があるのよ、とりあえずボスを見るわよ」



 タマキはそういうと、ボス部屋の扉を開けて中へと入る。



「大きな蜘蛛ね」


「だね。糸とか吐いて動きを止めてきそうな気がする」



 部屋のあちこちに蜘蛛の糸が張られている。この階層の魔物が一回り小さい蜘蛛だったので、大きな蜘蛛のはずだと二人とも思っていた。



「そうね。ユウキ、この蜘蛛の足って収納できる?」



 蜘蛛の足は大きさに見合った十分な太さがある。既にタマキが太刀での切断を試みたが、全く切れていない。



「やってみる」



 ユウキはタマキが切断しようとした辺りを含めて収納しようと試みたが、失敗した。



「ダメだった」


「やっぱりね。いくら何でも簡単に倒せすぎだと思ったのよ」



 タマキはユウキがどこまで倒せるのかを考えていた。

 そしてその途中、一つの予想へとたどり着いた。

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