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◆ドナドナな気分とカラスの約束は巨乳を揉みたいほうだいの巻◆

こんばんわ、今日も美味しい晩御飯を食べたかきくけ虎龍です。

楽しんでいただけましたら嬉しいです。


 ガタリガタリ―っ!


 歯車がかみ合わない車輪は悲鳴をあげるように音をたてていた。


 金属が酸化して錆び付いた黒っぽいえんじ色の鉄格子。


 その猛獣を囲うサーカスの檻のような大きな箱状の鉄格子の土台に円盤状の板材による車輪が六ヶ所。それに車軸を通して動かす。


 動力は像だ、とても大きな像だ。


 長い鼻に大きな耳。


 胴体である肩と腰が盛り上がり背中の少し凹んでいる部分にこれまた巨大なハーネスがつけられている。


 大きな檻はこれまた大きな象に引かれて運搬されながら緩やかな勾配をゆっくりと進んでいた。


 檻の中は希望の灯火が消えた失望感と生きる気力を失った絶望感が溢れかえっていた。


 世をはかなむ者・深い傷を負い瀕死状態の者・ただ、茫然と諦観的眼差しを浮かべる者。


 その檻の中にあって、ひときわこの世の不幸をてんこ盛りに背負ったような煤ぼけた相貌のつくしが青い空を見上げて深い溜息を一つついた。


 つくしの心に渦巻く深淵の孤独と不安。この先の我が身のことを案じると……待ち受けるものは執行人の慰めものになるか………死なのだ。監獄島に広がる不条理な色合いに抗うこともできない非力なつくし。


 つくしは小さな胸の中で慟哭する……誰にも訴えかけず、いい知れない寂寥感とともに。


――ダーリン……逃げ切れたかのぉ、わしの分も幸せに生きてくれ――


 そう願ったつくしは『ひっく』と喉をしゃくる。


 その行為は心の代弁だろう。


 無邪気に透きとおる大空につくしは煤ぼけた顔を上向ける。


 とてもおもいつめた虚ろな瞳はぼんやりと虚空を眺めていた。


――わしはダーリンと添い遂げたかったのじゃ……――


 叶えられぬ想い。


 例え人間と赤貧神とはいえ越えられない垣根などはない。


 子は産めないかもしれない。


 それを補うほどの愛情を注ぐ意思をつくしは持ち合わせていた。


 末席であれつくしは神である。


 神の寿命からすれば短命の人間であるゆうきはつくしを置いて先に天寿をまっとうしてこの世を去るだろう。


 それは承知の上だった。


 だからこそ一秒でも多くゆうきとふれあいたい。


 それを考えただけでつくしの想いが大きくなる。


 そしてその想いが心の中で風船のようにポンと割れた。


 無意識に嗚咽する。とても我慢ができなくなった。


 はらはらと落涙する滴が頬を伝う……持ちこたえていた感情がせきを切ったように溢れ出てくる。


 愛する者のことを想い出すだけで大粒の涙がとまらなくなる。


――わしは逢いたいのじゃ……とっても逢いたいのじゃ――


 そんなつくしの存在が気がかりになり檻の片隅から無骨に撒き散らされた麦藁に横たわる女性が声をかけた。


「つくし殿は生け捕りらされたか、私もこのざまだよ。抵抗組織もかたなしだ」


 横たわっていた妙齢の女性は複直筋の左脇腹、総腸骨動脈のあたりを両手で押さえつけていた。鈍くて重苦しい鈍痛が肉体をむしばむことを押し殺して妙齢の女性はつくしに声をかけのだ。


 静まり返った湖面に落とされた一粒のクリスタルが奏でる波紋を連想させる透き通った眼差し……そんな暖色を含んだ眼差しがつくしに向けられた。


「うむ、傷は大丈夫かや。カマイタチのほのかちゃん」


「ああ、私は大丈夫だよ。わき腹を少しやられた程度だ。子を孕ませるために生け捕りにしたかったのだろう」


 と言うと悔しそうに麦藁が敷かれた床に目を背けた。


「ほのかちゃん、抵抗勢力のほかの者はどうしたのじゃ!? あの者たちは島でも屈強の剛の者たちじゃったな」


 手の甲で『ゴシゴシ』と涙を拭ったつくしは頬に涙の跡を残したままの相貌でほのかに問いかけた。


「兄者達や仲間は……砂浜で……私の目の前で殺された……あの先頭を歩いているゲスに……」


 その声には悔しさと怨嗟がこもっていた。


 震えるほどの悔しさだ。


 ほのかは言葉を吐き捨てた。


 無論、相手がつくしであることはわかっている。


 それでも気持ちの高ぶりが収まらないゆえに吐き捨ててしまった。


 つくしは先頭集団に目をむけた。


 そこには不潔な匂いを漂わせた筋骨隆々の執行人を五体も従属させている

女鎧武者がいる。頬に深い傷がある女性だ。


 古風漂う当世具足をまとった女鎧武者が威風堂々と闊歩する。


 その雰囲気は無機質で生気がまるで感じられない。


「死の香りじゃ……死臭がするのぉ……鎧武者はアンデッドかや……」


 遠目でもはっきりと目視できる異形な雰囲気。


 つくしは顎に指を当てると訝しるように問いかけた。


「ああ、私達も良く知っている屍だったよ……前回の狩りで捕えられた、からくり姫だ。あの様子だと昼夜とわずに散々、犯されて弄ばれて、心身ともにボロボロになって子が産めなくなったころに肉体は最後の仕上げとして魂が抜かれて……屍はアンデットの実験につかわれたのだろう」


 ほのかの言葉につくしはざぁーと血の気が引くと顔の青白さが浮きだってしまう……明日は我が身だと想うだけで汗腺が全て開き脂汗と冷や汗が入り混じってにじみでた。


「あれだけ美しかったからくり姫がのぉ……」


 それはつくしにとっても衝撃的な出来事だった。


――明日は我が身なのじゃ……――


 心の激しい慟哭が発露されたようにつくしは『グイッ』と自分の身体を抱きしめた。


 そんな捕虜を輸送する執行人一団の様子をゆうき達一行はつづら折れした緩やかな勾配のてっぺんから伺っていた。


「くくく……少しは骨のある……個体が……出てきた……」


 俺の肩で悠長に毛づくろいを堪能している綺麗好きなカラスが流暢な日本語を耳元で囁く。クリクリした茶色い瞳を『ギョロリ』と俺に向けた。


「あれは……鎧……傀儡……近くにドールマスター……がいる……気をつけろ」


 的確なアドバイスをくれるカラス君……流石、IQがメロリンキュなみに高いだけはある……と心の中で感心した。


「……肉」


 俺を呼ぶ古都にゃんの声は少しかすれたような声だった。


 古山道の際の樹の幹に腰を落としている古都にゃんが全てを見通すような純粋無垢な瞳で『くいっ』と俺の瞳を凝視している。

断言しておくが淡い恋のエッセンス成分はまるっきしなさそうだぞーっ!


「はっきり言っておくが俺は大友ゆうき。親からの贈り物であるなかなかお気に入りの名前があるから、肉はやめてくれないか」


 俺の腰元に蔦を絡めてぶら下げていた水の入った竹筒を古都にゃんに手渡す。


「では、お前が肉の嫁であるつくしや囚われの者を助けだしたら、認めてやろう」


 手に持った竹筒に柔らかそうなくちびるをつけて水分を口内に含む。


 よほど喉が乾いていたのだろうガブガブと勢いよく渇きを潤している。

そして、再び俺と目が合うと『ふんっ』とご機嫌ななめに顔を背ける古都にゃん。


「くくくっ……関節キッス……くくくっ……」


――こらぁぁぁ、カラス君、でしゃばって余計なこと口走らないでくれぇぇ。ほら、せっかく沈静化していた古都にゃんの抹殺視線が復活! 視線が厳しすぎてお兄さん脂汗が滲んでくるではないかぁぁぁ――


 俺は『おほん』と空咳一つ。狼狽しつつあった思考を立て直して佇まいをただす。


「古都にゃんお前はここにいろよ。けが人は足手まといだ」


 古都にゃんは顔を上げて、喫驚して目を開いた。


 古都にゃんの驚きは小さくないぞ。


 それは監獄島のルールから逸した言葉だったからだ。


 そんな古都にゃんの目にうつる俺の姿は『バファ○ンぐらい愛情の塊だな』と褒め称えて欲しがっているドヤ顔だった。


 ただ、俺の言葉が深い矜持を持つ九梶きつねの古都にゃんの癇に少しは障ったようだが、打算的に思案したのだろう。


 古都にゃんは大人しく従うように気配が消えた。


「さて、カラス君……どう助けるべきか?」


 俺はファクターから借りている作戦参謀のカラス君のご意見を参考にしてみる。


「……くくくっ……この、オッズは凄いだろう……ファクター様大儲け……ゆうき……正面から挑め……」

 

 そんな、カラスの進言に古都にゃんは理解の色は示さない。


 すぐに俺とカラスの会話に介入するように口をはさむ。


「無謀だ! あれだけの数の執行人相手に正面からだと、しっかりと作戦を立案して挑むべきだ」


 言っていることは正論。


 峻厳な顔つきのまま立ち上がるとその身がおっている深い傷など歯牙にもかけずに古都にゃんは俺の肩を『ぐぐっ』強く掴む。


 古都にゃんの力強い言葉。


 その言葉……俺に対しての借りを返すための礼節だとしても嬉しいものだった。


 肉……そう、古都にゃんにとって食糧や糧食程度にしか思われていなかった俺が心配されているのだ。


 俺の右肩でカラスは古都にゃんの手を軽くつつきながら、不敵な笑みを浮かべる。


「きつね……では……もし、奪還できたら……こいつにおっぱい触らせてやれ」


 ほぇぇ、俺は思わず口をあんぐり開けてしまう。


 カラスなのに口角をあげて『クククッ』と嘲笑する。


「おっおっぱい!? 何故、私が肉におっぱいを触れさせなければならぬ!」


――古都にゃん、その反論は残念すぎるがとても正論だ――


 カラスの突飛な発言に豊満な胸を両手で蔽い隠して素っとんきょな声をあげる古都にゃん。


 何故か古都にゃんは俺をひと睨み。


 古都にゃんは完全誤解をしていた。


 俺がカラスに言わせたものだと思い込んだのだろう。


 このカラス相手にそんな腹話術みたいなことはできるはずもないぞーっ!

『ぱさぁ』とカラスが飛んだ。


 そして古都にゃんの肩にのると、井戸端会議のような男子禁制秘密の相談が始まったみたいだ。


 ボソボソと何か耳打ちしている……カラス、お前、何だか越後屋と悪代官みたいな雰囲気を醸し出しているぞ。


 あれっ、古都にゃんの滑らかな白い肌がサクランボのように真っ赤に染まったぞーっ。


 古都にゃんは「おほん」と咳払いを一つ。


 古都にゃんの俺を見る瞳……愚直なほどにわかる、攻撃色眼差し率が八十%ダウンして暖色率が急上昇しているーっ!


「ゆうき殿はそのような事をお考えでしたか」


――おおっ、に、肉も卒業しているぞーっ。な、何を吹き込んだのですかぁ

ぁぁ! カラスよぉぉぉ――


 しかも、古都にゃんが今までに見せたことのないほどの淑女のように慎みある低姿勢で柔らかな物腰だ。


――カ、カラス君、キミはいったいどんなマジック……いや、黒魔術をほどこしたのだぁぁぁ――


「わかりました。カラスよ、おっぱいでも、胸でも乳でも見せたい放題見せましょう!むしろ、触りたい放題です」


 大いに得心して大胆なセリフを口にする古都にゃん。


 カラスが俺の肩に帰ってくるとひと仕事終えたサラリーマンのように小さく嘆息した。


「感謝しろ……」


 そっと耳元で呟く……つぶやき芸人よりつぶやくカラス……推定2歳・独身なのだ。


いかがでしたか?

楽しんでいただけましたらうれしいです。

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