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白き死神の挽歌(エレジー) ——極寒のコッラ、五〇五の墓標  作者: beens
第1章 ラウトヤルヴィの狩人

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第3話 ヴィープリの射撃大会

 農作業の合間を縫って、シモは地元の「民間防衛隊スオイェルスクンタ」の訓練に参加していた。

 これは軍の予備組織のようなもので、地元の男たちが集まり、有事に備えて訓練を行う場所だ。

 ある日、ヴィープリ州で開催された射撃大会でのこと。

 会場には、裕福な家の出身者や、軍の将校たちも参加しており、彼らの多くは最新式のライフルや、高価な調整器具を持参していた。

 一方、シモが持っていたのは、支給品の使い古されたモシン・ナガンだ。しかも、彼は身長が低いため、銃が不格好に大きく見える。

「おい見ろよ、あのチビ。あんな銃で当たるのか?」

 他の参加者がクスクスと笑う声が聞こえた。

 シモは何も言わず、ただ自分のレーンに立った。

 彼にとって、他人の視線などどうでもよかった。重要なのは、自分と標的、そしてその間にある空気だけだ。

 ――用意、撃て!

 

 号令とともに、一斉に銃声が轟く。

 シモは素早くボルトを操作し、次弾を装填する。その動作は流れる水のように滑らかだった。

 照準器アイアンサイトの小さな突起を、150メートル先の黒点に重ねる。

 吐く息を止め、引き金を絞る。

 結果発表の時、会場は静まり返った。

 シモの標的紙は、中心部分ブルズアイがごっそりと消え失せていた。すべての弾丸が、ほぼ同じ一点に吸い込まれていたのだ。

 優勝。

 トロフィーを受け取るシモに、先ほどまで嘲笑していた男たちが驚愕の眼差しを向ける。

「君、どんな特別な照準器を使っているんだ?」

 審査員の一人が尋ねた。

 シモは少し困ったような顔をして、自分の鉄製照準器を指差した。

「これだけです。……練習しましたから」

 それが全てだった。特別な道具などない。ただ、来る日も来る日も森で撃ち続けた、その積み重ねがあるだけだ。

 自宅の棚には、すでに数えきれないほどのトロフィーが並んでいたが、シモはそれを自慢したことは一度もなかった。

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