第15話 不死身の男
ソ連兵たちが安堵のため息をつこうとした、その時。
雪と泥にまみれた瓦礫の山が、モゾリと動いた。
「ひっ……!」
兵士が悲鳴を上げる間もなく、そこから一本の銃身が突き出された。
――ターン。
至近距離からの一撃。先頭の兵士が吹き飛ぶ。
「お、お化けだ! 幽霊だ!」
パニックに陥ったソ連兵たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
瓦礫の中から這い出してきたのは、煤だらけになったシモ・ヘイヘだった。
耳からは血が流れ、軍服はボロボロだったが、その目はまだ死んでいなかった。
彼はライフルを杖代わりにして立ち上がり、逃げていく敵の背中を見据えた。
「……ここは俺の庭だ。勝手に入ってくるな」
この日以降、ソ連兵の間で囁かれる「白い死神」の噂は、伝説から神話へと変わった。
彼は弾丸でも死なない。砲撃でも死なない。
もはや人間ではない。この森が具現化した怒りそのものなのだ、と。
だが、シモの肉体は限界に近づいていた。
連日の戦闘、極寒、そして不眠。
彼を支えていたのは、故郷への愛着と、義務感だけだった。
そして、運命の3月6日が、刻一刻と迫っていた。
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