懐かしい夢
_もう今日は遅い。特訓は明日からにしよう。
シュオンは朝陽にそう言うと体に戻って行った。
1人になった朝陽はお風呂を済ませ部屋に戻った。
コンコン、部屋の扉がノックされた。
「入るぞ」
そう一言言うと部屋に入ってきたのは神主である父だった。
「父さん、どうかしたの?」
「体調の方はどうだ?」
「もう絶好調だよ!シュオンと一緒に明日から特訓始めるんだ!俺シュオンとならめちゃくちゃ強くなれそうなんだ!」
「そうか、なら良いんだ。…」
「どうかしたの?」
「いや…なんて言うか急な事だったし混乱させただろうなと思ってな…。言うのはなんだが…しんどい思いはしてないか?」
父の顔は辛そうな苦しそうな、申し訳なさそうなそんな暗い表情をしていた。
「そんなことか!なんとも思ってないって言ったらきっと嘘になると思う。まだきちんと分かりきってる訳でも無いし…。でもさ、俺この島が好きなんだ。勿論、父さんの事も時雨の事も。鬼なんて本当に居るのかまだ想像さえ付かないけど…守りたいんだよ。守れる力が手に入ってるのに何もしない方がしんどい…。だから全然平気なんだ!!」
朝陽は父の不安等を少しでも減らしたい、そして自分は大丈夫だと父と自分自身に言い聞かせる様になるべく笑顔でそう返した。
「そうか、朝陽らしいな。俺に出来ることがあったら言うんだぞ。どんな事があっても見方だからな。」
父は朝陽に優しく微笑むと部屋を出ていった。
「今日は色んな事があったな…」
今日1日の事を少し振り返りながらポツリと一言もらすと疲れが溜まっていた朝陽は眠りにおちた。
?『朝陽…朝陽、いつまで寝ているの?』
懐かしい声がする…でも一体誰だろう。
知っている…小さい頃に…よく聞いたはずの声なのに…誰かな…。
?『朝陽、もう朝よ?ご飯出来てるから起きなさい。』
「ん…。もう朝?早いな…。」
時雨『にーさん!もう!遅いよ!いつまで寝てんのさぁ。』
父『朝陽、よく寝れたか?』
朝食が並べられた机、皆が仲良く椅子に座っている。
?『ほーらみんな揃ってるわよ?こっちへ来て一緒にご飯食べましょ?』
「ん、わかった」
寝ぼけながらも朝陽は食卓へ行き皆と仲良く食事をした。
父『じゃあ仕事があるから部屋へ戻るよ。』
?『ええ、頑張って!後でお茶を持っていくわ。』
父『ああ、頼むよ。』
父は部屋へ戻り、時雨は倉庫裏に最近住み着いた猫を見に行くと出て行った。
何故だろう…すごく懐かしい気がする…。
?『朝陽?ボーッとしちゃってどうかしたの?』
「え?ううん、なんでもない。でも何か…忘れている様な気がするんだ、何か分からないけど。」
?『そうなの?そういえば、最近少し話す時間が減っていたわね。お話しましょうか。』
「うん、そうだね」
心地の良い声。ずっと聞いていたい、安心する、とても好きな✘✘✘✘の声。
?『最近、嫌なことはなにかあった?』
「いや、無いよ!むしろ毎日幸せだなって思ってる。」
?『そう、ならいいの。しんどい時、辛い時はきちんと言うのよ?朝陽は自分の中に気持ちを押し込めて我慢しちゃうから✘✘✘✘心配。』
「何言ってるのさ、そんな事ないよ!」
?『いいえ、そんな事あるわ。きちんと見ているもの✘✘✘✘は分かるわ。』
✘✘✘✘は優しく微笑んで朝陽の頭を撫でてくれた。
?『ねぇ朝陽、いつまでもずっとずっと愛しているわ。ずっとそばに居るからね。皆貴方の味方なのよ。』
「うん、分かってるよ✘✘✘✘。」
…あれ、今俺誰と喋ってるんだろ…。
今喋ってるのに…なんで…あれ…。
ハッとして朝陽は目が覚めた。
どうやら夢を見ていたようだ。
「…母さん……」




