朝陽
兄の朝陽はしばらく苦しそうに呻き、深い眠りに落ちたようだった。
…体が動かない、重い…。声すらまともに出ない…なんで…。
_…ふたた……この………が…きて……_
…声が聞こえる、?なんて言ってるんだ?
_声…きこ……か……からだ………ときょ…_
聞こえる、確かに聞こえるのに…!誰の声?なんて言ってるんだ??誰だ!
_聞こえるか?我の声が…_
っ!聞こえた!誰だ!いったいなんなんだ!
_やっと我の声が聞こえたか、人の子よ。再びこの時が来てしまったようだ…_
再び?なんだそれ…どういう事だ?お前は誰なんだ!
_我はシュオン(守隠)。人の子、お主を守護しよう。時が来てしまったのだ。なに、すぐに分かるであろう。_
お、おい!ちょっと待っ…
「待て!」
朝陽は聞こえた声の方に必死に手を伸ばそうとした。
だがその時には体は動くようになっており、声も出るようだった。
目が覚めたようだった。
「っ兄さん!良かった起きた…無事で良かったッ…」
「朝陽っ!目が覚めたか…良かった…」
そう朝陽に言ったのは弟の時雨と、神主である父だった。
父はホッと胸をなで下ろしたがすぐに表情は曇ってしまった。
「どうやらお前達に話さなくてはならない事が出来た。」
父は朝陽と時雨の2人をじっと見つめそう言った。