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魔女と大佐と王子様  作者: フェニックス小川
第一章
8/24

カーニバルの夜、耳飾りの約束②

大事なキャラの登場はわくわくしますね

レガリア区 6番街

メーティス川広場 夜ーー





ど、どうしよう……


こんなすぐにはぐれると思ってなかった…







人の濁流に飲まれた私たちはカーニバルの入り口からすぐの所で、あっさりと離れ離れになった。



とりあえず、ルイを見つけなきゃ。

周りを見渡すも道行く人はみんな煌びやかな仮面をつけている。


「っ!?どこもかしこも…仮面だらけ!?」



これじゃあ顔も割れないから犯罪も起きやすそうだ。そして気づく。


仮面をつけていないのは私だけ…?






「おっと、そこのお嬢さん」


「は、はい!」





女性を連れた中年の男性に声をかけられた。




「君もしかしてレガリアのカーニバルは初めて?」



「そ、そうですけど…」



「じゃあよかったらこれをどうぞ」





男性は私に金のスパンコールが着いた美しい目元を隠す仮面を差し出した。





「実はもう1人の連れが先に帰ってしまってね、良かったら使って」



「あ、で、でも…」





貰っても私付けられないわ…

ルイに見つけて貰えないかもしれないもの。


私がすんなり仮面を受け取らないからか、仮面をグッと私に近づけて半ば無理やり渡される。



「ここのカーニバルは仮面をつけることで、人種や身分関係なく平等に国民が国の豊穣を祝える日なんだ。参加するならこれがマナーさ、じゃあね」




男性と女性は私にそう言うと再び人の波に飲み込まれていった。


なるほど。

仮面をつけることが参加のマナーだったのね…って、


あっ!


この面返しそびれた!





「…どうしよう?」





行き場のない仮面を胸に抱く。

さっきの男性にそう言われてから周りの視線の変化を感じた。

私が仮面をつけてないから見られてるんじゃなくて、マナー違反だから見られていたのね。



仮面を纏った集団を追ってるっていうのもあって、あんまりつけたくは無いけど…

周りの視線が痛い。



ううん、とりあえず一瞬だけつけて、ルイを探して、見つからなかったら諦めて事務所で待っていようかしら。



恐る恐る仮面をつけてみる。

仮面の目だし部分から覗く外の世界は、なんだか…不思議な感じがするわ。

仮面を通して外の世界を見ると、謎の高揚感に駆られた。

誰も私を知らない世界に来たみたい。みんなもそんな気持ちなのかしら。



「…」




でも…


せっかく来たんだし…




ルイを探しつつ、少しはカーニバルを見て回っても……いいわよね?


少しだけなら!




私は人の波に乗って出店や露店を何軒か回った。








ーーー



ーーー










「はあー!楽しかった!」





食べ物やアクセサリーなどのたくさんの露店と、踊り子や音楽を楽しむ人が道中沢山いた。基本的にこの祭りは無料で楽しめるものが多いみたいだ。




仮面をくれた男性は、今日のカーニバルは平等に願うのが趣旨だと言っていた。露店で無料なものが多いのは、貧富の差も平等にしようと努めた表れかしら。



それにしても、随分人の波に流されてしまったけど…ここはどこかしら?



気がついたら閑散とした場所まで来ていた。




広場の中心からはだいぶ離れちゃったみたい…



カーニバルはレガリアの1本の大きな通りを全て使って催されているらしいが、ここはその道の終わり際のようだ。



このまま来た道を帰ろうとしても、人の波にのまれて広場に辿りつけるとは限らないわよね。



どうしたものかと考えていると、少し先に美しい石造りのアーチ状の橋が、1歩入った路地と向こう岸を挟んでかかっているのが見えた。

吸い寄せられるように橋へ向かう。


月光に照らされて青く光るその橋の上には、儚い輝きを見せるまん丸の月が上がっていた。

橋の真ん中まで上がり、周りを見渡す。


橋の向こう側はカーニバルの活気はなく、

静かで、喧騒のない世界が広がっていて、

橋はまるで世界と世界を2分しているように見えた。



いざ橋の上まで来ると、

カーニバルの中心地の広場側は暖色の光で空が淡く黄色く光っていて、それに対して反対側は人工的な光がなく、星空が広がっていた。








「わぁ…なんて…」

















「美しいんだろうね」





びっくりして肩を揺らす。

隣にはいつの間にか銀髪にすらっとした体型の男性が立っていた。

知らない人に声をかけられ驚く。


なんだ、ルイかと思ったのに。

私が言葉に詰まっていると…





「…ごめん、1人になりたかった?」




「いいえ、違うの!連れとはぐれてしまって、その人かと…」





銀髪の男はくすりと笑った。





「その人は彼氏?」



「いいえ!全く違うわ」



「友達とはぐれたのか、それは大変だね」






男は顎に手を当てて笑った。

その時、彼の身につけている耳飾りが揺れた。


青い美しい小さな宝石が揺れている。



なんて…上品に笑う男性なのかしら。





それに仕草やなんだか喋り方も…

どこか既視感を感じた。








「…ん?どうしたの、そんなに見つめて」



「あ、いいえ。なんだか、貴方が私の知っている人に似ている気がしたのよ」



「へえ、それは偶然だね。俺も昔の知り合いに君が似ていると思って声をかけたんだ」



「えっ」





本当に知り合いだったらなんだか嫌だけど…


仮面をつけているとはいえ、はしゃいでる姿を見られたら恥ずかしい。

知り合いなら尚更だ。




「でも私の知り合いに銀髪の人は居ないわ」


「そう、じゃあ別人だね」





そして彼は橋の手すりに頬杖をつき、川の水面を見つめた。




仮面で口元だけしか見えないが、彼の雰囲気からはカーニバルの喧騒から離れたこの空間に合ってる気がした。





「…あなたは、もっと広場の方へ行かなくていいの?」



「ああ、もう十分楽しんだからね。どちらかと言うと、今日はこっちの街の方を見たかったんだ」




彼はカーニバルとは対照的に暗い橋の向こうを指さした。





「…あっちは住宅地だけど。変わってるのね」




「そんなことないよ」




彼はそう言いながら、川の水面に揺れる月を眺めていた。私も彼と同じように頬杖を着いて川を眺めてみる。



水面には空の色が映し出されていて、半分は夜空、半分は燃えるオレンジが絵の具のように混ざりあっていた。






「連れの人を探してるんだっけ」




「そうね、でももうこの祭りの中で見つけ出すのは難しそうだから、仕事場で待ってみる事にするわ」




「それ、どこにあるの?」




「レガリア区2番街のハーツクラック通りなんだけど…」




「じゃあ俺も帰り道が同じだから良かったら一緒にどう?」




「……」




暗がりで男が女に一緒に帰ろう、だなんて。


なんだか怪しい文言なのに、

何故か彼からはそんな気配が全くしない。


なんでだろう。



私が黙っていると彼は頬杖を辞めて、私に背を向けた。

そして顔だけをこちらに向けながら…



「ああ…嫌なら大丈夫。

しかも俺はカーニバル側からじゃなくて、こっちの人気がない道から帰るから。

じゃあ君も気をつけて」





あっという間に橋を越えて彼は人気の無い道へ歩き出した。




どうしてだろう?

なんで追いたくなってしまうんだろう。


身体が勝手に動く。



気づいたら走って彼の後ろを追っていた。





「女の子なのに、冒険家だね」




彼は少し振り向いてクスリとまた笑う。




「…あの通りからは人が多くて帰れる気がしないだけよ」




「そう」






川を挟んだこちらの街は本当に静かだった。


少し彼と間を空けて歩く。




コツ、コツ、コツ…





聞こえるのは私と彼の足音だけ。







「あなた、名前は?」




「え?」




「えって…名前よ、名前。

まさか自分の名前が分からない?」




「…名前、か。豊穣と平等の祭りの日に、そんな事を聞くのは粋じゃないな」




「い、粋じゃ無いって…

でももう祭りの場からは離れたわ」




「家に帰るまでが…って聞いたことない?」




「…」





なんだか飄々としてる人ね。

名前も言わないなんて。



するすると私の手を交わされているようだ。




「そうだ、君の話を聞かせてよ」



「……私の話?」



「好きなもの、嫌いなもの、君がこの国でどんな景色を見てきたのかとか、なんでもいい」





そんな風に言われたのは初めてだった。





「…それを聞いてあなたは楽しいの?」



「うん、絶対楽しい。だから教えて」





何がそうさせるのか、自分でも分からない。でも私はそれを聞いて、彼が望むまま話し始めてしまった。





「…昔、森の奥に住んでいたの。よく屋敷の庭にあった野いちごを食べたわ」




「うん…それで?」




「だから、野いちごは好き。少し甘くて酸っぱくて、でも思い出が詰まったものだから」





彼は静かに話を聞いてくれた。




「つい昨日まではビロード区に住んでいたの。今は一時的にレガリアに引っ越しているけれど…。引っ越す前は私ずっとビロードでパン屋のバイトをしていたの」




「パン屋か。君みたいな明るい子がいたら活気が出そうだ」




「ふふ、でも私の仕事仲間が客集めの名人だったから…彼には負けるわ」





レイド。

私のことを、好きだと言ってくれた。

この任務が終わったら、ちゃんと言いに行かないと。



……あなたの気持ちには、答えられないって。





「…少し暗い顔をしたね、その人と何かあった?」




「!」




「よく顔に出るって言われない?」





「い、言われる…かも」






心を読むのが得意なのか、話を聞くのがうまいのか、おそらく両方を兼ね備えた彼に私はどんどん話をしてしまった。




昔のこと、パン屋のこと、今日ティーカップを割ってしまったこと。






「君、今恋人はいる?」




「いないわ」




「じゃあ、好きな人は」




「…」




「黙った。いるんだね」




「…勝手に決めつけないでよ。

あまり淑女を虐めないでもらえるかしら」




「それはすまない、無意識だ」





彼との会話にも段々と慣れてきた。


名前も知らない初めて会った彼と、もう既に打ち解け始めている。




「あなたは?」




私も質問をしてみる。





「え?」




「あなたは恋人がいるの?」




「いないよ」






あら、意外。

なんだか余裕のある感じからして、恋人が居そうな感じがした。





「意外だと思った?俺ってそんなに遊んでそうかな」




「ち、違うわ。あなたスタイルもいいし、魅力的な人だもの!話してるだけで何だか落ち着くし…余裕もあるし、大人っぽくて子供っぽくて魅了されるというか…と、とにかくそう思っただけよ」





彼は足を止めて振り返る。





「俺のこと落とそうとしてる?」




「…なっ」




「冗談だよ」






彼は静かに笑って川の柵に手をかけ、

立ち止まる。

背中を向けて、彼は何も言わずに水面を眺めていた。



本当に、暗がりで絵になる人っているのね。



仮面の下がどんな顔なのかは分からない。

けれど立ち姿と雰囲気が、儚い月光と夜の街によく映えていた。



私は彼の傍に寄るようにして、柵の前のベンチに腰掛けた。





「ねえ、あなたにはいるの?好きな人」




「いるよ」





即答するのも意外だった。





「…へえ、どんな人なの?」




すると彼は柵の手すりに背を預けて振り返り、ベンチに座る私を見下ろした。




「君みたいな子」






…面白い人。

さっきの彼の台詞を冗談ぽく言って返す。






「…私のこと落とそうとしてる?」











「そうかもね」






冗談で気を紛らわせたつもりだった、のに。


返答に、どきりと胸がはねた。

初対面の人にこんなことを言われても怪しいだけだ。それに恐らく冗談なのも分かっている。



それでも、心臓は少しずつ高鳴る。この人が彼に似ているからという理由だけで。


でも…





「…あまり軽いことは言わないで欲しいわ」




「ごめん。

…本当に君が凄く似てるんだ、俺が好きだった子に」




「!」




「嘘じゃないよ。

ただ、君みたいにしっかりしてる子じゃ無くて、すぐ泣いてしまうような繊細な子なんだ」




「好きだったって事は今は…?」




「今も好きだよ。でも長い間会えてない。ずっとその子を探してるんだ」





…どうして

こんなにこの人と境遇が似てるのかしら。


つい私も自分のことを話す。





「あのね、実は私も、私の昔好きだった人に凄く似てるの…あなたが」





「…え?」




「ビックリよね。私も彼とずっと会ってないわ。でもあなたみたいに私は彼を探してたわけじゃないし、もう既に会える状況ではあるの。


実を言うと、彼にはもう会いたくない気持ちの方が強くなっていて…自分でも驚くわ」




「…」





仮面の下の表情はどんなものなんだろう?今どんな顔をして、私の話を聞いているんだろう?


彼は何も言わなかった。




「雰囲気が凄く似てるの。まあ、最後に会ったのは彼が13の時だったから…その時の彼がそのまま大きくなったら、こんな感じかなあって。勝手にあなたに重ねていたわ、ごめんなさい」





こんなことあるのね、と笑い、

じゃあ、行きましょう!と立ち上がる。

すると彼が私の手首をパシッと掴み、私の髪を掬って言った。






「…君の素顔を、見たくなった」









え…




驚いて私はたじろぐが、平静を装って返事を返す。





「…い、家に帰るまでが…じゃなかったの?」




「ははっ、言うんじゃなかった」





彼は困ったように笑って、そして、私の手首から手を離した。



再び距離をとって



じゃあ行こうか



彼はそう言って再び歩き出す。

それからは他愛もない話をして、ついに事務所の近くまでたどり着いてしまった。



私はここで…と別れを切り出す。




…もう着いてしまった。

歩いて6番街からここ2番街までまで来たはずなのに、とても時間が短く感じた。






「楽しかったよ」




「…ええ、私も」




「じゃあね」







彼は余韻もなく、背を向けてその場から立ち去ろうとする。






「ま、まって!」




「………なに?」







彼はたっぷり時間をかけるようにして、ゆっくり首だけをこちらに傾ける。

身体はもう歩き出した方向へ向いていた。




や、やだ…私ったらなんで呼び止めて…



特になにか伝えたいことがある訳でもないのに呼び止めてしまった。


えーと、えーと…何言おう…




私があわあわとしているのを見て、彼は笑った。





「別れるのが名残惜しかった?」






!!




…でも多分その通りだ。





初対面なのにそんなのおかしいわよね…!

図星であるのが悔しくて恥ずかしい。


しかもそれに頷いて軽い女だと思わないでほしいと思ってる。

どうして?

次また会うことはない人かもしれないのに。



何も言わないでいる私を見て、彼はこちらに向けていた広い背中をゆっくり振り返らせた。





「実は俺もそうなんだ。呼び止めてくれるかなって思ってた」




「…え、それじゃわざと?」




「そこまで考えてなかったけど…

初めて会った女の子と潔く別れないのは、紳士じゃないからね」





そう言って彼は肩を壁にもたれかけて腕を組んだ。



さっきまで後ろを着いて歩いていただけに、向かい合うと距離が近く感じて、なんだか恥ずかしかった。





「強気に話していたけど、

呼び止めるなんて随分可愛いじゃないか」




「……」




「惜しいな。君にもう一度会えたらいいのに」



「名前を明かせばいいじゃない」



「…それは出来ない」





どうして?

なぜこの人は名前を明かしたがらないの?

お祭りのルールだから?


質問しようと口を開く前に、彼はなにかに気がついたかのように自分の右耳に触れた。




「そうだ」




「突然どうしたの?」




「ちょっと待って……これを」






すると彼の手には、先程まで彼が身につけていた小さな青い宝石の耳飾りの片方があった。





「綺麗…」





手に取ると月の光で儚く青く光った。


彼の雰囲気にピッタリのアクセサリーだった。





「これを君に持っていて欲しいんだ」




「…え!?そんな!こんな高そうなもの持てないわ」





焦って彼に返そうとするが、彼は受け取ってくれない。


なんだか今日は仮面といい、耳飾りといい、人にものを半ば無理やり渡されがちだ。





「だめよ、さすがに貰えないわ」




「じゃあ君が俺を見つけた時に返して」




「え」




「そんなにこの耳飾りを返したいなら、また会った時に俺に返せばいい。そうだろう?」




「そ、そんな!次にいつあなたに会えるかも分からないじゃない!第一名前も顔も知らないのよ、絶対に会えな…」




「会えるよ」




「!」






彼はそう言って、耳飾りを私につけようとした。





「…ちょっ」




「動かないで。危ないから」




「っ……」






耳に彼の冷たい手が触れてドギマギしてしまう。


ご、強引だわ。


仕方なく、しばらくじっとして待つ。

すると彼の手が耳から離れた。





「ほら、できた。これで君が見つけられる」




「紳士の割に随分無理やりね」




「すごくよく似合ってるよ、外したらダメだからね」





私の言葉も無視して微笑みながら彼は言った。



…本当に、この人。


昔のギルバートによく似ているわ。








じっと彼を見つめる。





「そんなに見つめられるとキスのひとつでもしたくなるな」




「なっ……!!」




「今日はありがとう。次君に会えるのを楽しみにしてるよ。」






私が赤面して動揺しても、変わらぬ態度で別れを切り出された。



彼は少しずつ後ろに下がるようにして







「じゃあ今度こそ。またね」





そう言うとスッと背中を向けて一番街の方へ歩いていった。


彼の背中が見えなくなるまで、気がついたら見つめていた。






…なんだか、夢のような時間だったわ。


あの人、一体どこに住んでいるんだろう?




私は事務所の扉を開いて階段を上がって行った。



あれ、でも一番街に向かっていったわよね。



一番街はトリテムント区への入場の関所がある場所だった。





「…トリテムント区の人?」







トリテムント区はラステル王国の王宮、元老院、ラステル王国軍本部、そして貴族の屋敷が広がる地域を一番街とする、国の中枢区だ。

魔女の末裔である私は、秘密同盟により、原則としてトリテムント区に入ることはできない。



ただ、魔女には子供が生まれた時、王に顔を見せにいかなきゃいけないという謎の儀式があったり、急時は入場許可が出たり…

向こうに都合がいい時だけトリテムント区には入ることが出来る。


本当に気に入らない同盟よね。




もしも彼がトリテムント区の人なら、少なくとも国家に身を捧げる仕事をしている事になる。




…私ったらなんで気づかなかったのかしら。なんの仕事をしているのか聞けばよかった。

そしたら彼が何者なのかのヒントになったのに。


結局、私の話ばっかりしてしまったわ…




また、会えるかしら?




事務所に入るなり、ソファに座って私は片耳の耳飾りを触った。

名前も知らないその人を思って。

少し頬が熱くなるのを感じた。


変なの…


トクトクと脈を打つ心臓に、

不思議な感覚を覚えながら…

私は零隊のみんなの帰りを待っていたのだった。



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