これが全てを見抜く私の慧眼なるオッドアイです!
「……あは、あはは。リリー……。君って人は……。」
──スリスリ。
「んーーっ、かわいーよーイリス〜。」
自分よりも大きなその竜の巨大な頬へと頬ずり。これ以上になく上機嫌なリリー。
「……。ダメだよ、これ、私の竜ちゃんなんだから。」
「取ったりしないよ……リリー。人から盗れない仕様だろうけど……。」
……──人のものをとったらどろぼう! それはゲーマーとして当たり前の心得であった……。
ゲーム開始時点で訳の分からないシュチュエーションに遭遇し、もう呆れるしかないリリー。レアアイテム発生イベンドによる産物とは言え度が過ぎると、そう思った。
「……。リリー、申し訳ないのですが……そろそろこの状態を維持する事が困難になりました。」
「え? ……わ、本当だ。いいよ、イリス寂しいけど戻っちゃって!」
イリスの展開維持バーであろうリキャストタイムのゲージが赤の状態にまで減っているのに気がつく。
「はい……それではまた。」
「うん、また!」
ヒュン!
──ヒュオオオオ。
森全体を包む位の高貴な光を発生させ、小さな子供位の大きさのクリスタルの状態へと戻っていく。
スキル《召還術》を獲得しました。
EXスキル《自動展開》
今のイリスとの一連のやり取りでユニークの条件を満たしたようで、スキルスロットに新たなスキルが更に2つ追加される。
溢れるポップアップ通知。さっきのイベントによりアイテムやスキルが確認できぬ程大量に送られていた事に気づく。
「……そう言えば、さっきの《真眼》のスキル……。あれがあれば新しいビルドなんかも模索出来る……。ふふっ!! よぉし!!」
リリーは何かを閃き、アイテムコンフィング、スキルメニューを多重のタブで展開し始める。
「ええと、今のイリスのクリスタル状態って……。えぇ!! アイテムの仕様なの!? 見て見て!! ペティ。これって……。」
「んー? うわっ……。やばぁ……。おっ、おほん。ヤバいねこれは。一体、どんなクエストでこんなレアアイテムを……。」
この世界ではクールキャラで通しているであろうペティルをも取り乱すそのアイテム効力。それは、……。
自動展開、自動発動。リリーの契約使い魔となった《召還霊竜イリス》その能力とは常に契約モンスターとしてフィールドに《自動展開》される、その維持コストはプレイヤーのMPに依存するものであった、故にプレイヤーのレベルが上がれば展開時間の底上げは出来るといった仕様である。
先程、早々に召還の効力を失いクリスタルの状態に戻ってしまったのはリリーのレベルがまだまだ低いからである。
そして次に《自動発動》の効力、召還待機状態であるクリスタルとなってしまったイリスはアイテムとなりプレイヤーに装備されイリスのスキルが自動発動される。
「こんなん初日からドロップするなんてリリー、やっぱり君はむちゃくちゃだ……。もー!! なんでいつもリリーちゃんばっかり!!」超絶ラッキードロップアイテムを目の前に素直に羨み、その感情を全身で露わにするペティル。
「へへへ。」
「えっ?……。 リリー、その目ってそれが……。もしかして、それなの──?」
「んー? わっ!! うぇえ??」
プレイヤーオプション画面から、スキン表示のためにある全身確認の設定を展開しそれを鏡の様に使い、自分の瞳を確認するリリー。
自分の顔を覗き込んだ瞬間、その違和感に気付いた。それは今、指摘された『目』の存在感である。
特別な輝きを放つ左の青い眼。気付かぬうちにそれがアイテムとして装着され自動展開されていた。
──慧眼のオッドアイ。全てを見抜く神聖なる竜の瞳を持つ、特異なプレイヤーが誕生下その瞬間であった。
自分の目であるが、美しいその目に魅入られてしまう程の魅力がそこにはあった。
「あぁあ……可愛いよぉ……、美し可愛いよぉこれ……。でしょ、でしょ!! ペティー!!」
「うん、やっぱり……、君は素敵だよ。リリー。」
「君のその猛進的なプレイスタイルは誰にも真似出来ない……それは君だけの魅力だよ。」
「へへへ、……。やめてよペティー……。て、照れちゃう。ぐへへ」
「いや、私にはそのやり方は真似出来ないよ……。心から尊敬する。」
「ペティ……。」
全ての挙動を見通せるようになったリリーにも、ペティルのこの瞳の純粋さは眩しかったようである。




