テンス・ギルドってのありましたよね。
「んー!! やったー! 倒したあ!!!」
「やったな、リリー。」
──パチン。
手と手をかわし、ハイタッチ。
「うん!! なんだかよく分からないけどペティさんとならどこまでも行ける気がする!! ツバキちゃんもありがとう!!」
目をうるうるとさせながら正直な感想をリリーはそう告げる。
「あはは!! そんなそんな でも初のダンジョン皆さんと一緒できて楽しかったです!!」
「ぐっじょぶだぜ!! ツバキちゃん!」
──……ビシッと親指をサムズアップ。
「ありがとうほんとに楽しかった、ツバキ。リリー」
──ピッ、ピピピピ。
腕に巻いたスマートデバイスから通知音が鳴った。
リリーのものじゃない、音の先に目をやるとそれはペティルのデバイスからだった。
「おっと、すまないね。もう少し2人と話したいが私はこれで。」
他のフレンドにパーティを誘われたのか、その言葉を残しその場を立ち去ろうとするペティル。
「あ、えっと。待って!!…… ペティさん。フレカ!! 交換……。しませんか!」
リリーからペティルへのフレンドカード交換要求。しかしそれは叶わない。
「平気だよ、リリー。そんなに焦らなくてもいずれ私達は会うことになる運命だから。またねリリーちゃん」
──……シュン!
ピン、ピン。ピコン。
シュゥウウウウ……。
そう彼女に意味深な言葉を告げると、システムウィンドウをいじり、マップの転移を選択しその姿を消してしまう。
「ペティー……。」
自然と八の字になるリリーの眉。
気のせいか瞳もうるうると輝いている様に見える。
「……リリーさん……。」
少し心配になったツバキがやさしく声をかける。
「あっ、あのぅ……。えっとリリーさん。私はベータ版終了まで一緒におとも出来ますよ、ほらフレカだって! 交換しましょ!!」
「あぁん??」
──……ギロッ。
闇夜に光る、黒猫の鋭い目付きのような眼光が睨みつける。
「ひっ、ひいぃ!!」
「……はぁ。ペティーさん行っちゃった……。ふーんだ。ん〜……。でも、カッコよかったなぁ〜。」
地面に木の棒でぐるぐると落書きをしながら拗ねた様子を隠せないリリー。
「ねぇ、そうよね? ツバキちゃん」
「あっ、ハイ。そうですね……。あんな多彩な剣技の連撃初めて見ました! カッコよかったですよね!!」
「よねー! ごめんね。ちょっぴり取り乱した。ペティルさん抜けちゃったのは残念だけど、うん! ベータの最後まで一緒に遊ぼう!!」
「あはっ!! リリーさん!!」
「リリーで良いよ。はい、これ私のフレカね。」
──ピン、ピンピコン。
「あっ、ありがとうございます!! ってうぇえっ!? エンオンのこの称号!! ヤバいやつじゃないですかこれ!!」
「あーそれか。半ガチ半ガチ!! 他のトップギルドの方が凄いの取ってたって!! それにギルドの皆と全力で遊んでただけだし。」
当たり前だがキャラ性能等は前作『ENDLESS×ONLINE』の物を引き継ぐことは出来ないがゲーム攻略に関係ない称号の項目は引き継ぐ事が出来る為、フレンドカードには前作の大規模ランク戦闘で手に入れていたギルド上位10名しか得られないサーバートップギルドに送られる『十戦華』と言う称号が設定されていた。
「テンスで半ガチって……。」
「あはは……。ま、打倒最強ギルド『大天空』の目標も叶わなかったし。これでもけっこー心残り色々あるんだ。」
「だから、次こそは……勝つ。『あの人に』」
──そう、今度こそ誰にも負けぬ、そんなトッププレイヤーに。
「大天空……。あっ、あわわわ……。上位勢すぎて私と見ている世界が……。」
「ぷっ、ぷしゅぅううううう……。」
──バタン。
リリーの有り余り過ぎている謙遜によりツバキは大ダメージを負い電池切れの玩具の様にその場にふらりと倒れてしまう。
「えっ!? わっちょ!! ツバキ!!!」
──……。オトモツバキ。撃沈。
リリーの心配するその声が始まりの森、ゲート出口でこだましたのであった──……。




