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おにいちゃん 2  作者: サシェ
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エピローグ




 ごめん、鷹也。


 僕は、隣で眠っている鷹也の胸に額をこすりつけて謝った。


 僕が悪いんだと思う。


 鷹也を苦しめているのかと思うとすごく嫌な気持ちになる。けど、鷹也を好きな気持ちを抑えることができない。

 名取さんが僕に会いに来た時、最初、鷹也の恋人なのかと思って心臓が止まりそうなほど驚いた。

 けどそうじゃなかった。

 名取さんは僕のことをうらやましいよ、と言ったのだ。


 その時、ああ、この人は鷹也のことが好きなんだと思った。鷹也は気付いていないみたいだけど。


 もし、気付いたらどうなるんだろう。僕みたいな子供は相手にされない気がする。どう考えても、名取さんみたいな綺麗な人の方がいい気がした。


 鷹也を取られたくない。


 名取さんと鷹也はとても仲が良いみたいで、僕は嫉妬した。けれど、名取さんはすごく優しい人でいろいろアドバイスもしてくれた。


 彼は、僕を見ていると、自分を思い出すと言った。

 具体的な事は教えてくれなかったけど、僕くらいの年にすごく悩んで苦しかったらしい。けど、相談できる人がいなかったんだ、とも教えてくれた。

 できるなら、女の子を好きになった方が楽だよ、と名取さんは言った。


 それから柔道部に入ってタイミングよく女の子に告白されたけど、ずっと鷹也のことが頭から離れなかった。


 どうして、鷹也はそばにいないんだろう。

 どうして家を出て行ってしまったんだろう。


 未成年だとダメだと言う理由もよく分からない。

 今、一か月ぶりに鷹也が家に帰って来てくれて、一緒のベッドで眠っている。せっかくそばにいるから、寝ないで顔を眺めていたらかえって目が冴えてしまった。


 鷹也はぐっすりと眠っているようだ。


 やっと16歳になった。

 恋愛に年の差ってやっぱり気になるよね。


「はあ…」


 大きくため息をつくと、鷹也がもぞもぞと動いた。


「どした? 眠れないのか?」


 低い声で囁かれ、僕はどきっとした。


「ううん、何でもない」


 恥ずかしくて俯いた。鷹也の体は温かい。


「早く寝ろよ、明日も早いんだろ」

「うん」


 強引に目を閉じる。何となく鷹也が見ているような気がした。目を開けてがっかりする。鷹也は目を閉じていた。


「鷹也」


 名前を呼んでみると、すぐに目が開いた。


「ん?」


 鷹也の声も顔も全部大好きだ。


「たまに家に帰って来てよ」

「そうだな…」


 鷹也は苦笑して僕を抱き寄せた。


「俺さ、翠がいないとダメなんだよ」

「え?」

「偉そうなこと言ってるけど、さ。信じろよ」

「僕もLINEとか電話じゃなくて、鷹也の顔を見ていたい」

「俺も同じだよ」


 お互い、離れて苦しかったのだと思う。


「鷹也…」


 僕が熱っぽい声で囁くと、鷹也がぎくりとした顔で少し体を離した。


「いいか、何度も言うが、俺は…」

「25歳、僕は16歳」

「そうだ」

「キスくらいはいいんでしょ?」


 仕方ないな、と言いつつ、鷹也がうれしそうに笑う。


 素直な鷹也が大好きだ。


 僕は、絶対に別れる気はないのだから。


 鷹也の手を握りしめて、こっそりと誓った。






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