↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/75

6話 自己犠牲の果てにあるものは


 彼女達は模擬戦闘を交わし、お互いの実力を試し終えたところだった。



「とりあえず、30レベルにいきなり上がったなんて知られたら、大変なことになるわ。絶対に知られないようにしないと。分かった、スミレ?」

「二人だけの秘密だね~♪」


 ごめんなさい、僕も聞いていたんです。悪気があった訳じゃないんです。だから、ちゃんとお二人の秘密は守ります、守らせてください。命を懸けてやり遂げる所存でございます……。


「とにかく今後のことはゆっくり相談しましょ?

 エトワールに戻るわよ、スミレ」

「うん。手、つなご~」


「しょうがないわねぇ……」

「えへへ~……」



(あぁ……さりげない手繋ぎデートッ! 何度そのスミレ様の高貴なおててを取りたいと思ったことか!! しかしそれは許されぬ宿命(さだめ)ッ! ボクはただ不埒を起こし、この手とお別れする日が来ないことを切に願うのみ……)



 僕が腕を切り落とす覚悟と勝手に戦っている合間に、二人はエトワールの街へと戻ってきて、そのまま昨日泊まっていた宿まで帰って来た。



「あ、おかえりなさいっ!

 レベルキャップは、どうなりました?」


「ええ、バッチリよ」

「うん! 私達、強くなりましたっ、ぶいっ!」


「お姉ちゃん達、やりましたね! ぶいっ!」



 おお。とっても和やかな雰囲気だ。

 やはりこの宿屋の娘は将来が楽しみだ。出来るならば今から立派な淑女となるべく教育を施したいぐらいだったが、僕にはもう大事な使命があるのでそこまで面倒が見られないのが残念だ。



「ご飯を用意してもらえる?」

「はい、分かりましたぁ!」


 宿屋の娘は元気に返事をして、厨房の方へ引っ込んで行った。

 彼女達は宿泊客に料理を出すための長テーブルに着席する。


 僕も昨日から何も食べてない。だから今から食事の時間だ。スミマリがあればご飯食べなくても栄養があるから節約が出来る。みんなも試してほしい。



「ふぅ……」

「よいしょ……」


「なんで隣に座るの……」

「えへへ~……」


「スミレ。真面目な話をするから、今日は向かいにして」

「はぁ~い」



「……まずさっきも話したけど、レベルが上がったことがバレてはいけないわ。

 明らかに不自然過ぎるもの。そんな話、普通信じられる?」

「えぇっと……やっぱり変だよね~」


「でしょ? 私がもし遠慮のない男だったら、組み敷いてでもその秘密を暴いてやるわ」

「マリィちゃん、大胆……♡」


「冗談よ。でもそれは起こり得ることだわ。だからバレないのは大前提ね」

「うんうん」



「お待たせしましたー! 先にサラダになりますっ!」

「えぇ、ありがとう。フォークは後で良いわ」

「それではもう少々お待ちくださいっ!」



「それで、私達はまだ弱いフリをしなきゃいけないんだけど……Fランクの下級クエストだとつまらないし、堅実に行こうとしても実入りが少ないでしょ? だから、ここはEランクのクエストをするのがいいと思うの」

「ふむふむ」


「とりあえず15レベルぐらいのクエストで様子を見てみましょう。

 それでまずはお金を稼いで、時期を見てから次の上限解放に行きましょ」

「決まりだね~」



 なるほど。彼女達のレベルならEランクの一番難しくて報酬の良いクエストでも可能だろうが、用心に越したことはない。低レベルのクエストなら僕がサポートしなくても大丈夫だろうし、気を張らない程度の監視で済むかもしれない。



「お待たせしましたー! 本日の気まぐれパスタですっ!」

「わっ、おいしそう~~!」

「ありがと。銀貨一枚で足りる?」

「はい、ごゆっくりどうぞー!」



 彼女達は並べられた料理をとても美味しそうに食べ始めた。

(うぅ……願わくばボク自身がサラダとなって食べてもらいたい……)



「マリィちゃん、なんだか楽しくなってきたね」

「楽しい? ふふっ、そうね。

 もうDランクに上がれる力を手にしているだなんて、未だに信じられないわ」


「うんうん。私も身体が軽いよ~!」

「ようやく報われる時が来たって感じだわ……。

 これから何もかも、上手くいくって気が少ししてるもの」



「くるくるくる~……はい、あーん!」

「ちょっと、何の真似よ……」


「あーんして、あーん♡」



(ウオオオオオオオオオオオオ!?!?!?)



「まったくもう……機嫌が良いからなんだからねっ……?」


ぱくっ


「あ~~~~~マリィちゃんかわいい~~~~~~~!!」




「……」


くるくるくる


「ほら、スミレも食べなさい……?

 私だけなんて恥ずかしいじゃない……!」


はむっ……


「えへへ~……とろけちゃいそうだね~……?」



(これはまさかッ、伝説の食べさせ合いっこ!? もう二人はそんな仲にまで!? ぐぬぬぬぬぬぬぬ今からでも遅くはないッ、ボクはパスタに絡まるオリーブオイルから人生をやり直すッッッッ!!!!!!)



「……早く食べちゃいなさい。ここでは話せないこともあるから」

「マリィちゃん真っ赤だよ~?」


「……」



 あれ、マリーゴールド様、どうしてそんな意味深な顔をなさるのですか? 僕には分かりません。だけどその優しいご尊顔を拝謁するに、きっと僕の想像もつかないような……大人な絡み合いがある気がしてなりません。


 僕は決めました。お二人の秘密の花園に、お邪魔すると。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

スミレとマリーゴールド。

君もスミマリちゃんを応援しよう!
スミマリ親衛隊の条件を説明するね!

『ブックマーク』
『☆評価』

は必須だよ。簡単!

↓↓

竹箇平のTwitterだよ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。