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転校生に百合の花束  作者: 惷霞 愁灯
第二章 成長
11/32

十一輪目 約束

いつも通り、三人で帰ろうとしてる、とある金曜日。



「ごめんね、私用事があって今日一緒に帰れないや」

帰り支度を整えている2人に、古都葉がそう告げる。

「何かあったの?」

「い、いやなんでもないよぉ?」

「そー。なんか怪しいけど」

「じゃあ、帰ろっか京香さん」

その言葉で、再度謝りつつ古都葉は去っていった。



帰り始めて、屡々(しばしば)静寂が続いた。こういう時、話題提供というか話のキッカケを作っている古都葉さんは凄いな。と葵は内心感心していた。が、このままでも良く無いので、なんとか話始めた。

「あ、もしかして、2人で帰るのは初かな?」

「あー、そうかもしれないね。」

「なんか2人っきりだと、緊張しちゃうね」

そうだねーと、笑いながら喋っているが、京香はそれを上回る緊張に襲われていた。そんな中、葵から突然こんな事を言い出された。

「急なんだけどさ。あ、あの京香さんさえよければ。あ、、、違う!……今週の土日、どっちか空いてる?」

「え、別に暇だけど……」

「じゃあ!2人で映画見に行かない?」

京香は、緊張が吹っ飛んだ。いや、正確には、緊張の糸が引っ張られ過ぎて切れた。心臓から送られてくる血流が早過ぎて、ドキドキが止まらない。そんなことさえ頭から消えていた。

「ダメ……かな」

「いいよ」

「え?ほんと!?」

「全然いいよ」

「ほんとに!??」

「うんうん。ほんとほんと」

京香は棒読みして返した。その後は、葵が喜びながら、詳細は後日連絡すると言って2人は別れた。



家に着いた京香は、まだ理解出来ずに、古都葉に電話した。

「ね、ねぇ。なんか葵のやつに、映画見に行こうって誘われたんだけど」

「えー?行ってくればいいんじゃない?友達でしょ?」

「そ、それなら古都葉も連れて行っていいのかな」

「けど2人でって言われたんでしょ?」

「うん……」

「頑張ってね〜」

えっ、どういうこと!?と聞き返す間もなく、通話終了の文字が浮かび上がった。そして古都葉は最後までクスクスと笑っていた。

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