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水の惑星  作者: 花押
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主神といふモノ ― 惑星「エマ」の宿命

 惑星「エマ」には、星の誕生と同時に存在しているモノがいた。


 そのモノは、人類がこの星に存在するようになってから

ゆっくりと活動を開始し、人々が増えていくにつれ

その動きもだんだんとエスカレートしていった。



 人々はそのモノを「主神」(ぬしがみ)と呼び、恐れおののいた。




 ・・・しかし、誰も主神を見たものはいない。


 目に見えないものだという。


 見えないだけに、襲われるまで気付くことができないのだ。




 主神は次々に男の生気を喰らい、女を襲った。


 生気を喰われた男は抜け殻のようになって死に、

襲われた女は主神の子を宿した。


 だが、主神の子として生まれてきた子供は

この地に存在し続けることができず、

わずか1年以内に全て死亡していった。


 主神の子を宿した女は、

その後二度と人間同士の子を宿すことができないまま

一生を終えるという。


 そしてこの星の人類の数は激減し、

滅亡への道を辿らざるおえなくなっていった。


 人々は主神から逃れるために大地に散り散りに分かれ、

やがて小さな規模の国がいくつも作られるようになった。




 だが、そんな中―――


ただ一人だけ、主神の子として生き残った者がいた。




 名前を「トーマ」と名づけられたその子は、

唯一、主神の姿を見ることができた。


 そしてトーマが18歳になった年、

暴れ狂う主神に対して果敢に挑み、

ついにその身の内に主神を封じることに成功したのだ。


 トーマは自分の身の内に封じた、父でもある主神と対話を試みた。

 そして、永遠に主神を封じる方法を知った。




 その方法とは・・・




 主神を選ばれし者の身体に次々に封じていくこと―――




 トーマの肉体は45歳になると、

主神を封じるには体力の限界が近くなってしまうのだと言った。


 そこである国の国王は、自国で一番の能力者に

どの者が次に主神を封じることができるほどの

肉体と精神力を持っているのかを選ばせた。


 候補は、主神を封じた当時のトーマの年齢に近い

16~20歳までの男子とされた。


 そこで選ばれた者を“主神の守役”(ぬしがみのもりやく)と称え、

主神をトーマの代わりにその身の内に封じさせた。


 これ以後、主神の守役が主神を封じていられる限界を45歳までとし、

それまでに次の守役(もりやく)を選ばなくてはならなかった。

 

そこで、約20年周期である金の星と土の星が重なる時期に合わせて

主神から人類を守るため、それぞれの国で守役を選ぶことになったのだ。



 そして、今年がその年―――


 キースが住んでいる国の順番だった・・・




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