守役たち 1
「お前のことはよくわかったよ、カイン。
じゃあ、俺もお前の質問に答えるとしよう」
キースはカインを見つめたまま、話を進めた。
「俺は18歳の時にここに連れてこられた。
だから18年経った今は、本当は36歳になっているわけだ。
だがお前も見ての通り、俺は歳を取っちゃいない。
いや、正確には・・・
俺の年齢は21歳で止まったことになる」
「それは・・・どういうことなんですか?」
カインが身を乗り出した。
「俺が21歳の時、主神が俺の身体に入ったからだ」
カインはキースの言葉にショックを受けた。
「そ、そんな・・・」
「驚いたか?
でも、お前だってそのために選ばれて
わざわざこの場所へ来たんだろう?」
キースは穏やかな笑みを浮かべると、さらに話を続けた。
「俺をここへ連れてきた時の守役も若かった。
俺はてっきり主神が身体に入り込んだ奴は、
化け物のように身体が変化するものとばかり思っていたもんだから、
その若くて優しそうな彼の姿を見たときは驚いたよ」
「はい。実は僕もそう思っていました」
カインの言葉にキースは笑いながらうなずいた。
「そうだろうな。
守役が島に渡れば、あとは一生他の人間の前には姿を現さない。
そう思われるのも仕方ないさ」
さらにキースは話を続けた―――
「その時の守役についてなんだが、
彼は20歳で守役に選ばれ、すぐに主神を入れられたのだと言っていた。
だから、彼の身体は20歳の時のままだったんだ。
本当の年齢は40歳だったのだがな。
だが彼は、俺の身体にすぐに主神を移すようなことはしなかった。
俺がここの生活に慣れるまで、一緒に暮らしてくれたんだ。
守役の限界は45歳までだから、本当は5年は一緒にいられたはずだった。
だが、ある日、俺は・・・」
言いかけて、キースはグッと唇を閉じた。
「キース、どうしましたか?」
カインは心配そうにキースの顔を覗き込んだ。
「いや、なんでもない」
キースは何かを振り切るように頭を振った。
グレーの髪がサワっとなびいた。
「とにかく、俺があの人といられたのは3年間だった。
そして、俺が21歳の時に主神が身体に入った。
主神が入ってしまえば見た目は歳を取らなくなる。
だから俺もその時のままなんだ」
「主神が入っているって、どんな気分なんですか?」
カインは恐る恐る聞いた。
「そうだな・・・。
身体の中に、自分とは別の“意思のようなもの”があるって感じだろうか。
だが、それだけだ。
普通に生活している分には全く支障はない。
今まで15年間一人で暮らしてきたが、特にどうというものでもなかったさ」
「怖くは・・・ないんですか?」
「もう俺の身体の一部みたいなものだ。
今更怖いなんて感じないね」
心配そうに自分を見つめるカインに、
キースはおどけたようにウインクをして見せた。




