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「命を喰うレベルアップ ―僕は誰かの余命で強くなる―」  作者: 黒豚
第3章 現実という名の戦場

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第五十話です。 どうぞよろしくお願いします。

第五十話です。

どうぞよろしくお願いします。


賞金稼ぎとの戦闘を終えた俺たちは、まず、腹ごしらえのため、市場近くの食堂へと、駆け込んだ。


「また、限界まで、我慢してたんですね」


ユイの呆れたような視線に、俺は、苦笑いを返すしかなかった。運ばれてきた煮込み料理を、俺たちは、無我夢中で、かき込んだ。


【満腹度が回復しました】

現在:78/100


「生き返ります」


タクトが、深く、息を吐いた。サーラも、疲れた様子ながら、しっかりと、皿を空にしていた。


「これから、どうするか、少し、整理しましょうか」


俺の提案に、皆が、頷いた。俺たちは、食堂の隅の席で、これまでの状況を、改めて、整理することにした。


「運営が、俺たちを、指名手配みたいな形にした。それは、始まりの記憶――創設理念の記録が、外に、広まることを、恐れてるからです」


「でも、もう、私たちは、見てしまったわ。今更、なかったことには、できない」


サーラの言葉に、俺は、頷いた。


「はい。だから、俺たちにできることは、この情報を、できるだけ多くの、信頼できる人たちに、伝えることだと思います」


その時、店の入口に、見覚えのある人影が、現れた。


「セリアさん……!」


俺は、思わず、立ち上がった。セリアが、疲れた様子で、こちらへと、歩み寄ってくる。


「急いで、こちらに、来ました。詳しい話を、直接、伝えたくて」


俺たちは、周囲を警戒しながら、セリアを、席に招き入れた。


「運営直属機関について、追加の情報が、入りました」


セリアは、声を潜めながら、続けた。


「この機関、正式名称は『管理維持部』。表向きは、システムの安定運用を、担う部署です。ですが――創設理念に関わる、都合の悪い情報を、内密に、処理する役割も、担っているようです」


「都合の悪い情報を、処理する、というのは」


俺の問いに、セリアは、少し、言葉を選びながら、答えた。


「過去にも、同様の事例が、あったようです。運営の不備が、大きく問題化しそうになった時、その情報に、深く関わったプレイヤーが、何らかの形で、"排除"されてきた、という噂があります」


その言葉の重みに、俺たちは、しばらく、沈黙した。


「排除、というのは……」


ユイが、震える声で、尋ねた。


「詳細は、分かりません。ですが、最悪の場合――強制ログアウト措置や、アカウントデータの、削除に、相当する処置が、取られた可能性も、否定できません」


その説明に、俺は、背筋が、凍る思いだった。もし、それが、事実なら、俺たちは今、単なる、ゲーム内の脅威以上のものと、対峙していることになる。


「俺たちを、消すつもりなんでしょうか」


俺の問いに、セリアは、静かに、首を振った。


「そこまでは、まだ、分かりません。ただ――可能性として、頭に、入れておいてください」


セリアは、一枚の資料を、机に、広げた。


「管理維持部の、拠点は、この大陸の、さらに奥地――『封じられた塔』と呼ばれる場所に、あるとみられています」


「そこに、行けば、何か、分かるんですね」


俺の言葉に、セリアは、頷いた。


「はい。ただし――そこは、通常のプレイヤーが、立ち入ることを、想定していない、いわば、システムの、"裏側"に近い場所です。何が待ち受けているか、私にも、予測がつきません」


俺は、ユイ、タクト、サーラと、それぞれ、顔を見合わせた。全員の目に、確かな、覚悟が、宿っていた。


「行きましょう。ここまで来て、引き返すつもりは、ないです」


俺の言葉に、皆が、頷いた。


「私も、同行します」


セリアの申し出に、俺は、少し、驚いた。


「危険が、大きいですよ」


「私も、元は、あなたたちと同じ、巡礼者です。この世界の、本当の姿を、見届ける責任が、私にも、あると思っています」


その決意に、俺は、深く、頷いた。


「よろしくお願いします」


翌朝、俺たちは、五人での、新しい編成で、封じられた塔へと、出発した。


道中は、これまでとは、比較にならないほど、過酷なものだった。険しい山道、絶え間なく襲いかかる、強力なモンスターたち。


「観察眼……看破の瞳」


俺は、繰り返し、周囲の脅威を、確認しながら、進んだ。


【解析中……】

【機械獣・偵察型】

LV:65


「これ、明らかに、モンスターじゃないですね……」


俺の呟きに、セリアが、険しい表情で、頷いた。


「管理維持部が、独自に、配備した、防衛用の機械でしょう」


俺たちは、次々と、現れる機械獣を、連携で、退けていった。


「風刃、並列で、複数展開!」


俺は、育った並列詠唱を、駆使し、複数の風刃を、同時に、放った。以前より、遥かに、効率的な攻撃が、可能になっていた。


【機械獣・偵察型を撃破しました】(複数)

【討伐経験値を獲得しました】経験値:+3,200


「これで、道が、開けましたね」


ユイの言葉に、俺たちは、先へと、進んだ。


夕暮れ時、俺たちは、ようやく、封じられた塔の、麓に、辿り着いた。塔は、これまでの遺跡とは、まったく異質な、無機質な金属の外観をしていた。


「これが……」


サーラが、圧倒されたように、塔を、見上げた。


「中に入る前に、少し、休憩を取りましょう」


俺の提案に、皆が、頷いた。俺たちは、その場で、簡易的な野営の準備を、整えた。


「明日、いよいよ、本丸ですね」


タクトの言葉に、俺は、頷いた。


「はい。今夜のうちに、しっかり、休んでおきましょう」


夜、俺は、一人、焚き火を見つめながら、これまでの旅路を、振り返っていた。


「リョウさん、少し、いいですか」


ユイが、静かに、隣に、腰を下ろした。


「はい」


「怖く、ないんですか。運営そのものと、対峙するかもしれないなんて」


ユイの問いに、俺は、少し、考えてから、答えた。


「正直、怖いです。でも――」


俺は、焚き火の炎を、見つめながら、続けた。


「この世界に来て、俺は、色んな人と、出会いました。ユイさん、タクトさん、サーラさん、クロト、そして、ライアスさんや、フィリアさん。みんな、それぞれの事情を、抱えながら、必死に、生きてます」


「はい」


「その、みんなが、生きてる、この世界の、本当の姿を、知らないまま、目を逸らすことは、俺には、できないです」


俺の言葉に、ユイは、しばらく、黙り込んだあと、静かに、微笑んだ。


「私も、同じ気持ちです」


翌朝、俺たちは、いよいよ、塔の内部へと、足を踏み入れた。


内部は、これまで見た、どの場所とも違う、冷たく、機械的な空間だった。壁面には、無数のケーブルのようなものが、走っている。


「観察眼……看破の瞳」


俺は、慎重に、周囲を、探った。


【解析中……】

【周辺環境】

生体反応:極めて強力な、単一反応(中枢に集中)


「かなり、強い相手が、いるみたいです」


俺の言葉に、緊張が、走った。


塔の中央、螺旋状の通路を、俺たちは、慎重に、上へと、進んだ。何度か、機械獣の群れに、遭遇したが、俺たちの連携は、既に、揺るぎないものになっていた。


「風纏、身体強化、並列で!」


「風刃!」


「盾撃!」


俺たちは、着実に、道を、切り開いていった。


【機械獣を撃破しました】(複数)

【討伐経験値を獲得しました】経験値:+4,500(累計)


最上階に近づくにつれ、周囲の空気が、明らかに、変化していくのを、俺は、感じていた。


「もうすぐ、ですね」


セリアの言葉に、俺は、頷いた。


最後の扉の前に、俺たちは、立った。俺は、看破の瞳を、扉の先へと、向けた。


【解析中……】

【???】

LV:測定不能


「これまでで、一番、強い相手かもしれません」


俺の言葉に、全員の表情が、引き締まった。


「行きましょう。ここまで来たら、後戻りは、できません」


俺の言葉に、皆が、頷いた。俺は、扉に、手をかけ、ゆっくりと、押し開いた。


扉の先――そこには、無数の光る球体に囲まれた、中央に、人型の、しかし、明らかに人間ではない、存在が、佇んでいた。


「よくぞ、ここまで、辿り着いた」


その声は、これまで聞いた、どの声とも違う、機械的でありながら、どこか、人間らしい響きを、持っていた。


「あなたが、管理維持部の……」


俺の問いに、その存在は、静かに、頷いた。


「私は、この世界の、管理AIの一部。創設者たちの理念を、守るために、存在している」


「守る、ということは……」


「創設理念の記録が、無秩序に、拡散することは、この世界そのものの、存続を、危うくする。だから、私は、それを、阻止しなければならない」


その言葉とともに、周囲の光る球体が、一斉に、輝きを増した。


「戦いは、避けられないみたいですね」


俺の呟きに、皆が、それぞれ、武器を、構えた。


「これが、この物語の、最後の戦いに、なるかもしれません」


俺の言葉に、ユイ、タクト、サーラ、セリアが、それぞれ、力強く、頷いた。


俺は、改めて、自分のステータスを、確認した。


────────────────────

延命ポイント(LP):29.9日分

────────────────────


三十日という、当初の数字に、限りなく近い、この瞬間。俺たちは今、この世界の、本当の意味を、賭けた、最後の戦いに、挑もうとしていた。


「行きます」


俺の合図とともに、俺たちは、目の前の、管理AIへと、向かって、駆け出した。

────────────────────

【ステータス】

名前:リョウ

LV:37

HP:215/215 MP:150/150

STR:140 VIT:115

AGI:128 INT:85


延命ポイント(LP):29.9日分

所持金:銀貨94枚

名声:871

満腹度:65/100


次のレベルまで:13,800/26,000


【冒険者ランク】

B


【装備】

胴:砂塵避けの軽装ローブ

武器:嵐風の双牙

足:革のブーツ

装飾:魔力の指輪

携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手(タクト)


【所持スキル】

・痛覚遮断

・看破の瞳

・植物知識・中級

・木工の心得・初級

・調合の心得・初級

・回復魔法・上級

・回避の心得・上級

・風纏・中級

・身体強化・中級

・文献解読・初級

・並列詠唱・上級

・対人戦の心得・初級

・灼熱耐性・初級

・風刃・初級


【称号】

・一線を越えた者

・世界の歪みを正した者

・簒奪者

────────────────────


最後まで読んでいただきありがとうございました。

管理維持部、そして、管理AIとの、ついに始まる決戦。

次回、クライマックスです。

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