第五十話です。 どうぞよろしくお願いします。
第五十話です。
どうぞよろしくお願いします。
賞金稼ぎとの戦闘を終えた俺たちは、まず、腹ごしらえのため、市場近くの食堂へと、駆け込んだ。
「また、限界まで、我慢してたんですね」
ユイの呆れたような視線に、俺は、苦笑いを返すしかなかった。運ばれてきた煮込み料理を、俺たちは、無我夢中で、かき込んだ。
【満腹度が回復しました】
現在:78/100
「生き返ります」
タクトが、深く、息を吐いた。サーラも、疲れた様子ながら、しっかりと、皿を空にしていた。
「これから、どうするか、少し、整理しましょうか」
俺の提案に、皆が、頷いた。俺たちは、食堂の隅の席で、これまでの状況を、改めて、整理することにした。
「運営が、俺たちを、指名手配みたいな形にした。それは、始まりの記憶――創設理念の記録が、外に、広まることを、恐れてるからです」
「でも、もう、私たちは、見てしまったわ。今更、なかったことには、できない」
サーラの言葉に、俺は、頷いた。
「はい。だから、俺たちにできることは、この情報を、できるだけ多くの、信頼できる人たちに、伝えることだと思います」
その時、店の入口に、見覚えのある人影が、現れた。
「セリアさん……!」
俺は、思わず、立ち上がった。セリアが、疲れた様子で、こちらへと、歩み寄ってくる。
「急いで、こちらに、来ました。詳しい話を、直接、伝えたくて」
俺たちは、周囲を警戒しながら、セリアを、席に招き入れた。
「運営直属機関について、追加の情報が、入りました」
セリアは、声を潜めながら、続けた。
「この機関、正式名称は『管理維持部』。表向きは、システムの安定運用を、担う部署です。ですが――創設理念に関わる、都合の悪い情報を、内密に、処理する役割も、担っているようです」
「都合の悪い情報を、処理する、というのは」
俺の問いに、セリアは、少し、言葉を選びながら、答えた。
「過去にも、同様の事例が、あったようです。運営の不備が、大きく問題化しそうになった時、その情報に、深く関わったプレイヤーが、何らかの形で、"排除"されてきた、という噂があります」
その言葉の重みに、俺たちは、しばらく、沈黙した。
「排除、というのは……」
ユイが、震える声で、尋ねた。
「詳細は、分かりません。ですが、最悪の場合――強制ログアウト措置や、アカウントデータの、削除に、相当する処置が、取られた可能性も、否定できません」
その説明に、俺は、背筋が、凍る思いだった。もし、それが、事実なら、俺たちは今、単なる、ゲーム内の脅威以上のものと、対峙していることになる。
「俺たちを、消すつもりなんでしょうか」
俺の問いに、セリアは、静かに、首を振った。
「そこまでは、まだ、分かりません。ただ――可能性として、頭に、入れておいてください」
セリアは、一枚の資料を、机に、広げた。
「管理維持部の、拠点は、この大陸の、さらに奥地――『封じられた塔』と呼ばれる場所に、あるとみられています」
「そこに、行けば、何か、分かるんですね」
俺の言葉に、セリアは、頷いた。
「はい。ただし――そこは、通常のプレイヤーが、立ち入ることを、想定していない、いわば、システムの、"裏側"に近い場所です。何が待ち受けているか、私にも、予測がつきません」
俺は、ユイ、タクト、サーラと、それぞれ、顔を見合わせた。全員の目に、確かな、覚悟が、宿っていた。
「行きましょう。ここまで来て、引き返すつもりは、ないです」
俺の言葉に、皆が、頷いた。
「私も、同行します」
セリアの申し出に、俺は、少し、驚いた。
「危険が、大きいですよ」
「私も、元は、あなたたちと同じ、巡礼者です。この世界の、本当の姿を、見届ける責任が、私にも、あると思っています」
その決意に、俺は、深く、頷いた。
「よろしくお願いします」
翌朝、俺たちは、五人での、新しい編成で、封じられた塔へと、出発した。
道中は、これまでとは、比較にならないほど、過酷なものだった。険しい山道、絶え間なく襲いかかる、強力なモンスターたち。
「観察眼……看破の瞳」
俺は、繰り返し、周囲の脅威を、確認しながら、進んだ。
【解析中……】
【機械獣・偵察型】
LV:65
「これ、明らかに、モンスターじゃないですね……」
俺の呟きに、セリアが、険しい表情で、頷いた。
「管理維持部が、独自に、配備した、防衛用の機械でしょう」
俺たちは、次々と、現れる機械獣を、連携で、退けていった。
「風刃、並列で、複数展開!」
俺は、育った並列詠唱を、駆使し、複数の風刃を、同時に、放った。以前より、遥かに、効率的な攻撃が、可能になっていた。
【機械獣・偵察型を撃破しました】(複数)
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+3,200
「これで、道が、開けましたね」
ユイの言葉に、俺たちは、先へと、進んだ。
夕暮れ時、俺たちは、ようやく、封じられた塔の、麓に、辿り着いた。塔は、これまでの遺跡とは、まったく異質な、無機質な金属の外観をしていた。
「これが……」
サーラが、圧倒されたように、塔を、見上げた。
「中に入る前に、少し、休憩を取りましょう」
俺の提案に、皆が、頷いた。俺たちは、その場で、簡易的な野営の準備を、整えた。
「明日、いよいよ、本丸ですね」
タクトの言葉に、俺は、頷いた。
「はい。今夜のうちに、しっかり、休んでおきましょう」
夜、俺は、一人、焚き火を見つめながら、これまでの旅路を、振り返っていた。
「リョウさん、少し、いいですか」
ユイが、静かに、隣に、腰を下ろした。
「はい」
「怖く、ないんですか。運営そのものと、対峙するかもしれないなんて」
ユイの問いに、俺は、少し、考えてから、答えた。
「正直、怖いです。でも――」
俺は、焚き火の炎を、見つめながら、続けた。
「この世界に来て、俺は、色んな人と、出会いました。ユイさん、タクトさん、サーラさん、クロト、そして、ライアスさんや、フィリアさん。みんな、それぞれの事情を、抱えながら、必死に、生きてます」
「はい」
「その、みんなが、生きてる、この世界の、本当の姿を、知らないまま、目を逸らすことは、俺には、できないです」
俺の言葉に、ユイは、しばらく、黙り込んだあと、静かに、微笑んだ。
「私も、同じ気持ちです」
翌朝、俺たちは、いよいよ、塔の内部へと、足を踏み入れた。
内部は、これまで見た、どの場所とも違う、冷たく、機械的な空間だった。壁面には、無数のケーブルのようなものが、走っている。
「観察眼……看破の瞳」
俺は、慎重に、周囲を、探った。
【解析中……】
【周辺環境】
生体反応:極めて強力な、単一反応(中枢に集中)
「かなり、強い相手が、いるみたいです」
俺の言葉に、緊張が、走った。
塔の中央、螺旋状の通路を、俺たちは、慎重に、上へと、進んだ。何度か、機械獣の群れに、遭遇したが、俺たちの連携は、既に、揺るぎないものになっていた。
「風纏、身体強化、並列で!」
「風刃!」
「盾撃!」
俺たちは、着実に、道を、切り開いていった。
【機械獣を撃破しました】(複数)
【討伐経験値を獲得しました】経験値:+4,500(累計)
最上階に近づくにつれ、周囲の空気が、明らかに、変化していくのを、俺は、感じていた。
「もうすぐ、ですね」
セリアの言葉に、俺は、頷いた。
最後の扉の前に、俺たちは、立った。俺は、看破の瞳を、扉の先へと、向けた。
【解析中……】
【???】
LV:測定不能
「これまでで、一番、強い相手かもしれません」
俺の言葉に、全員の表情が、引き締まった。
「行きましょう。ここまで来たら、後戻りは、できません」
俺の言葉に、皆が、頷いた。俺は、扉に、手をかけ、ゆっくりと、押し開いた。
扉の先――そこには、無数の光る球体に囲まれた、中央に、人型の、しかし、明らかに人間ではない、存在が、佇んでいた。
「よくぞ、ここまで、辿り着いた」
その声は、これまで聞いた、どの声とも違う、機械的でありながら、どこか、人間らしい響きを、持っていた。
「あなたが、管理維持部の……」
俺の問いに、その存在は、静かに、頷いた。
「私は、この世界の、管理AIの一部。創設者たちの理念を、守るために、存在している」
「守る、ということは……」
「創設理念の記録が、無秩序に、拡散することは、この世界そのものの、存続を、危うくする。だから、私は、それを、阻止しなければならない」
その言葉とともに、周囲の光る球体が、一斉に、輝きを増した。
「戦いは、避けられないみたいですね」
俺の呟きに、皆が、それぞれ、武器を、構えた。
「これが、この物語の、最後の戦いに、なるかもしれません」
俺の言葉に、ユイ、タクト、サーラ、セリアが、それぞれ、力強く、頷いた。
俺は、改めて、自分のステータスを、確認した。
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延命ポイント(LP):29.9日分
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三十日という、当初の数字に、限りなく近い、この瞬間。俺たちは今、この世界の、本当の意味を、賭けた、最後の戦いに、挑もうとしていた。
「行きます」
俺の合図とともに、俺たちは、目の前の、管理AIへと、向かって、駆け出した。
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【ステータス】
名前:リョウ
LV:37
HP:215/215 MP:150/150
STR:140 VIT:115
AGI:128 INT:85
延命ポイント(LP):29.9日分
所持金:銀貨94枚
名声:871
満腹度:65/100
次のレベルまで:13,800/26,000
【冒険者ランク】
B
【装備】
胴:砂塵避けの軽装ローブ
武器:嵐風の双牙
足:革のブーツ
装飾:魔力の指輪
携帯品:長期保存食・船上用軽量ブーツ(ユイ)・耐水加工の籠手
【所持スキル】
・痛覚遮断
・看破の瞳
・植物知識・中級
・木工の心得・初級
・調合の心得・初級
・回復魔法・上級
・回避の心得・上級
・風纏・中級
・身体強化・中級
・文献解読・初級
・並列詠唱・上級
・対人戦の心得・初級
・灼熱耐性・初級
・風刃・初級
【称号】
・一線を越えた者
・世界の歪みを正した者
・簒奪者
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
管理維持部、そして、管理AIとの、ついに始まる決戦。
次回、クライマックスです。
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