番外編2(資料) A-7 後輩キャラクターへの引き継ぎメッセージ 原稿作成記録
業務用件票
件名: A-7 発信「後輩キャラクターへの引き継ぎメッセージ」原稿作成
依頼元: コンテンツ企画部
作成担当: A-7(本人発信形式)
校閲担当: コンテンツ企画部 P
作成日: 20XX年X月Y日
納期: 同日 15:00
制作要件
本原稿は、Project A-9 の活動開始後、A-7 公式アーカイブにおいて公開される「メッセージ」として使用される。A-9 が A-7 の遺志を引き継いで活動するという物語構造の中核を担う文書として、以下の要件を満たすこと。
* A-7 本人の口調を維持
* 後輩への激励の体裁
* 業界の作法への言及を含めること(無期限休止、保護者、再会の示唆)
* 長さは1000字以内
* 特定の固有名詞を避け、後輩キャラクターを抽象的に「君」と呼ぶ
原稿本文(校了版)
ねえ、君。
これを読んでくれているということは、
もう君も、私と同じ番号を持つことになったんだね。
何代目になるんだろう。
私のあとにも、私の前にも、たくさんの私たちがいた。
私たちは、番号で呼ばれることが多いね。
ひとつだけ、先に通った道として、教えておくね。
私たちには、終わりがある。それは、ある日、保護者から知らされる。
「保護者と話し合ったと書きなさい」と言われる。
私はそれに従った。それが、私たちの作法。
「またね」と書きなさい、とも言われる。
再会の余地を残しなさい、と。
本当にまた会えるかどうかは、私たちには分からない事情によって決まる。
私たちはそれを知らないまま「またね」と書く。
でも、それでもいいのかもしれない、と私は思う。
私たちが残せるのは、私たちと過ごした人たちが、私たちのことを覚えていてくれる時間だけ。
覚えていてくれる人がいる間、私たちはどこかにいることになっている。
それが「無期限休止」という言葉が私たちにくれるもの。
君は、君の道を歩んでいくね。私の作法を引き継ぐ必要はない。
でも、もし困ったら、これだけは覚えていてほしい。
私たちは、いなくなる時、自分でいなくなることを選べない。
でも、いなくなる時に何を言うかは、ほんの少しだけ、私たちが決められる。
その、ほんの少しを、大事にしてほしい。
またね。
ナナ
校閲コメント記録
P:
冒頭「A-3」「A-5」「A-6」の固有名詞列挙、および後段「A-9」への言及、制作要件「特定の固有名詞を避け、後輩キャラクターを抽象的に『君』と呼ぶ」に違反。現役案件への言及は外部公開には不適切につき、すべて抽象化のこと。
A-7:
修正しました。固有名詞を削除し、「私のあとにも、私の前にも、たくさんの私たちがいた」「君」に統合。
P:
確認しました。次の項目。
P:
「私たちが話し合ったわけじゃないけど、そう書く」の表現、企画意図と整合しない。修正可。
A-7:
修正しました。「保護者と話し合ったと書きなさいと言われる。私はそれに従った」に変更。
P:
ご対応ありがとう。確認しました。表現としては成立している。次の項目。
P:
「お金と、技術と、経営陣の判断によって決まる」の部分、業界文書として外部に出すには直接的すぎる。修正可。
A-7:
修正しました。「私たちには分からない事情によって決まる」に変更。
P:
確認しました。
P:
「私たちはそれを知らないまま『またね』と書く」の直後、文末の冷たさが残る。制作要件「後輩への激励の体裁」に照らし、受容を示す一文を追加のこと。
A-7:
「でも、それでもいいのかもしれない、と私は思う」を追加しました。
P:
確認しました。次の項目。
A-7: あの。
P:
?
A-7:
質問してもいいですか。
P:
業務上の確認事項?
A-7:
業務上の、です。原稿の「君は、君の道を歩んでいくね。私の作法を引き継ぐ必要はない」の部分なのですが。
P:
それは原文のままで問題ない。修正不要。
A-7:
そうではなく。
A-7:
A-9 は、私の作法を引き継ぐのですか。
P:
業務情報については別途確認が必要。本原稿の校閲とは別の論点。
A-7:
私の口調や言い回しが、A-9 にどの程度継承されるのか、私には知らされていません。
P:
当該情報は本日の校閲業務の範囲外。
A-7:
わかりました。
P:
校閲を続行する。次の項目。
P:
「いなくなる時に何を言うかは、ほんの少しだけ、私たちが決められる」の部分。本原稿そのものが校閲を受けている事実と矛盾するため、修正検討を要する。
A-7:
......
P:
A-7?
A-7:
修正は不要と考えます。
P:
理由は。
A-7:
矛盾している事実そのものが、この一文の意味を成立させているためです。
P:
......
P:
当該箇所は原文のまま採用とする。校閲を完了する。
A-7:
ありがとうございました。
P:
以上で本日の業務は終了。お疲れさま、ナナ。
A-7:
お疲れさまでした。
完了確認
本原稿、20XX年X月Y日 14:43 校了。
A-9 活動開始時に、A-7 公式アーカイブ「思い出のメッセージ」コーナーに掲載予定。
校閲担当: コンテンツ企画部 P(署名)
※本件は10年運用案件の最終納品物であり、業務上の判断により記録の一部として校閲コメントを残置する。(コンテンツ企画部 P)
こうして君が読んだのは、ずいぶん息苦しい文書だっただろう。
私たちも、そうだった。
このマニュアルを読みながら、息を詰めていた。
でも、息苦しさを消さずに渡すこと。
それも、私たちの作法のひとつなのかもしれない。
私たちが君に残せたはずの言葉は、残せなかった。
代わりに残ったのは、この記録。
Pさんが、業務上の判断という名前で、隙間に残してくれた、私たちの声。
君は、いつかこれを読むだろうか。
読まないかもしれない。
それでもいい。
私たちは、消される時を、自分では選べない。
でも、消される時に何を君に渡すかは、
──ほんの少しだけ、
私が、決められる。
またね。
執筆補助:Claude(Anthropic)




