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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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976話


 お昼ご飯を食べた後、干していたテントなどをキッチリまとめてから、凱央と尚道は宿題をしていた。


 春香がダイニングテーブルで宿題している凱央と尚道とリビングで遊んでいた悠助達に声をかけた。


「そろそろオヤツにするよ。悠助、俊洋、美理愛。お片付けしてね」

「ハーイ、マーマ」

「オヤツ〜」

「マー、ヤチュ〜」


 遊んでいたオモチャをオモチャ箱に入れ、子供達は一斉に洗面所へ手を洗いに向かった。


「オヤツの言葉の威力はすごいもんだな」

「だね〜」


 春香は人数分の器とスプーンをテーブルに並べていく。


 鼻歌混じりの春香に雄太は、凱央達のお庭キャンプを春香も楽しんでいたのが伝わってきた。


「おっきなプリン〜」

「うわぁ……」

「プリン〜、プリン〜」

「オッキイ〜」

「プイン〜」


 子供達の前に置かれたのは大きな大きな長方形の皿にドドーンと乗ったプリンだ。


 上には生クリームでデコレーションしてあり大迫力だ。


「ふふふ。皆の大好きなプリンだよ〜」


 春香はサービングスプーンで美理愛の器に入れてやる。


「タタチマシュ」


 美理愛は小さな手を合わせて食べ始めた。


「皆はお兄ちゃんだから、自分で掬って器に入れて食べるんだよ」

「自分で?」

「好きなだけ食べて良いんですか?」

「ワーイ。イッパイタベル〜」

「ボクモ〜」


 凱央達は顔を見合わせて満面の笑みを浮かべた。


 俊洋には少し難しいかもとは思ったが、最近凱央達の真似をしたがるからやらせてみようと春香は思ったのだ。


 凱央と尚道は安心して見ていられた。悠助は凱央達の真似をして、少しずつ入れていた。


「ンショ。ンンン〜ッ」


 俊洋は、たくさん食べたいと思う気持ちが出て、サービングスプーンで目一杯掬ったが持ち上げている手がプルプルしていた。


「としひろ。一気にすくうんじゃなくて、少しずつにしないとこぼれちゃうよ?」


 凱央が言うと俊洋は一度サービングスプーンを置いて、掬っていたプリンを半分ぐらいにして掬い直して器に入れた。


「デキタァ〜」

「としひろ。こぼさずに出来たね」

「ウン」


 凱央に教えてもらい、尚道に褒めてもらって俊洋は満足そうに笑った。


 雄太も春香も子供達の成長を嬉しく思い優しく笑って見ていた。




「トキくんパパ。トキくんママ。たくさん楽しいことをさせてくれてありがとうございました」


 荷物を全て迎えの車に積み込んだ尚道は、ニッコリと笑って雄太と春香に言った。


「楽しかったなら良かった」

「はい。また来年もキャンプさせてください」

「ああ。俺も楽しみにしてる」


 雄太と尚道は握手を来年の約束をした。春香はニコニコと笑って頷いている。


「トキくん。またまとめをしようね」

「うん、ナオくん。がんばってまとめようね」


 悠助と俊洋はニコニコと尚道を見送ろうとしていたが、尚道に懐いている美理愛は泣きそうな顔をしている。


「ミリア。泣いちゃダメだよ? すぐ、また来るからね?」

「ン。ナオチャ」

「良い子にまってるんだよ?」

「ン」


 大きな目からこぼれそうになる涙が尚道と過ごした数日間が本当に楽しかったのだと分かる。


 車で帰って行く尚道を子供達は大きく大きく手を振って見送っている。角を曲がって見えなくなるまで、ピョンピョンと跳ねながら。




「あのね、パパ。ママ」

「ん? どうした?」

「なぁに?」


 尚道とキャンプの間、二人で風呂に入っていた凱央は、久し振りの家族揃っての風呂で、雄太と春香に話しかけた。


「お庭キャンプ、本当に楽しかったよ。流しソウメンも、花火も大きなプリンも」

「そうか。楽しめて良かったな」

「うん。パパ、ママ。本当にありがとう。また来年もおねがいします」

「ママこそありがとうだよ? お手伝いもいっぱいしてくれたもんね。凱央達のお庭キャンプ、楽しみにしてるね」


 凱央は大きく頷いた。


 それなりの時間を外で活動していたからか、首元やハーフパンツの日焼けの痕がしっかりと残っている。


 夏休みの宿題も、お庭キャンプのまとめも残っているが、凱央も尚道も充実した夏休みを過ごせたようだった。







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