十六夜の特異性
特殊能力を持ったり、人間でなかったりする者たちが、隠れて通う学校が普通であるはずがない。
襲撃を受けることだってザラにあるのだ。
警備は厳重だ。
警備員はいないが、ただ、生徒が通うだけでそこは厳重な警備になる。
その生徒単体で、どれほどの力があるのか、真実を知るものは少ない。
特異な点はいくつかある。
一つに、武器が備え付けてあることである。
武器といっても、あからさまなものは置いておくことができない。
しかし、長い棒、なら、置いておいても問題はないだろう。
掃除用具入れには、特定の生徒の武器に近しい長さの掃除用具が必ず用意され、さりげなく置かれている。
重心、重さ、長さ、持ち手、強度。
一般生徒は、使いにくい掃除用具だと思うだけで、本来の用途は知らない。
ただ、オーダーメイドの武器は確実に用意されているのだ。
他にも、弓道の道具が各教室に配置されていたり、剣道部員がいないのに、木刀が置かれていたりするのも、その一環だ。
二つに、避難訓練である。
避難訓練とはご存知の通り、災害や事件を想定して、避難方法を確認、実践するものである。
この前提は、十六夜でも変わらない。
しかし、十六夜のある生徒たちにとっては異なるもの。
災害や事件のときに、どのように行動するかを予行し、備えるためのものである。
だから、不審者対応訓練は、不審者役は警察ではなく、特諜局関連のプロだし、彼らは、適当なミスをして、団体から抜けて、戦闘の末に、犯人を捉えることが目的である。避難など、しないのだ。
不審者側も、怪我を負わせる気でかかってくるし、実力がなければ、自分が大変な目に遭うだけ。
他の災害の際も、適当なことで、集団から外れ、救護、もしくは、特諜局の仕事に戻ることが大切だとされている。
集団行動など糞食らえ。
集団行動から、いかに自然に抜け出すのか、それが問われているのだ。
さらに、避難訓練に事前の通告などない。急に始まり、急におわる。
予定表にすら、書かれていないのだから、恐ろしい。
これが、十六夜の避難訓練。
異質な避難訓練だ。




