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昼と夜の交わり  作者: 泡沫
揺らぐ正義と人の陰
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向かう先は


 京介が茜を降ろし、助手席のドアを開けた。


 助手席の前は余裕があって、脚を伸ばしてくつろげるようになっている。茜が所定の位置に杖を置き寛ぐと、京介はドアを閉めて、彼は反対側に移動して運転席に乗車した。


 茜は京介がエンジンをかけるのを見ながら、溜め息をついて一言声を掛けた。


 「京介、家に向かって。」


 その言葉に京介は驚きのあまり彼女を凝視してしまった。


 「家、ですか?」


 彼は自分の聞き間違えではないかと慎重に確認を試みた。彼の表情は彼女への心配を物語っている。

 彼女は彼のそんな気持ちを察して眉間に皺を寄せながらも無理やり笑顔を作って首肯する。


 「心配はしなくて平気よ。もう、覚悟はできているわ。」


 京介から目を逸らし茜は正面のガラスから遠くを見つめた。

 彼は何も映していないような彼女の瞳を見て、彼女の言葉を聞いて、これは必要なこと尚且つ既に決断してしまっていることを悟った。


 「……分かりました。ただ、覚えておいてください。何があっても私はお嬢様の味方ですよ。」


 悩みながらも承諾の意を返し、そして念を押すように彼女を支えたい気持ちをはっきりと言葉にした。彼が頭を抱え苦悶の表情でそれを言っているのを見て彼女は静かに静かに涙を堪える。


 「ありがと。心強いわ。」


 微笑んで彼女が言った言葉に彼は微笑み返した。

 京介は周りを確認してからアクセルを踏む。そして、方針が決まったことを報告するために茜は携帯電話を持ち、担当のものに連絡を入れた。


 「もしもし?雲林院茜です。件の邪霊の処理が終了しました。原因を探ったところ、封印が解けかけている箱が置いてありましたので封印し直しに家に行って参ります。その箱、明らかに最近置かれたものでしたので、何か裏があるかもしれません。っと、これ以上はわたくしの範疇ではありませんね。そして一つお願いが。」


 茜はかねてより心配していた友人への言伝を頼んだ。

 その願いが承諾されると安堵の微笑みを浮かべて、感謝と挨拶を述べて電話を切った。


 彼女は天を仰ぎ体を逸らす。脈動が頭に響く。唇を噛み締め、やがて意図的に力を抜いて目を閉じた。眠ろうとするも眠れず瞑想のような状態を保っている。



 京介は車を走らせる。


 幾久訪れていない茜の実家へと。

 敵地に向かう面持ちで緊張感を滲ませながら。



<次回>「気遣いは読心から」8月31日投稿予定

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