表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昼と夜の交わり  作者: 泡沫
揺らぐ正義と人の陰
38/63

世話係

 俺は空を仰いで茜が任務を終わらせたことを悟った。


 成功したということは、死んではいないということだろう。

 俺は一息ついた。

 茜は平然とこの仕事を当たり前と思っているが、毎度毎度の仕事で死の危険に晒されなければならない仕事が世の中の普通なはずがない。

 俺が毎度の仕事で肝を冷やしていることなど、茜は知らないのだろう。それでも憂鬱になりながらも、俺が彼女を止めることなどできないから、板挟みになって頭を悩ませる。


 そして、彼女から離れることも、また自分にとって無理な話だと理解している。



 茜が向こうから此方に向かってくるところが見えた。

 遠目で見る限り、怪我はしていないようだ。ただ、少し左脚をいつもよりもひきずって歩いているように見える。転んだか、使いすぎたか、どちらにしても、俺は眉を顰める。

 深傷というわけではなさそうだが、無傷というわけにもいかなかったようだ。


 俺はズカズカと茜に近づいた。


 「茜嬢、怪我されたようですね。」


 「京介、わたくしは怪我なんてしてないわ。今回は相手の攻撃は一度も受けていないもの。」


 「なら、言い方を変えます。左脚、いつもより引きずっていますが、どうされましたか?」


 「いや、それは…その…。ちょっと調子に乗ったといいますかねぇ…」


 茜はバツが悪そうに目をそらして口籠った。


 「別に私は怒っていませんよ。ただ、何事もなかったように装うのはどうかと思っただけです。」


 俺は少し屈んで茜の膝の裏と背中に手を支えて横抱きにした。

 茜は一瞬驚いてすぐに頬を膨らませた。


 「急に持ち上げるのはやめてって言ってるでしょ?それに、ボクは一人でも歩ける!おーろーしーてー!」


 茜は顔を真っ赤にして離れようと足掻いて、目を俺から逸らして「恥ずかしいじゃない。」と言った。

 それも俺から見れば微笑ましいのでより降ろしたくなくなる。その行動がより自分を下さなくさせているとは気づいていないのだろう。


 「ジタバタしないでください。落ちますよ。」


 俺が茜をじっと見て揺らがないとばかりに言うと、何をやっても無駄だと悟ったのか、茜は暴れるのをやめてじっとした。

  しかし、それでも納得はいかないのか、目を逸らしてだんまりを決め込んでいる。



 「………車までだからね。」


 妥協案とばかりに茜がボソリとつぶやいた。

 それ以上は許さんとその声は言っている。

 俺の中でもそれで構わないと思っていた。だからこそ心から笑顔でこう答えるのだ。


 「承知しました。」


 ーー俺の大事なお嬢様。

<次話>「向かう先は」同日投稿予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

関連小説


日時不明

「人魚の愛」

清水蓮日向浩輔が登場。


2008年4月3日

「すべてはあの桜花のせい」

瀬川悠凩緋彩糸瀬和馬龍崎美琴園咲霞清水涼などが登場。


2014年12月25日@特諜局

第2篇「たとえロマンチックじゃなくても…」

清水玲日向浩輔ほか特諜局の面々が登場。


2014年12月30日@要人警護社

第7篇「要人警護社の年越し(壱)」

瀬川悠凩緋彩風見紫樹遠山雛タチバナほか要人警護社の面々が登場。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ