第3章 29「黒エルフってヤバいやつ?」
「く、黒エルフ。今そういったよな!」
飛鬼はとんでもない形相でそう言ってきた。
「は、はい。確かに言いましたよ?」
するとユニアと飛鬼は二人目を合わせ、再びこちら向いた。
「今すぐここから出ますよ」
「そうだな。今すぐ出よう」
二人のペースについていけない他三人はキョトンとしていた。
「どういうこと?説明して」
わからない組を代表して、俺がユニアに向かって質問した。
「黒エルフは…」
ユニアの声を途中で遮るように、ズドーンと、地面が震えた。
「どういうことだ?」
ここには地震の原因になる地面なんてないダンジョンボックスの中だというのに
「攻めてきたんですよ!」
ユニアに誰がと、聞く前に飛鬼が答える。
「黒エルフか、畜生」
一体この二人が恐れる黒エルフとは何者なのだろうか?
「みなさん!戦闘態勢をとってください!」
ユニアの呼びかけにより、飛鬼は刀を、ロウネはナイフを、ユウラは蛮刀を、俺は黒の大剣を構えた。
目の前が光に包まれ、ユニアの部屋へと戻ってきた。そこに待ち構えていたのは十数人の黒エルフだった。
「お前がルーナを殺したのか?」
真ん中に立ち、黒光りする鎧を身に着けた男が俺に、そう確実に俺の方を見て話しかけてきた。しかし、ルーナという名前には聞き覚えはない。
「誰だ、ルーナってのは?」
俺のその発言に男は怒りを露わにした。
「ふざけるな!貴様が殺した同胞の名だ‼︎」
男の目には涙が見える。ルーナというのは俺が殺した黒エルフ。つまり、黒ローブのことを言っているように思える。
「あいつ、ルーナって名前だったのか…」
俺が少しだけ悲観していると、男は更に言葉を続けた。
「それにその剣は、サドルカ様ではないか!今すぐそれを返せ‼︎そして命で償え‼︎」
こちらが静かにしていれば注文の多い野郎である。
「嫌だと言ったら?」
「力尽く」
そう言い、男は背中にある盾と剣を取り出した。
「シャグルー、私を援護しろ」
その命令に応えたのは周りにいる黒エルフではなく、近くにいた『影』二体だった。
やつは『影』を動かせるのか?
俺の考える時間を遮り、男は『影』改めシャグルーとともに突っ込んできた。
「うおおお‼︎」
威勢のいい声を上げ、身体を盾で守りながら斬りかかってくる男。
「グラァァァ‼︎」
獣らしい声を上げ、左右から鋭い爪を構えるシャグルー。
俺の行動はすでに決まっている。
左から右に一閃。
炎を纏った黒の大剣は男の盾をも手応えなく斬り裂き、三人を真っ二つに斬った。
俺は無意識に一歩前に足を出し、男の腹から出た臓物を踏んでいることも気にせず一言。
「次は誰だ?」
その言葉に敵陣営も味方陣営も沈黙した。




