第3章 28「黒ローブは黒エルフ」
「ダンジョンボックスって法書が入ってたアレ?」
「その通りです」
ダンジョンボックス、過去に法を変えるために法書が必要で攻略を試みた。
中には実に魔法を思わせる物理法則ガン無視の空間が広がっていた。
「んで、これは?」
「これは避難用ですよ」
避難用?と続ける前にユニアは俺の手をダンジョンボックスに触れさせた。
俺を含め五人の人間が中に引き込まれ、中には普通の民家のような空間が広がっていた。
「さ、流石…魔法だな」
ダンジョンボックス初体験のユウラは口をポカンとさせてそんなことを呟いている。
「さ、別にここでお茶しに来たわけじゃないだろ?」
そう聞くのは嵐の神剣を持つ鬼、飛鬼だ。
「もちろん作戦会議ですよ。このままじゃ私たち楽々全滅ですからね」
さらっと恐ろしいことを口にするユニアだが、それはごもっともだ。あの数相手にこの人数で戦うには無理がある。
「マサキ様、それって…」
ユニアの指の先にあるのは黒ローブ改め、黒エルフから奪った剣。
「あぁサドルカの剣だよ」
その発言に周りの人たちはギョッとしている。黒エルフが握手だけで『人』を『影』に変えたという話があるからだろう。
「だ、大丈夫だよ。さっきロウネの手を引いたけど、ロウネはピンピンしてるだろ?」
その言葉から全員の視線がロウネに移り、確かに、と頷いた。
「で、どうする?」
「そうですね戦力的にはほぼ申し分ないくらいあるのですがね」
戦力は問題ないのだ。やはり単純な数の差とは偉大なものだ。
「こいつでなんとかならんかな?」
俺は所持するサドルカの剣に触れた。
「どうでしょうか…なんとも言えません」
じゃあさ、と、今まで口を閉じていたロウネが口を開いた。
「アルムスの剣は?」
アルムスの剣、サドルカと相対した神、アルムスが封じ込まれた剣。
「確かに、それならいけるかもしれませんね」
「じゃあ取りに行こう。アルムスの剣を」
その言葉に周りの人間が黙り込む。
「アルムスの剣は触れたら消滅する」
飛鬼が話すそれは俺も聞いたことがあった。サドルカとアルムスの戦い以来、使えたものはいないという。
「じゃあ俺が使う」
その言葉に一同、ため息をついた。
「確かにマサキ様ならそう言うとは思ってましたけど」
「大丈夫だよ。俺ならきっと使える」
そう言って周りの人間を説得し、決行の時間を決める。
「今日はもう夕方です。夜になれば彼らの姿は捉えづらいので決行は朝でいいですね」
全員が合意し、緊急時に備えてあった食料を食べて雑魚寝をした。
「そういえばマサキ様」
「ん?」
隣で横になるユニアが話しかけてきた。隣に寝てるからといって何かしようということはない。なぜなら人が多いから…
「結局、黒ローブは何者だったんです?」
静かな場所なためその声は恐らく全員に聞こえた。
「あぁ、黒いエルフだったよ」
俺のその言葉にユニア、そして飛鬼も飛び起きた。




