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第3章 13「男同士の話し合い」

 ユニアが立ち去り、俺とミルドの間に無言の時間が生まれる。その沈黙を破ったのはミルドだった。

「…で?話したいことって?」

「この国の歴史のことです」

 ミルドは不思議そうな顔をして、

「この前、光明寺で説明したのじゃ足りない?」

 俺は首を横に振って応えた

「ミルドさんが話してくれた歴史と教科書に載っている歴史には違いがありますよね?」

 その言葉にミルドの顔が変わった。

「なるほど…そういうことか」

「どうして同じ国で歴史の認識が違うんですか?」

「そんなの決まってるじゃないか…」

 ミルドは少し間をとってゆっくり話し始めた。

「正当な歴史はこの国の教科書から消えたんだよ…」

 一瞬、ミルドが何を言っているのだか理解できなかった。

「歴史が消えた…?」

 どういうこと?と、続ける前にミルドの解説が入った。

「サドルカを正義にしないといけなかったんだよ…」

「サドルカが正義?」

「うん…サドルカが正義じゃないと、魔法を使えるこの現状を飲み込めない人もいる…自分たちが継承した『魔法(ちから)』が悪からの産物って言うのは理解に悩むだろ?」

 そう言うものだろうか…

「だからサドルカのことを正義とするために嘘の歴史を伝承してるんだ」

 ミルドの言葉に違和感を覚え、一つの疑問が生まれた。

「じゃあミルドさんが真の歴史について知ってるのはなぜです?」

「僕だけじゃないさ…」

 そう言ってミルドは少し遠い目をした。

「僕はただ、神剣使いになったからこの真実を知れたんだ…そうでもなければそんなの知ってるのは国のお偉いさんくらいなもんだからね…」

「じゃあその秘密を光明寺で話してよかったんですか?」

 何を言われてるのかわからないようなミルドに説明を加える。

「外国の人たちにそんな重大なこと話してよかったのかってことです」

「それなら問題ない」

 俺がなぜです、と問う前にミルドが答えを言ってくれた。

「そのことを話すななんて誰からも言われてないし…」

 屁理屈のように聞こえるが俺にそれを否定する権利はないし、する気もない。

「そうだ。最後に一つ…」

「なんだい?」

 どう言葉にするかじっくり三秒考えてから口を開いた。

「サドルカの力を受けた多くの人は自我をなくして獣のようになった。そう言いましたよね?」

「うん…言ったよ」

「前に俺たちのところに出てきた『影の獣』は変身魔法ではなかったんです」

「うん…それは聞いたよ」

「サドルカの剣の力で人間を自我の無くした獣の状態にすることって…」

「実際に剣を振ったことがあるわけじゃないからな…可能性があるとしか…」

 その言葉とともにミルドとの間に沈黙が訪れた。

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