第3章 14「再開の黒ローブ」
「あ、まだここにいたんですね」
俺たちの沈黙を破った第三者、一人で宿を探しに行ったユニアが戻ってきた。
「ユニア、泊まれそうなとこあった?」
「えぇまぁ…」
そう言いながら目線が俺と違う場所に行っている。
少し疑問に思ったが瞬間、ミルドが背後を振り向き
「誰だ…」
と、低い声で言った。
「まぁまぁそうピリピリしなさんな樹の神剣使い殿」
どこから出ている声なのか、男か女かもはっきりと分からないその声の主は
「黒ローブ!」
「黒ローブとは…魔王様のネーミングセンスにはいかんせん問題があるみたいだな」
そう言いながら半壊の黒闇寺から姿を現したのは黒いローブを着た人…多分人だ。
「今日はあいさつに来たのさ。牢獄ではろくに話せなかったからね」
「ふざけるな…」
俺の中でフツフツと沸き上がる感情の一部が言葉となって口から漏れ出る。
「よくもぬけぬけとお前が…」
『影の獣』に殺された人たちは傷つけられた人たちはこいつにやられたも同義だ。
「今ここで倒す‼︎」
俺が剣を出し加速を始めると
「まぁ待てって…」
俺の目の前に現れた巨大な掌に受け止められる。
ミルドはゆっくり前に出た。
「お前らの目的はなんだ?」
「そこにいる魔王様を殺すことだ」
ローブの下から放たれる眼光から本気で自分を殺そうとしているのを感じ手から剣が落ちる。
「何のために?」
「気にくわないから…では足りないか?」
「もちろんだ」
黒ローブはため息を吐いてから続けた。
「貴様もわかるはずだ…そこの魔王は前魔王と比べて圧倒的に劣っている。知能に戦闘技術、魔力…私はあの人の時代を取り戻したいんだよ。戦いに明け暮れ、何もかも力で支配しようとしてたあの時代を」
ミルドは黒ローブの意見に少し考えてから口を開いた。
「確かにこないだまでは全くもって同意見だったよ…でも、今は違う。何もかも力で支配する世界なんて…もう望んでない。この世は力が全てじゃない…戦いが全てじゃない…」
「…」
「あと一つ、お前は間違っている。マサキは…いや、魔王は決して前魔王に劣っていたりしない…お前が思ってる何十倍も強い」
まさかミルドが俺のことをそこまで評価してくれているとは…
ミルドの話を聞いて黒ローブは顔に手を当てて笑っている。
「ククククク…じゃあお前たちは死ねばいい」
黒ローブから放たれた冷たい言葉を合図とし、背後の『影』が俺たちを取り囲む。
「せいぜい生き残れよ…魔王」
「待て‼︎畜生…」
包囲から抜け出すことが出来ず、黒ローブに逃げられてしまった。




