大惨事 兄を溺れさせるチート珠の正体が、ただの「雨乞いと洪水対策のインフラシステム」だった件
「兄ちゃん、どうしよう」
「仕方ない。その子は責任を持って俺たちが育てよう」
「でも、ボクたち、畑があるし」
「そうだ。ホスセリに面倒見させよう」
「え?ホスセリ兄ちゃんに」
「ああ、あいつもいつまでもぶらぶらしてるのはよくないって自分でもわかってるんだ」
赤ん坊を連れて海幸彦くんのおうちに来ました。事情を聞いたホスセリくん。
「うん、分かった。頑張って、この子を育てるよ」
と、戸をたたくものがいました。
山幸彦くんが、出てみるとそこにはタマヨリヒメちゃんがいました。
「タマヨリヒメちゃんじゃないか。どうしたの?」
「いえ、お姉さまに頼まれたの。ワニザメの姿見られて恥ずかしいからって竜宮城に帰ってきたものの、子供の事が気になるから見てきてって」
「そうだったのかい。そんなこと、気にしないでいいのに。トヨタマヒメちゃんが何者でもボクの気持ちは変わらないのに」
「そうなの。お姉さまに伝えておくわ。お姉さまもつまらない事を気にするから」
「おい、誰だ?入ってもらえよ」
「あ、ああ」
家に招き入れられたタマヨリヒメちゃん。
「こんにちは。タマヨリヒメって言います。トヨタマヒメの妹です」
「そうでしたか。なんて、お美しい」
「いやだわあ…美しいだなんて…うふふふ…」
さすが姉妹。同じリアクション。
「そうそう、この子のことも気になってたのですが、実は、私、あの珠の正しい使い方を教えにきたのです」
「え?兄ちゃんを、溺れさせるんじゃ」
「いえ、違います。本当は違うのですが父のワダツミが娘可愛さにうそんこを教えたのです」
「お兄様は、父の悪巧みを知っていたのですか」
「ああ、山幸彦から聞いた」
「そうですか?実はあの珠の本当の使い方は、日照りが続いたら雨を降らせ、洪水などの災害があれば水をひかせるためのものなのです」
「そうだったのですか」
「ええ、だから、あなた方はあの珠を使って人々に尽くして下さい」
「分かりました。よく、教えてくれました。海で漁をしていても畑を耕していても天は気まぐれなもの。助かります」
「ええ…赤ん坊の元気な様子も見ることもできましたから、これで失礼します」
タマヨリヒメちゃんが帰ろうとすると赤ん坊が行っちゃやだーというように泣き始めました。タマヨリヒメちゃんはなんか、絆されて地上に留まってしまいました。
つづく




