天丼とモモヒキと、少女漫画の背景を背負う神
オオムナジくんと白うさぎくんがうだうだ話しながら歩いているとようやく、お兄ちゃんたちの八十神に追いつきました。
「あ!お兄ちゃんたち、待っていてくれたの?」
「当たり前だ。当たり前だのクラッ◯ー、ヤガミヒメちゃんへのプレゼント、お前が持ってる荷物の中なんだから」
「そのことなんだけど、このプレゼントはよしたほうが」
「なんだ?お前、俺達のセンスにケチつけようと言うのか」
「だって、天丼の鉢って」
「ヤガミヒメちゃんは料理が得意と評判なんだ。天丼を、作ってもらうんだ」
「ホラの国の玉の枝?」
「きれいじゃないか」
「タツノオトシゴの金の玉、モロ、あそこの形の…」
「ヤガミヒメちゃんはそういうユーモアもわかってくれる女神なんだ」
「じゃあ、ドブネズミのモモヒキって、ヤガミヒメちゃんがこんなのはくと思ってるんですか」
「何?俺のプレゼントがだめだと言いたいのか」
でてきたのはツギハギ兄ちゃんです。
「女はなあ、冷えが一番、身体に悪いんだ。ヤガミヒメちゃんの健康を考えて選んだんだ」
オオムナジくんの脳裏にホラの国の玉の枝、タツノオトシゴの金の玉、つばめの子安貝などのうさんくささ満開のこれらを飾り、その横でモモヒキをはき、天丼を作るヤガミヒメちゃんの姿が浮かびました。
「あ!お前、この前の性悪うさぎじゃねえか」
ツギハギ兄ちゃんが言いました。
「あ、あの時のひどい八十神たち」
逃げ出す白うさぎくん。追いかけるオオムナジくん。
白うさぎくんを追いかけてきたオオムナジくん。そこには美しい花々が咲いてました。
「どうしたんだい?急に駆け出して」
「忘れてましたけど、ボク、あの八十神たちにひどい目にあってたんでした。特にあの顔にツギハギのある奴」
「でも、それを承知でついてきたんじゃ」
「だから、忘れてたんですよ。ボク、都合の悪いことは忘れる主義なんで」
「……」
「あ!この花摘んで、ヤガミヒメちゃんにプレゼントしましょう。これなら元手いらず、女の子はお花が大好き」
「でも、摘んでしまったら、お花が可哀想ではないか」
「いいんですよ。お花も誰にも見られずに枯れてしまう方が可哀想だって天丼の虹の主人公も言ってます」
「そういうものなのか」
「そういうもんです」
「あと、背景に花もいりますね」
「背景に花?」
「少女漫画では登場人物が背中に花を背負うのがお約束」
「この話は少女漫画ではないのだが」
「細かいことは気にしなくていいんですよ。あ!ちょうどいい板がある。ここに花を貼り付けましょう」
一柱と一匹は花を板に貼り付けました。
「じゃ、これ背負ってください」
「え~~!」
つづく




