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(第1部完結)信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo
第一部 「だったらナーロッパにするしかないじゃない!」

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第46話「初秋とはいえ黒い服は暑くないですか?」

水曜日なので第46話。


しばらくぶりですがよろしくお願いします。

女子大学寮初の迷宮鍛錬から、4か月がたった。

あれからほぼ2日に1回ペースで迷宮入りしている女の子たちはめきめきとレベルを上げ、こないだはついに最上位チームが大鬼討伐を成し遂げた。

対魔物戦に出られる兵士の基準が複数での大鬼討伐だそうなので、一級の兵士並に強くなったってことだ。

これには信長ノッブ土田御前ノブマッマも大いに喜び、彼女たちの仕官を認める事が検討され始めている。

織田家の奥向き護衛や拠点防衛に女子を含めた近衛隊を設立することはもともと考えられていて、そこに入る形になりそうだ。


ちなみに私は武芸の腕はとっくに追い抜かれて、ミソッカスぶりに拍車がかかっている。

ただ、迷宮に入るたびに護衛の兵に崇められてそれを素で嫌がって慶次と口論しているからか、「実は親しみやすい女の子」扱いに変わったのか結構仲良くなってきた。

お料理やお菓子のレシピなんかを教えて皆で作ったり、とても充実した女子ライフをおくれて大変満足している。


ちなみに土田御前ノブマッマもレベルが上がったおかげか、こないだの模擬戦ではついにおさきを圧倒していた。

正直何してるか全然わからないレベルなんですけど。

おさきは非常に悔しがって迷宮でさらにレベルアップすべく大鬼を殴り倒しに行っているそうだ。いやキミ私の侍女なんだから私のお世話しなさいよ。

私が寝てから行ってる?

睡眠不足はお肌の大敵だよ?何がおさきをそこまで駆り立てるんだか。

迷宮入るときは慶次と一緒らしいし、どうもそういう事らしい。

うんうん、そういう事ならしょうがないよね。

帰蝶ちゃんは応援しますよ!


とまあそんなこんなで尾張に来てから1年が過ぎようとしている。

1年かぁ、あっという間だったなぁ。

うん?そうだ私人妻だった。

という事は結婚記念日だ!

いや戦国時代に結婚記念日なんて概念がないことは知ってるけどさ!

うふふ、ワイルド系イケメンが旦那様になるなんて思いもしなかったよ。

転生してきてよかった。

これで信長ノッブがなんかプレゼント用意してくれてたりしたらとっても嬉しいな。

信長ノッブは尾張平定作戦が本格化してさすがに熱田に詰めるわけにも行かずにしばらく顔を見てないけど。

寂しいなぁ。イケメンは三日で飽きるとか言うけど三日も見てないと悲しくなるよ。

会いたくて会いたくて震えざるを得ない。

ああ、信長ノッブは今頃どこにいるのかしら。

どかどかと今聞こえてるみたいな大きな足音を立てて会いに来てくれたら泣きついちゃうよ。これが乙女心ってやつなのね。

とか思ってると、私の部屋のふすまがスパーンと開いて、甲冑姿の信長ノッブが立っていた。


「え、ノッブ!?」


「やったぞ帰蝶!俺たちはやったんだ!」


「え、何を?」


「犬山を取り戻した!これで尾張は平定だ!」


「うぇぇっ!?マジで!?ほんとに!?」


「嘘なんか付くかよ!お前のおかげだ帰蝶!」


「うへへ、いやあそれほどでもないですよハイ。ノッブがすごいんだよ!」


「犬山城は大鬼が多くてちと難儀したが、ニンジャ部隊がよくやってくれてな。

あいつらのおかげでどこに鬼どもが潜んでるか手に取るように分かった。

帰蝶の案がうまく回った。誇っていいぞ」


「そっかあ!久助たちやってくれたんだね!うんうん!これで尾張は安全地帯だね!」


「そうだな。三河がちと気になるが……今の俺たちならあそこも行けると思うか?」


「三河かぁ。魔境だよね……ニンジャの皆で偵察いけるかな?」


「行けるな。安城までは何度か潜ってるが、尾張北部と大差ない程度だったそうだ」


「……それならいけるかなぁ。でもさノッブ。三河を解放したら今川出てこない?」


「それなんだよなぁ。親父(信秀)が何やら動いてるようだけどよ」


「うーん、もう少し情報取ってからじゃない?焦っても良いことないよ?」


「そうだな。ここは尾張を固めるところか?」


「そうだよ。まだナーロッパは始まってもいないし。まずは迷宮産作物を普及しなきゃ!」


急いでも良いことないよね!

周辺が落ち着いたら内政の時間ですよ。

うふふ、私の内政プランが火を噴く時がついにきた!


「あーそれなんだがな帰蝶。迷宮からでた作物の出来が良くないらしい」


「そうなんだ?うーん、やっぱり畑とか肥料とかかなあ?正畳植えとかもまだ試してないし……」


「いや、米は豊作だ。小豆や大豆だな、いまいちなのは」


「えー?去年は良かったのにね?」


「まあそういう事もあるのかもな。米が良いならまあ別にいいんだけどよ」


農業技術も未発達な戦国時代だからねえ。こういう事もあるのかな。

でもお米は良くて小豆や大豆が不作なんてねえ。

んん?待てよ?

今回植えた大豆とかって、去年収穫した種を植えたんだっけ?

お米は迷宮産を発芽させて苗にして植えたもので……

あれ、これってもしかして。


「ねえノッブ。今植えてる大豆とかって去年試しに植えたものからとった種だったよね」


「そうだな。それがどうかしたか?」


「……もしかしてだけど、そのせいかもしれない」


「どういうことだ?」


「うーん、私全然詳しくないんだけどさ。未来の農業っていろいろ種を改良してるんだよね」


「改良?」


「うまく説明できないんだけど、種を植えるじゃない?それで作物ができるよね、ついでに種も取れる」


「ああ」


「取れた種を植えると、あんまりおいしくなかったりたくさんとれなくなったり、そういう種で農業やってたのよ」


「……待て待て、意味が分からん。そんなことができるのか?」


「どうやってるのかなんて知らないけど、できるらしいよ?

……それで、ここからが本題。迷宮から出た作物が同じようなものだったらどうしよう?」


「どうしようって……どうしたらいい?」


「作物の種を手に入れるために、迷宮に潜り続ける必要があるね。

もしそういう種類の作物だったら、だけど」


「はー……早急に調べねえとならねえことが増えたなあ」


「一回植えて増やした種を植えた畑と、迷宮から出た種だけの畑を比較しないと」


「意味が分からん……なんなんだよ迷宮って」


「調べれば調べるほどわからない事が増えるのは勘弁してほしいよね、まったくもう」


という訳で、尾張平定があっさり終わったと思ったら新たな課題ができて、なんだかがっくりした様子で信長ノッブは去っていった。

那古野城で祝宴があるそうで、私も行くのかなと思ったら土田御前ノブマッマに居残りを命じられて通常営業(女子大学寮で修行)だ。

功労者の帰蝶ちゃんを家中にお披露目しなくていいのかなぁ?

とか思ってたら


「そんな事は後でよろしい」


と叱られた。

よくわからないがそう言うことなのだ。

まあ帰蝶ちゃんは秘密兵器的存在なので、トップが信秀パパノッブの間は土田御前ノブマッマが女性の筆頭であり続けるぐらいがちょうど良いのだとか。

英雄信長ノッブの嫁さんが稀代の知恵者だったとかだと余計な動きをする者が出るので後ろでうろちょろしてる謎の美少女くらいの立ち位置が安全なんだってさ。

なんか盛ってないかって?

いいじゃないか頭の中で回想するときに自分を美化したって。


それにしても、迷宮産作物がF1種かもしれないなんて全く想像もしてなかった。

信長ノッブと話してる時は思い出せなかったけど、おさきになぎなたでボコされてる時に唐突に思い出した。

あの子訓練の時は全く手加減してくれないので正直泣きたい。

いやそれより種の話だ。

なんだってまた未来の品種がこの時代に出てくるんだろう。

前世の未来でもそうだけど、種屋が一番儲かるんだよねF1種って。


……この場合、種屋は迷宮になる。

迷宮は、人間に入ってもらいたがっている?

一体何のために?

考えても仕方ないけど、ちょっと時間が空くとこういう考えが浮かんでくるのは私の悪い癖だ。

でもなあ、迷宮って一体何なんだろう?

考えずにはいられない。

魔物もそうだ。

一体何なんだアレ。

どうしてこうなったんだろうね?

神様であるイナリちゃんも全然知らないらしいし、なんかこう、すっごい上位の神さまがなんかやってんのかなぁ。

ほんと迷惑な話だよまったく。

でも考えてもわからない事はどうしようもないか。

私はここをナーロッパにして、なんやかんや面白おかしく暮らしていければ良いんだ。

考えないことに決めた!


時間が空いたので久々に涼風さまの魔導研究所にでも行ってみようかな。

魔導研究所は女子大学寮の離れ的な建物に設立され、イナリちゃんは陰陽術の解説するために名誉顧問となった。

イナリちゃんの説明が擬音だらけで解読にとても苦労しているようで、まだ成果はでていない。

ただ、涼風様を迷宮に放り込んで小鬼退治させた結果、レベルアップしたのかあのへっぽこエアコンの術が素早く発動するようになって感動していた。

つまり、陰陽術は使える技術だとはっきりしたわけだ。

涼風様は研究に心血を注ぎつつ宮廷作法を女の子たちに教示して、睡眠時間を削っているのか目の下のクマがすごい事になってる。

そろそろ無理やりでも休暇を取らせないとヤバいかもしれない。


という訳で研究所へ行こうと立ち上がったところで、おさきが現れた。

来客があるという。

誰だろうね。

旅の僧侶としか聞いてないらしく、そんな怪しげな人を私に合わせていいんだろうか、とも思ったが信秀パパノッブの書状を持っているらしく、会わざるを得ないのだとか。


果たして、応接間(という体の板間)に赴いた私を待っていたのは初秋とはいえまだ日差しが強いこの季節にクソ暑そうな黒衣を来た禿頭のお坊さんと、お弟子さんなのかやたらとガタイの良いイケメンだった。

そして、お坊さんは静かに頭を下げて


「お初にお目にかかります。駿河は臨在寺の僧、雪斎と申しまする」


と言ったのだった。


私も和服をたまに着ますが、お坊さんて暑くないんですかね。

心頭滅却すれば火もまた涼しとかそういうあれなんでしょうか。


やっと繁忙期を抜けました。また隔日連載に戻るつもりで頑張ります。

よろしければご意見ご感想などいただければ幸いです。


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