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信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo


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第33話「選ばれたのは、ニンジャでした」

土曜日なんで第33話です。


引き続きお話回。


さて、とりあえずイナリちゃんが飛び出していく事は防げたし、土田御前ノブマッマの協力も得られそうだけど、どうしたものかなぁ。

ここは一度整理しておく必要がある。


「は、はい!」


私は挙手して発言の許可を求めた。

が、信長ノッブ土田御前ノブマッマもみんな

(何してんだコイツ)

という目で見ている。

そうだ、挙手して発言なんてのはまだこの時代にはないのかあ!

一気に赤くなったがまあいいかと思って言う。

いつものメンバーの前なら平気なんだけどなあ。

土田御前ノブマッマがいるし、滅茶苦茶緊張するよぅ。

でもあの苦しかった姫ムーブ特訓はこのためにあったのだ!

唸れ!私の姫ムーブちから!!


「その、三郎さまのお話を聞きまして、私が考えたことを聞いていただけますか?」


めっちゃ震え声であった。つらたん。

でも信長ノッブは力強くうなずいてくれたし、土田御前ノブマッマは相変わらずキツめ美人だけど、話を聞いてくれるようだ。


「では……京が壊滅し、近江の海西岸部を含め魔境化したこと、直接体験された山科内蔵頭様の言ゆえ、疑う余地はございませぬ。今は三好など、近隣の大名が抑えているようで、これは不幸中の幸いと言えます」


「とりあえず、な」


「山科内蔵頭様、いえ、朝廷の望みは当然に京の開放でありましょうが、それは三郎さまの武勇をもってしても非常に困難かと思います。そういう意味ではお義父様のご決断は英断であったと言えます」


「……それほどに困難なのですか?」


土田御前ノブマッマが言う。

私は大きく頷いて言う。


「三郎さまの武勇はおそらく日ノ本一か、もしくはそれに近いものでありましょう。

大鬼やらの魔物であれば、容易く屠ることが叶います。

ですが、お義母様。

三郎さまは、まさに物語で謡われる英雄、神のごとき力をお持ちですが、人なのです」


土田御前ノブマッマがハッと息を飲む。


「具体的に言えば、兵站。いかに三郎さまといえど飲まず食わず眠らずで戦い続けることは不可能です。

そして魔境の奥深くまで兵站を維持することが、今の尾張にはできません」


「それは……そうなのですね」


「ええ。特に京の魔境は広大。三郎さま一人で挑んだところでどうにもなりませぬ」


「ああ。母上、そんなことは俺には無理だ。だから、兵を整える。魔境でも生き残れる兵。兵站、補給路を維持できる強さを持った兵。……そして、後方を守る兵を」


「……後方」


土田御前ノブマッマが考え込む。

そして、キッと私たちを睨みつけて言った。


「……あなたたちは、女子も戦に出すつもりなのですね」


信長ノッブは頷く。

土田御前は続けた。


「京の魔境化。もはや神仏の加護もあてにはできぬ。

……いつ後方で妖の噴出が起きるかもわからぬ。

……ならば兵の帰りを待つ女子供も自衛できる武力を持つ必要がある。

そういう事なのですね」


すごいなこの人。さすが信長ノッブの母ちゃん。

これまでの情報でここまで導き出せるのか。

史実では弟の信勝を推して家中を割った印象が強いけど、史実の信長ノッブがよほど気に食わなかったんだろうか。

私は改めて向き合って言う。


「その通りですお義母さま。魔物との戦は一部の侍だけでできるものではありません。

それ用に鍛えた者でなければ、無駄に命を散らすだけです。

そして、そういうつわものが万全に戦うためには後方が安全でなければなりませぬ。

ならば……女子も、強くならねばなりませぬ」


「……そのための熱田であったか」


「はい」


「……三郎殿。この娘、何者か?美濃のマムシ殿の娘のはずであったが……」


「あー、母上、それはな……」


信長ノッブが言葉選びに迷う。

うーむ。正直全部ぶっちゃけてちゃんと協力してもらった方がいいんじゃないかなあ、と思う。尾張の最上位女性だからさ。

私が発言しようとしたらおとなしくしてたイナリちゃんがもふもふのおしっぽをぺしんと板間に叩きつけて言った。


「おはる!きちょーはきちょーなのじゃ!わらわの友なのじゃ!」


お、おう。わたしこんな正面からお友達宣言されたの初めて。

帰蝶ちゃん照れちゃぅ♡

幼女神様の友達宣言にデレっとした私をみて土田御前ノブマッマは一瞬眉を吊り上げて、大きくため息をついた。


「はあ……神に友だと言われる嫁など想像もしていませんでした……どうやら貴女は想像以上の大物なようですね。殿様がああ言うのもうなずけます」


「そーなのじゃ!きちょーはおもしろい女子なのじゃ!」


うう、なんか褒められるの慣れてないから居た堪れない。

それに信秀パパノッブは何て言ってたんだろう。信長ノッブには好きにやらせろとか言ってたみたいだけども。


「親父は帰蝶の策に活路を見出しているようだ。

そうでなきゃこうも好きにさせたりしねえよ。

それで帰蝶、まず兵の強化、そして尾張の平定が最初の予定だったが、何か変更したほうが良いことはあるか?

……正直なところ、京の開放はやってやりたい。

帝の御心を安んじ奉るのも武士の務めだからな。

だが、今の俺に、尾張にその力がないことも十分わかってる。

でも、あいつらみてえに意味も分からず死んでいく者も無くしたい。

……帰蝶、俺はどうしたらいい?」


信長ノッブは私にすがるように言った。

母と、妻の前で本心を吐露するように。

土田御前ノブマッマは驚いたように彼を見ている。

信長ノッブは、優しい人なんだ。

そしてとっても頭がいい。戦国時代では理解されないほど。

きっと、そのせいでずっと孤独だったんじゃないかな。

お母さんにも本心を言えずに。

戦国時代って親子でも殺しあう修羅の巷だから、なおさらだったんだろう。

そして本心を見せない息子を土田御前ノブマッマも疎んでいた。

でもこの非常時で見方が変わった。

それは両方ともだ。

図らずも信長ノッブは英雄となり、彼に頼らねばどうにもならない状況を土田御前ノブマッマはかなりのところまで理解できている。

……これは、親子の再構築の儀式なのかもね。

ならば、信長ノッブの妻たる私が、そこに手を貸すのは道理なのだ。

だから大きく息を吸って、言った。


「……私にいい考えがある!!」


「威勢のいい言葉じゃがなんだか不安になってくるのう」


うっさいよイナリちゃん!!

大丈夫!失敗フラグじゃないから!多分。

早く聞かせろ!とうきうきした顔をしている信長ノッブに私は言う。


「策の前に前提を確認しましょう。まず、京が敗れた理由は2つあります」


「二つ?」


「細かな理由を上げれば数えきれないでしょうが。

まず1点。「魔物を抑えられる兵力がなかったから」です。

これは今尾張で対策を始めようとしている事です。そうですね三郎さま?」


「ああ。すでに今日から6名体制の小部隊が毎日10組ずつ迷宮に入っているはずだ」


「ええ。迷宮に入ってレベルアップすればやがて小鬼や大鬼などものともしない兵に育ちます。慶次や犬千代くんがそうなったように。そして三郎さまがそのいただきにいます。

仮に今尾張で再び噴出が起こっても、そうそう簡単に敗れはしないでしょう。

この戦力が、京にはなかった。これが一つめ」


「三好はいたはずだが、心構えができていなければ烏合の衆も同じだからな」


「そうです。我々は鬼や妖など想像の中のもの、いたら怖いけど、実際にはいないものとして生きてきました。

だから、いざそれらを目の当たりにしてまともに戦ができる者などほとんどいません。

……これは2点目にもつながるんですが」


「どういうことです?」


「お義母さまは、魔物……小鬼でも、大鬼でも、実際に目にしたことはございますか?

あるならば……それまで本当にそんなものがいると、思っていましたか?」


「!!」


土田御前ノブマッマが息を飲む。

なんか驚かせてばかりですまぬ。


「関東が魔物の噴出で魔境化して2年ほど。

各地の状況は朝廷も幕府も知っていたはずです。ですが、彼らは本気にしていなかった。

当然です。そんな情報を信じられるわけがない。

()()()()()()()()()と思ってこれまで生きてきたから。

()()()()()()()()()前提でこれまでの歴史は紡がれてきたから。

ありえない筈の物が眼前に迫るまで、人はそういうものを信じることなどできません。

人とは、()()()()()()()()()()()()()()()()()

その点で、彼らを責めるのは酷です」


「そうか……そうだな」


「そしてこれは、私たちにも言える事です。

私はまだ、魔物とは小鬼と大鬼しか見たことがありません。

他の魔物がいないとは言えないのです。

天狗や、それこそ竜、ヤマタノオロチなんてものが現れたらどうします?」


「それは……!!」


「つまり、これが第2点。「その脅威を知らなかった、もしくは過小評価していたから」

これは、京だけでなく私たちも同じなんです。

正直な話……三郎さまが熱田迷宮に進攻できたのは何らかの奇跡を感じずにいられません。

仮に尾張も他と同じく魔境化していたら、美濃は3方面から攻め込まれて魔物に押しつぶされていてもおかしくなかった。

今美濃が必死に飛騨や信濃を抑えられるのは尾張が多少安定し、私の輿入れで後方を気にせずとも良いからです。

……しかし、私たちは魔境の事も、魔物の事も、迷宮の事も、何もわかりません。

美濃の例で言えば、このまま防衛線を維持できるのか?

わかりません。

誰もわからないんです。

先日からの熱田行きでいくつかわかったことはあります。

ですがまだまだ足りない。全然足りない。

私たちはもっと知らなければなりません。

……三郎さまが京開放を望むお気持ちは理解できます。

私も、イナリちゃんを伏見に送り届けてあげたい。

でも、魔境化した京が今どうなっているのか、誰か知っているのですか?

地の利を魔物に与えたまま侵攻するのですか?

せっかく鍛えた兵をそんな不確実な戦場に送る事の愚かさを、三郎さまは御存じのはず」


「……」


「そこで此度の策です。

魔境に単独潜入し、その有様を見聞きし、そして生還して我々に情報をもたらすつわものを育成すべきです。

……滝川久助殿を、その者たちの長に推薦します」


単独潜入、装備は現地調達、死して屍拾うものなし!

やはり必要なのはニンジャだったのだ!!



知らないことに対処などできないのが人の常。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

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