186話「滑り台と緊急招集」
「そうだ、ケーネスト、俺、買いたいものがまだあるんだ」
山の中でやおら切りだす俺。
「今度はなんだ?」
「滑り台」
「滑り……たいのか? 公園に付き合ってやってもいいが」
おいおい! ケーネストは俺を何歳だと思ってるんだ!
「俺じゃなくて息子の為に! 家庭用の小さめの!」
「あーー息子のか。もしやミルシェラも使いたいのか?」
「いやー、貴族令嬢は基本ドレスだし、ミルシェラは滑らないんじゃないか? まー、滑りたそうならズボンかスカートにスボンついてるやつを買ってあげてもいいが……アレンシアは渋い顔をしそうだな」
貴族令嬢たるもの!! ってな。
「ふむ、そろそろ滑り台を使えるくらい育ってるなら私から贈ってもいいぞ」
「いやいや、あちらでの説明がややこしいから動画の収益から貰うよ、お金の出処的にはあんま変わらんけど」
「異世界の友人から貰った。で、通るのでは?」
「友人……」
それもありか?
「戦友とも言えるか?」
「照れる」
「変なやつだ」
ケーネストはくすりと笑った。
「そ、そうかな?」
「とにかく、どこで買えるんだ? その滑り台は」
「通販かー、でけぇおもちゃ屋かなぁ?」
ちと、タブレットで滑り台の情報を見てみる。
「2万くらいでブランコつきの滑り台ある! うわ、通販で送料無料だ、意味わかんねー」
「送料無料なら通販でいいのでは?」
「そうだな、通販でポチろう」
と、通販サイトでカートに入れてポチー!!と、した。購入完了!
ついでに汗をかいたのでパンイチになって水の魔法でシャワーを浴びさせて貰って着替えもしたが、やはりTシャツとジーンズというラフな格好だ。そしてケーネストも同じような格好だ。
「ところでリョウお前、水を被って髪染めの黒が落ちてるぞ」
手鏡で頭を確認すると、魔力の使いすぎで銀髪になっていたケーネストボディの髪色が出ていた。
風呂の度に黒く染め直していたんだけど、もういいかな。めんどくさい。
「もうこのままでいいかな、今更ミルシェラが父親と髪色が似てるって理由で第二王子に誑かされることも無さそうだし」
「それは……そうだな」
そしてまたもケーネストの風魔法をドライヤー代わりにしてキラキラの銀髪を乾かして貰いつつ涼んでいたら、不意にケーネストの端末が鳴った。
「エマージェンシーコールだ」
「ダンジョンか!」
ケーネストはキリッとした表情のまま頷いた。
「しかも博多だ、政府が専用ジェット飛ばしてくれるらしい」
「ヒュー!」
専用ジェットと聞いて俺は思わず口笛を吹いた。
「リョウも一緒に行くか?」
「俺も飛行機に乗せてくれるのか?」
「ああ、護衛やサポートの使い魔や獣魔、二体まで同伴許可がある」
「なら行くー」
「任務が終わったら帰りに屋台のラーメンを食いたいから、その時間あるか聞いてみよう……」
「えっ!?」
そしてケーネストは端末を操作して、ハンター協会かなにかにメッセージアプリにて連絡をとってるらしい。
「よし、いけそうだ」
「そうまでしてラーメンを!?」
「3日まで飛行機の時間ある、これならさっさと終えたらラーメン屋台まで行ける」
しかし、任務が終わったらって、まさか死亡フラグじゃないよな? ただのラーメンだし。娘の結婚式や誕生日じゃないし。
「ケーネストはほんとにラーメンが好きだなぁ」
外国人ってマジで日本のラーメン好きだよなぁ。これはどうやら異世界人でも同じらしい。
「飯が美味いと有名な地域なんだ。せっかくなら美味いものでも食おうじゃないか」
使っているのが本来俺のボディなせいか、美味しいものに弱い人になっている。ま、いいか。
「ケーネスト、ジェットはどこから乗るんだ?」
「最寄り空港だ」
「じゃ! 行こうか」
「ああ」
俺達は車で最寄り空港へ向かった。




