表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/47

犯罪者と呪いの笛③

 脚に風を纏い空を飛んでいる魔風団の頭は、ドワザート王国の王都がある砂漠内に差し掛かると、遠目に王都が写った。


「もうすぐだ。待ってろドワーフの王。最初はお前だ」


 不敵な笑みを浮かべる頭の頭上に、一人の人影が背後から跳んできた。


「追いついたぞコラァァァ!!」

「あ?」


 頭が頭上を見上げると、ガクラが風の属性力を纏わせた大剣を振り下ろし、大剣から放たれた風で頭は砂漠に叩きつけられた。


「ぶわっ!?」


 ガクラは砂漠に着地すると、魔風団の頭は砂の中から出てきて口に入った砂を吐き出す。


「ぶへっ! 何だテメェ!?」

「お前等をぶっ飛ばしに来た冒険者で~す」

「っ!? テメェは……光族の!? よりにもよって……」

「ちなみに俺達の他に来たのはSSランクのパーティーだ。もう諦めて自首しな」

「ここまで来て、諦めるかよぉ!!」


 頭は長剣に風の魔力を乗せてガクラに向けると、小さな竜巻を起こした。


「諦めが悪い奴は嫌いじゃねぇが、それが悪事となれば話は別だ」


 ガクラは火の属性力を大剣に纏わせて火球を放つと、火球は竜巻を打ち消しながら突き進む。


「ぐっ!」


 頭は火球が命中する直前に風の魔法で空を飛んで避けると、ガクラを見下ろした。


「やっぱり力じゃ敵う訳ねぇか。……『これ』使うしかねぇな」


 そう言って魔風団の頭が懐からある物を取り出した。

 それは、先端に髑髏の顔が付いた不気味な笛だった。


「それが死の笛か」

「ああ。これでくたばれ!」

「させっかよ!」


 今度は氷の属性力を大剣に纏わせて振り、無数の氷の刃を放つ。

 頭は氷の刃を避けながら耳栓を付ける。

 ガクラは狙いを定めて再び氷の刃を放とうとすると、足が砂に取られてバランスを崩す。


「やべっ!」

(今だ)


 チャンスと捕らえた頭は笑みを浮かべ、笛の唱口に口を近づける。

 間に合うかどうかの僅かな瞬間。ガクラは大剣を構えたその時。

 一発の魔力弾が魔風団の頭に向かって飛び、頭の背中に命中した。


「どわぁぁぁ!?」


 魔力弾が飛んできたガクラは見ると、その先には魔法銃を構えたダンガンが目に映った。


「咄嗟に狙いを定めたが……上手く当たったようだな」


 ダンガンは安堵の息交じりに煙管の煙を吐く。

 死の笛を手放してしまった頭は笛に向かって手を伸ばすと、跳び出してきたメイトが剣で死の笛を真っ二つに斬った。


「なっ!?」


 仰天する頭の胴体にアスレルが鞭を巻き付けると、砂漠に向かって叩きつけ、続けてウルファーが腹に向かって蹴りを入れ、魔風団の頭は砂の中に埋もれて気を失った。


「ありゃ? 終わったか?」


 ブラーク、カゲキリ、サシェも合流し、遅れてダンガンも合流した。


「ああ。とりあえず、依頼は完了だな」

「完了だな、じゃないわよ。一人で突っ走って」

「良いじゃねぇか。どうせコイツが死の笛持ってたんだし。急いだ方が良かっただろ」


 ガクラは縄で縛られている魔風団の頭を指差すと、メイトは真っ二つになった死の笛を拾う。


「笛から感じた嫌な気配は消えたし、もう大丈夫だね」

「あの結界も消えてるだろうし、戻って廃屋敷の犯罪者共も捕らえておくか」

「あ~、それもあんだったな」


 ガクラはダルそうな顔で頭を掻き、廃屋敷へ戻る。


――――――――――――――――――――


 廃屋敷にいる魔風団を全員縛り上げた後、ドワザート王国の王都へ行き、衛兵に魔風団を引き渡し依頼を今度こそ完了した。

 魔風団は全員地下牢へ投獄され、真っ二つに斬られた死の笛は研究材料にしたいからと、王立研究院に渡した。

 そして報酬を貰った俺達だが……。


「んじゃあ、人数が多い俺達が七。お前等が三な」

「何言ってんだ。俺達は今あんまり金が無ぇの知ってるだろ。だからここは均等に五:五にしろ」

「俺等だって土地やら屋敷やら買ったりで金が結構減ったんだ。人数も考えると七:三の方が割に合う」


 報酬の分け前をどうするかで言い合って30分。

 結局じゃんけんをしてブラークが勝ち五:五で分ける事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ