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The salesman defeats fucking Great-Evil. Chapter7(訳:営業マンはクソったれな巨悪をぶっ倒す 第7幕)

活動報告にも書きましたが、大変長らくお待たせいたしました。


Salesman(営業マンは) defeats(クソったれ ) fucking(な巨悪を ) Great-Evil(ぶっ倒す)Chapter7(第7幕)


 私・・・ミュリエル・ラーナフォルンは連合クランの冒険者たちを率いて、”闇”の暗躍に手を出している宗教組織『清心教』の王都支部へと侵入していた。

 宗教施設らしく白で塗られた壁は美しく清廉な印象を与えるが、その実聖なる場である筈のこの場で欲にまみれた”闇”が蔓延っていると知れたら、清心教が崇拝する神は信者や神官に対してどのように思うのだろうか?


 私は先ほどから刀を口に咥えながら、そんなことを堂々巡りのように考えていた。






 ところで何故、私が刀を手に持つのではなく口にくわえるのか、実は私は幼い頃は両腕が使い物にならなかった過去がある。

 脚は全く問題なく動かせるのだが、生まれつき腕の付け根の筋肉から先が完全に感覚が無い状態だったのだ。

 せめてもの護身術ということで、元々剣の心得のあった父から口に刃物を加えて戦う術を叩き込まれた。

 子供の頃は短刀で、そこから成長するにつれて刀の長さを伸ばしていって。


 おかげで私は噛む力は誰よりも強い自負があったりする。



 そんな生まれつき両腕が使えない私に、人生の転機が訪れたのは14の頃。

 王都を歩いている中でお婆さんとたまたますれ違った時、彼女は私の姿を見るや直ぐに私の生まれつきの障害を見抜いた。

 何か呪文の様なものを呟くと淡い緑の光が優しく私の両腕を包み込み、光が消えたかと思うと途端に体に違和感を感じたのだ。

 今まで感覚の一切が無かった私の両腕に、確かに身にまとっている服の感触が蘇った。


 お婆さんは結局何の謝礼も受け取らずにそのまま居なくなってしまって、私はその場で言葉でお礼を言うことしか出来なかった。

 そんなあの人が、別れ際に私に向けた笑顔。

 あの笑顔は見る人すべての心に慈愛をもたらす物だった。

 あの人の慈愛に溢れた笑顔と私にしてくれた事を通して、私はあのお婆さんの様な人を助ける生き方をしたいと思う様になった。



 成人すると同時に、私は冒険者ギルドに登録した。

 なぜ人を助ける生き方=冒険者となったかというと、冒険者と言っても実際にやってる事は何でも屋よろしく、人によって多岐に渡る事は知っていると思う。そんな中で私は子供の時から鍛えられてきた剣の腕を生かし、人々を襲う野獣や魔物達から戦えない人を守ろうと考えたのだ。


 普通の人間では危険すぎて立ち入れない秘境へ薬を作るのに必要な薬草を採取に行ったり、魔物から胆や毛皮などを採取して人の役に立ったり。後者は生態系を崩さないために必要性が無い限りは基本受けないが、とにかく冒険者とは自分の実力次第で多くの人の力になれたり助ける事ができる仕事だと思う。


 それは私が冒険者になる事を考えた当初も、冒険者としてそれなりのキャリアを積んだ今も変わらない。





 これが、私が冒険者として生きて行く事になったキッカケであり、元々の剣の扱いが派生して三刀流などという巫山戯たような戦い方をする理由だ。

 つまるところ私は口で刀を扱う方が遥かに慣れており、両手の刀は後付けで鍛え上げた未熟な太刀なのだ。それでも両腕が使えるようになってからは父に同じように鍛えられたため、そんじょそこらのヘニャチョコと比べればだいぶマシな腕だとは思うが。



(さて、これだけの施設に侵入したとなれば、なんらかの警戒魔法セキュリティーによって我々の侵入はとうに向こうに知れている筈。にもかかわらずここまで静かというのは、相手は我々を誘い込んでいる? それとも逃げた後か?)



 後者であれば、もう自分たちに打てる手は残されていない。

 どうか前者であってほしいと思うが、どちらにせよ既にこちらは敵の術中に嵌ったも同義のため、緊張感が増す。



指揮官リーダー


「どうした?」


「これだけ静かっていうのも、なんだか不気味じゃないっすか?」


「ああ……。既に私たちは敵の術中に嵌っているのやもしれないな」


「えぇっ? それじゃあ……」


「だからこそ気を抜くなよ。私たちはタカヒトの様に一人で上手くこなせる人間ではない。協力して、目標の男と証拠を抑えるんだ」


「……はいっ」



 同行している連合クランのメンバーは、私の顔を見て気を引き締めた様だ。

 ちなみに先を歩いているリオは、チラリチラリとこちらの様子をうかがっている。

 一応の彼女の身分は捕虜であるため、片手だけに縄を結んだ手錠を付けて監視役の男と結ばれているが、先ほど彼女が私に見せた涙は多分嘘ではないだろう。

 彼女自身もまた、この国の”闇”の行いによって身を堕とした”被害者”なのだから。



「皆さん、こちらへ」



 先導のリオが何かに気付いたらしく、私たちを近くに来るよう呼びつける。

 彼女の言うままに向かうと、そこには鍵のかかった両開きの大きな扉が一つ。装飾もそれなりに豪華に飾られている。



「リオ。ここは?」


「あの、タカヒトさんの言っていた『マウリッツ司祭』の部屋です。私は『影』としての仕事がないときには夜はいつもここで慰み者にされてましたので、間違いありません」


「……そうか。では、私が先に突入しよう」


「待ってください。対侵入者用に迎撃魔法が組まれているんです。私がそれを解きますので、それから……」


「分かった。頼めるか?」


「はい」



 リオは一歩前に出て扉に手を触れる。

 続いて呪文を口遊みながら目を閉じる。

 すると扉に掛けられた魔力がスゥっと霧散してゆくのを感じた。



「……どうぞ」


「ありがとう」



 私は目を閉じ、咥えた刀に魔力を込める。

 一定のラインまで魔力が纏われた所で、首を逆袈裟掛けに振り上げ扉の鍵を切断する。

 そのまま静かに扉を開け、中に入るであろうマウリッツ司祭の元へと向かう。


 直後、炎の玉が私に飛んでくる。


 だが、魔力を込めた刀の一振りで直ぐに消し払える程度のごく小さな規模の魔法であり、咥えた刀を一振りして消し払う。

 するとベッドの影から、恰幅の良い司祭の服を着た男が出てくる。


 この男が、リオを慰み者にしていたという司祭か?



「よもや、貴方のような方が我が教会へ訪れるとは。ここは私の私室なのですが、如何なされましたかな?」


「そう聞くなら最初から正面口で待っているべきではないのか? しかも私に向けて炎の魔法を放つとは、喧嘩したいと言う風にしか見えないのだが」


「それはあなた方がそうやって、完全に戦う気で武装されているからです。武器を下ろして頂ければ私も武器を……ひぃっ!」



 目の前のふざけたことを抜かすマウリッツ司祭の言い分に腹が立ち、少しだけ口の刀を振って斬撃を飛ばしてやる。

 我々が対応次第では本当に武力行使に出ることも辞さない事を理解したマウリッツ司祭は、打って変わって怯えた表情を浮かべながら口を開く。



「ちょちょちょ、ちょっとお待ちください。私が一体何をしたというので……うぁっ!」



 とぼけられた事に少し癪に触ったので再度斬撃を飛ばす。

 このような自らの犯した悪事をなんとも思わず平然としてられる奴のせいで、一体今まで何人の罪なき人が犠牲になったのか。

 本人には当てないように加減しているのだが、当人からするといつ自分に当てられるかおっかなびっくりという感じのようだ。表情が怯えきったものになっている。

 ……こんな軟弱な男が、果たして本当に”闇”の取引に関わっていたのか?

 なんというか、”闇”がこんな男を引き入れるなんて疑わしい。



 まあいい。

 この男には洗いざらい吐いてもらわなければ。

 根拠となる取引の証拠はすでに得ている以上、ここに残っているであろう清心教側が持つ書類を手に入れられれば良い。



「我々は気が長い方ではない。おとなしく、”闇”との取引に交わした文書の場所を吐き出せ。さもなくば……」


「ひぃっ!! 分かりました! 分かりましたから!! どうかお命だけはぁっ!」


「……拘束しろ」


「おう!」



 何の抵抗もなく、あっさりとマウリッツ司祭は同行する冒険者に拘束されてゆく。

 なぜだ? たった一組織のメンバー、それも実質荒くれと大差ない冒険者が数人徒党を組んで襲撃してきただけだというのに、なぜ司祭はこうもおとなしく我々にとらわれる事を良しとするのだ?


 ちらりとリオを見やるが、特にその辺に関して疑問を抱いてる様には見えない。



「司祭、さっそく案内してもらおう。下手な真似はしない方が良い」


「……はい。分かりました」



 引き続きいつでも斬撃を繰り出せるよう注意しながら、我々はマウリッツ司祭の後に続いた。



----------



 結論をいうと、マウリッツ司祭は私たちを嵌めるでもなく、本当におとなしく捕まってくれた。

 目的としていた書類は全て押収できたし、事前に読んでいたタカヒトの転写物とも内容に相違はなかった。つまり、清心教が関わっていた証拠は必要最小限のものは抑えられたと言うわけだ。

 ……なんだか本当にあっさり過ぎる感じがどうにも腑に落ちないが。



 ところで何故司祭が抵抗をすぐに辞めたのかというと、私が最初斬撃を飛ばした直後に部屋に入ってきたリオの姿を見たからだという。

 リオは清心教でも高位にいた神官のお婆さんが運営していた孤児院で生活し、彼女が亡くなるとやってきた神官たちに、孤児院と子供に手を出さない事を条件に身を闇に堕とした過去がある。

 だが、本来の清心教は『清い心の教え』と書く通り、弱き者を助ける事を是とする宗教だ。

 つまり、孤児院を潰すというのは本来の教義に背く行いだと言って良い。


 ようするにリオが冒険者陣営にいる時点で、マウリッツ司祭を始めとする一部の神官や幹部たちが教義に背く事を行った事は証明されている。彼は彼女が我々の元に(一応念のためにと拘束していたのも相まって)囚われている=司祭たちが行った悪事は全てバレていると認識したようで、下手に抵抗したところで逃げられはしないだろうと悟ったと言うわけだ。



 その後の司祭の証言を元に、司祭を人質として連れ回した上で”闇”に関わった全ての幹部も拘束が完了した。

 清心教王都支部の”闇”の関係者の中で最も位が高いのはマウリッツ司祭なので、彼が捕らわれているのを見た他の連中は皆潔く諦めたという感じだ。



 そのことを報告するべく冒険者ギルドの例の部屋に戻ると、タカヒトたちは既に自分の仕事を果たしていたようで先に戻っていた。しかし事を無事に成し遂げたという割には、どうにもタカヒトともう一人、リサという亜麻色の髪の女性の表情が暗いな。


 なにがあったか尋ねようと近付いたところでこちらに気づいたらしく、タカヒトは少しだけ柔らかい笑みを浮かべながら歩み寄ってくる。



「ミュリエルさん、そちらの方も無事で何よりです。それとリオも、協力してくれて助かったよ。ありがとう」


「いえ、私は……。”闇”を払って孤児院の子供達が無事に暮らせるのなら、何だってしてやるつもりでしたから!」


「ああ、リオの言う事には間違いはなかった。ところで見たところ既に全員やるべきことは終わってるようだが、最終的な被害はどうなった?」


「その件で、ミュリエルさんに報告すべき事があります」


「ん?」



 タカヒトは先のような暗い表情に戻り、まるで私に懺悔をするような面持ちで口を開いた。



「ナーベラ商会の制圧へと向かったガイ隊は途中で『爆走』という男の抵抗に遭い、多くの重症者及び死者が出ています。施設及び”闇”に関わった幹部たちの制圧は完了していますが、連合クランに与えられたダメージは決して小さくはありません」


「っ!?」


「私の魔力を回復魔法使いの面々に分け与える事で、これ以上の死者が出るという事態はなんとか回避しました。幸いにも傷を塞ぐ事は出来ましたが、専門家の彼女たち曰くあくまでも応急処置とのことです。予断を許さない状況であるのは間違いないでしょう」


「分かった……。ありがとう、直ぐに向かわせてもらうよ」



 私は直ぐに重症者がいるという部屋に向かう。

 タカヒトの言う通り、必要な処置は施されているようでとりあえずは安心した。


 だが彼らは大なり小なり傷ついていることに変わりはなく、応急処置を受けた後の今も苦しそうに呻く者が多い。



「みんな……、本当にここまでよくやってくれたな」



 私は彼らに向かってそう呟くしかなかった。



『爆走』の名を持つ斧使いの大男は、冒険者の中でも特に荒くれ者なことで王国では少し有名だった。

 やつが去ったあとの戦場は、まるで竜巻が吹き荒れたかの様な凄まじい蹂躙の痕を残す。極めて乱暴かつ自己中心的な性根の持ち主で、自分の癪に触ることをされれば仲間にも平気で暴力を振るう。


 嫌われ者として名が通っている男ではあったが、なにせ二つ名を付けられる程度には高い戦闘能力を持っているのがネックで、喧嘩などになれば大抵の者は到底あの男に勝つことなど出来やしない。ようするに、抑えようにも抑え込めない頭の痛い問題児といったところか。



 そんな奴でもタカヒトとの戦いには勝てなかったのか、縄で雁字搦めにされた状態で意識を失って横にされている。

 仮にも、私が奴とサシで戦えば相当手こずるレベルの相手に『殺さず』に無力化出来るタカヒト。改めて目の前にいる男の実力が未知数であるのを理解する。



「では、私はミュリエル様の元に戻ります……」


「ミュリエル様のところに戻るのか? そう言われてみれば、あの方のお姿が見えないが……」


「実は……」



 そこで言い辛そうに口を噤むタカヒトだったが、意を決して言葉の続きを話し始める。



「実は、先に言った『爆走』と最初に交戦したのはミュリエル様だったんです。彼女は後衛の回復役たちを守る為、第2隊の防御を突破してきた『爆走』と戦い、そして重傷を負いました」


「なんと……」


「私はミュリエル様がとどめを刺される直前でギリギリ間に合ったのですが、その時点で既に彼女は胸を大きく切り裂かれて……。治療自体は先も言ったように峠は越えたのですが……」


「……もしかして、傷が残ったのか?」



 私の問いにタカヒトは一つ頷く。




 なるほど……。

 タカヒトとミシュリア様が一体どういう経緯で一緒に旅をしていたのかは分からないが、タカヒトの表情を見るに彼はミシュリア様を自分の感情に巻き込んだ結果こうなったと思っているのやもしれない。



 私はミシュリア様がタイン伯爵領の領主の座を継ぐまでの間、冒険者としてBランクのグレード1という高いランクまで登っているのを知っている。冒険者はその性質上どうしても戦いは避けられないし、魔獣や魔物、あるいは盗賊と戦う中で大怪我を負って傷が残る可能性を孕んでいる。むしろ傷が残るだけで済めばまだ良い方で、下手すれば命を落とすこともあるのだからミシュリアは幸運な方だと思う。




 しかし、それは基本的に男性の冒険者における価値観だ。あるいは、男勝りな性格で体に傷が残っても気にしないタイプの女性に限った話。私もその中の一人だ。


 ミシュリア様の場合、彼女は将来貴族の娘として他家の貴族の元へ嫁ぐだろう。本人は貴族同士の縁談という形で自分の相手を決められるのは嫌だったようだが、行き遅れとされる年にならない内にいずれ無理にでも嫁入りさせられる事になるだろう。


 貴族にとって、娘を他家に嫁入りさせる事で親戚関係となり、家同士の繋がりを深めようというのは至極当たり前の事だから。



 政治的に見れば、タカヒトはミシュリア様をこの争いに巻き込んだ事により、タイン伯爵家のそうした政治的カードを使い物にならなくさせたと言える。例え男性経験ナシ( 処女) だとしても、体に大きな傷が残った令嬢を嫁に受け入れる家があるとは、彼女には悪いが到底思えない。



 加えてミシュリアは万一の時には体に傷が残る事も覚悟していたとはいえ、元々冒険者として一生を終えるつもりの私とはそもそも立場が異なる。彼女が傷の存在を知った時、心に受ける傷がいかほどのものか。




 私はもう一度、目の前の男の顔を見据える。

 タカヒトがもし、『貴族の政治的カードを使い物にならなくさせた事で恐怖を覚えている』のなら、私はこの男を殴り倒してでもミシュリアに謝らせようと思った。


 だが、男が浮かべる表情に、自分の保身を考えているような思いは見受けられなかった。

 ただ純粋に、彼女にとって取り返しのつかない傷跡を残してしまった事に対する悔いと申し訳なさ。その二つの思いが、タカヒトの表情から滲み出ていた。




「ミュリエルさん。私は彼女が目を覚まし次第、事のあらましを包み隠さず打ち明けます。

 自分が巻き込んだ事で彼女に消えない傷を残してしまった事、これはいくら償ったところで彼女にとってはおそらく慰めにもならない事も理解しています。

 ですがそれでも、私は自分の責任を果たさねばなりません。たとえ”闇”を倒すためだったとはいえ……」


「……その言葉を聞いて安心した。ミシュリア様の事もきちんと考えてやれる性根の良い男で良かったと思うよ。まあ彼女は人を見抜く才に長けているから、だからこそ旅の仲間として君を選んだのかもしれない……」



 お互いに沈黙すること数秒、今度は私が先に口を開いた。



「民のためにこうして本当に身を捧げてしまう、貴族の鏡のような女性だ。どうか、ミシュリア様の元についていてあげてほしい。後ほど私も、ミシュリア様へ謝罪に伺うよ……」


「……わかりました。では」





 タカヒトは踵を返し、ミシュリア様の元に歩いていった。




 私は再度、今回の一件で起こったことを頭の中で纏め直す。




 キスト王国に蔓延る”闇”を打ち倒すべく、我々冒険者とタカヒト達一行はこうして秘密裏に暗躍を続け、そして今日ついにその目的を果たしかけるところまで来た。


 だがその代償は大きいと言わざるを得ない。

 先ほどタカヒトが『爆走』が第2隊の防御を突破してきたと言っていたことから、ナーベラ商会へ向かった第2隊に編成された冒険者達の生存は絶望的だろう。良くても瀕死の重体というところか。あの男は、敵対する者に対しては誰に対しても容赦をすることは無いから。

 まだそれぞれから具体的な被害の報告は聞いていないが、第2隊以外にも『爆走』と面と向かって戦ったナーベラ方面隊の被害も相当のものである事は想像に難くない。


 彼らにも家族があるし、嫁をもらって(あるいは婿入して)家庭がある者だっている。私は連合指揮官クランリーダーとして、彼らの死や怪我の具合を家族に報告する義務がある。義務である以上それを果たさなければならないが……。



「何度繰り返しても、仲間の死を残された家族に伝えるというのは心に堪える……」






 私は『聖光セインライト』が被った被害を聞くために動く事にした。生き残った者には『お疲れ様』との労いを、果敢に戦い散った者には『よくやってくれた』と弔いの言葉を掛けなければならない。それが、連合指揮官クランリーダーの私の仕事の一つだから。

 今回を以って”闇”との直接対決はおしまいです。

 次回は”闇”との戦いの後日談のような形で物語を展開していきます。

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