営業マンは自身に秘められた力の本質を把握しようとする
今回はタカヒトさんの持つスキルのお勉強回です。
チュンチュンと小鳥が鳴く。
今日も朝が来た。
連日昼間はずっと窓を開けていた成果が出て、部屋のカビ臭さもだいぶ無くなって改善されてきた。
まだ匂い自体が消えた訳ではないが、ここに入った当初と比べればその差は歴然だ。
ラパーヌとの戦いから数日経った今日。
先日ラパーヌを蹂躙したことで上がった俺のステータスと、スキルの変化を見てみるとしよう。
力:678
魔力:653
知力:787
体力:702
俊敏力:805
幸運:1500(最大値)
以前見たときの俺のステータスはこうだった。
それが今見ると……
力:718
魔力:686
知力:814
体力:745
俊敏力:855
幸運:1500(最大値)
なるほど。それなりに成長はしているようだ。
相変わらず幸運の数値はバグってるが。
極端な数値の変動は起こっていないので、ステータスの上がり方は某RPGの中でも竜の探求の方に近いかな。
最後の幻想の方は結構なペースでステータスの数値が増えていくからな。
続いて、スキルの方を見てみよう。
スキルはこの間の戦い終了後に見た時点だと『影使い』のスキルのレベルがSからSSになっていた。
他のジョブ型のスキルはどうなってるか。
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『鎌使い・極』・・・Lv.SS
概要・・・鎌を専門的に自在に操れるスキル。習得直後はLv.S。最高はLv.X。
自身の体格上扱える限界を超えない限り、どのような鎌でも流麗に使いこなせる。(Lv.S)
※ただし、自身の体格で扱える以上の大きさの鎌は適用対象外となる。
任意で鎌の刃に魔力等を纏わせ、より殺傷力を高める事が出来る。(Lv.SS)
Lv.SSで獲得した能力の大幅な強化と、能力の精密な調整が出来る。(Lv.SSS)
鎌そのものに強大な魔力を宿らせ、一時的に巨神の鎌とする事が出来る。(Lv.X)
※力を具現化していられる時間は、スキル所有者の魔力と体力に依存する
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なんじゃこの『巨神の鎌』って。
会得できるのは当分先だとしても、今でもデカイ鎌が文字通り巨神様用のそれになるとか?
それにしても、スキル自体のレベルアップで得られる恩恵が意外と少ないな。
こっちは『影使い』と違って、武器の扱いに関わるスキルだからかもしれない。
あっちは異能のようなもんだが、こっちは武器の扱い指南書のようなモノだろうし。
次を見てみよう。
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『暗殺者・極』・・・Lv.SS
概要・・・暗殺技能に特化したスキル。習得直後はLv.S。最高はLv.X。
急所を狙うと、その攻撃の命中率が上がる。(Lv.S)
また、急所を外しても急所に近いほど威力が上がり、致命打になりやすい。
暗器の扱い能力が大幅に強化される。(Lv.SS)
暗器に毒を塗りこむ場合、任意で毒の強さを調整する事が出来る。
完全に気配を消して行動する事が出来る。(Lv.SSS)
また、闇夜に紛れても匂いや熱を察知して敵の居場所を割り出せる。
敵に気付かれていない場合、その敵に攻撃すれば必ず暗殺が成功する。(Lv.X)
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本当に暗殺を生業とする者の為のスキルだ。
前にも言ったが、こんな人殺し用の物騒なスキルはちょっとなぁ……。
今回得たレベルアップの恩恵も、暗器の扱い能力が大幅に強化されるって。
しかも、毒を暗器に塗り込んだ場合の毒性の強さを任意で調整できるって。
これじゃあ専門家スキルの『毒使い』って要らなくねえか?
いや、『毒使い』で扱える毒のレパートリーが増えて、それを『暗殺者』で応用できるってか。
普通に塗り込んで敵に刺したら即死しちまうような猛毒でも、『暗殺者』のこの恩恵があれば死なない程度に毒性を抑えられる……。
そう考えると、一見恩恵がダブっているようで実は重なっていない無駄なき構成なのかも。
しかし、何れにしても人に使うつもりは全くないわけで。
しかも暗器=仕込み武器なんて、人相手以外に使ったってあまり意味はなさそう。
猿とかある程度知性があるならまだしも、そこらの低知能の野獣が相手じゃあ、隠すという情報戦の駆け引きをする必要がないし。
このスキルの恩恵に本格的に預かりそうになるのは、もう一つレベルが上がった時の『気配を消して行動可能』ってヤツだな。
次のスキルはっと。
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『鑑定眼・極』・・・Lv.SSS
概要・・・存在するありとあらゆる事象を『鑑定』し、情報を得る。習得時よりLv.SSS。最高はLv.X。
対象とする事象を設定し、任意でスキルを発動する事で対象の詳細な情報を得られる。(Lv.SSS)
スキル発動に制限のかかる環境下でない限り、どんな場所においても正確に情報を入手する事が可能。
あらゆる生物の思念及び思考も鑑定を通す事で読み取る事が出来る。(Lv.X)
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え?
なんだコレ。
某RPGだったら初っ端からゲームバランス崩壊も良い所である。
道理で素材の剥ぎ取りの部位とかが正確に分かる訳だ。
その情報源はどっから来てるのか不明だが。
ていうか、スキルが一段階進化した時点で相手の思考を読めるとか。
何考えてるか分からない危険人物には良いかもしれないが、本音で付き合える友達にこんなの使ったら絶交物だぞ。
おまけにあらゆる生物っつうことは、動物ともやり取りできるってことか?
いや動物の場合は、俺の言葉を理解できるかどうかも関わってくるが。
とりあえずこれは要注意スキルだ。
次のスキルを見てみよう。
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『鷹の目・極』・・・Lv.SS
概要・・・タカが獲物を鋭く狙うように、自身の周囲に存在する視認した存在を知覚できる。習得直後はLv.S。最高はLv.X。
思考を急速に加速し、周囲の空間と状況の把握を常人の数十倍もの速さで処理する。(Lv.S)
また、視認した存在に限り、敵意の有無を含め自身の周囲に存在を表示する。
視認した存在の姿形を正確に把握する。(Lv.SS)
また、自身が目標とする存在は視界に入っている限り、どれだけ人が入り乱れた雑多な環境でも必ず発見できる。
任意で対象に『マーク』をすることが出来る。
『マーク』した対象は、自身との距離が数キロ以内なら居場所を把握することができる。
距離が数百キロ以内なら、対象から離れていても自身が”一度”視認し『マーク』した存在の居場所を把握することができる。(Lv.SSS)
どんなに距離が離れていても、一度視認した場所であればリアルタイムで状況を見渡すことができる。(Lv.X)
距離がどれほど離れていても、自身が『マーク』した存在の居場所や周囲の状況を把握することができる。
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すげー!
『鷹の目』スキルすげー!
これもまた鑑定と合わせてとんでもないスキルだぞ。
私立探偵さんなら物凄く欲しいであろう能力。
何しろ『マーク』した対象の居場所を数キロ以内とはいえ知ることが可能なのだ。
レベルが更に上がれば次は数百キロまで拡大し、最高まで到達すれば距離の制限が無くなるどころか、居場所だけでなく状況まで知れてしまうという。
……鑑定もそうだが、これも成長すると使いかた次第で人のプライバシーを丸裸にするな。
もちろんそのような事をするつもりは全く無いが、あんまり他人に知れ渡ると関係に亀裂を作りかねない危険な要素でもある。
これも要注意スキルとして扱いには気を付けねば。
次のスキルはどうなってるんだ?
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『道具使い・極』・・・Lv.SS
概要・・・道具の使いかたの知識と、使用した道具の効果を補正する。習得直後はLv.S。最高はLv.X。
道具の使いかたの知識や、扱いの上手さ、道具を使った際の効果を強力に補正する。(Lv.S)
上記の効果を更に強力に補正する事ができる。(Lv.SS)
回復アイテムを使用した際の回復量は使用対象が自身、他者を問わず上昇する。
上記の効果を極めて高水準にまで補正する。(Lv.SSS)
回復アイテムの効果は更に強力なものになる。
上記の効果を世界最高レベルまで高める。(Lv.X)
回復に限らずアイテムを使用時、本来の効果の大幅上昇に加え新たにもう一つ効果を加えて発動させる事ができる。
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この『道具使い』のスキル説明文を書いたやつ、成長しても基本は同じ効果に一つ二つ追加されてくだけだからって適当に書きやがったな。
なんだよ『上記の効果を更に補正する』とか『極めて高水準に補正する』とか。
確かに同じものではあるが、それにしたってもう少し書き方はあるだろうよ。
ちなみに冒頭に出てきた『扱いの上手さ』っていう項目だが、これは仕事をする際に必要な道具の扱いが上手くなるって事を表しているらしい。
例えば、刃を持つ武器ならいつかは砥石で研がないと切れ味が落ちてしまう。
だが、砥石を使って刃物を研ぐのは、包丁を研いだ経験があるから言えるが慣れるまでは意外と難しい。
やり方を間違えると刃が真っ直ぐに研げないのだ。
慣れてしまえば別段どんな道具の扱いでもどうという事はないのだが、慣れるまでに犯す失敗というか。
このスキルのおかげでそれを補正してくれるという事のようだ。
極端な例として、カンナみたいな木の表面を削る道具とかだったりすると、ごくごく小さい僅かな差を削って寸法に合わせて加工していったりとか。
ミクロン単位でとかの話になると上手い下手の域を超えて神業の域な気もするが、要はそういう熟練で得られる技術をスキルで獲得出来るという事だ。
あと言っておくが、本来なら『道具使い:極』はその道うん十年の職人さんが会得してるようなスキルである事を宣言しておく。
前にも説明を受けた通り、素質がある人でも最初は『◯◯:初』から始まって、ずーっと何十年も腕を磨いてかつ素質がある人にようやっと『◯◯:極』のスキルが解放されるわけである。
もっとも、冒険者登録をしてる職人さんは少数なので、こういったスキルを自分が獲得している事を知らない人が多いらしい。
また、さっきはカンナを例に出したものの、鍛冶屋なら『鍛冶職人』というスキルが、大工なら『大工職人』というスキルが別にあるらしい事も述べておこう。
つまるところ、職人の道を極めてその分野の道具の扱いのプロになった人は、多分『道具使い』のスキルを持っているわけでは無いということだ。
このスキルがあったら、ポーションの効果は例えスキルが『初』だとしても補正はかなり有効なはずだ。
次のスキルは……んげ。
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『毒使い・極』・・・Lv.SS
概要・・・毒物の扱い及び錬成や解毒に長ける。毒物への耐性も身につく。習得直後はLv.S。最高はLv.X。
致死性の弱い毒を製作することが出来る。また、毒性に関わらず耐性により症状を大きく緩和する(Lv.S)
致死性の強い猛毒と麻酔毒を生み出すことが出来る。致死毒と麻痺毒に対する耐性が更に向上する(Lv.SS)
出血性の毒を生み出すことが出来る。あらゆる毒素に対する耐性が向上する。(Lv.SSS)
ありとあらゆる毒の製作と解毒が可能となる。(Lv.X)
触れた物に毒を直接宿すことが出来るようになる。毒素に対する完全な抗体が生まれ、一切の毒が効かなくなる。
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毒に対する耐性が出来るのは歓迎しよう。
毒殺される危険が格段に減るのはいいことだろう。
いや、人に限らず野獣に噛まれて毒が回ったとかって時に役立つからな。
だがそれ以外が酷い。
解毒薬が作れるのは良い。
だが自分で毒作ってどうすんのよ。
誰か殺しちゃうんですか? ってな。
暗殺者スキルも含めて、一番危険なスキルの一つである。
扱いには最新の注意が求められるのは言うまでもない。
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『大魔術師・初』・・・Lv.F
概要・・・大魔術師の駆け出し。様々な属性効果の魔法を覚えるが、基礎的なものである。習得直後はLv.F。最高はLv.D。Lv.Dに到達した状態で更にレベルアップをした時、素質がある場合は『大魔術師:下』にクラスチェンジする。
魔力量に若干の強化補正が入る。(Lv.F)
魔力量と知力に若干の強化補正が入る。(Lv.E)
回復属性の基礎魔法を習得可能。(要修練)
魔力量と知力に少々の強化補正が加わる。(Lv.D)
三種属性の基礎魔法を習得可能。(要修練)
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唯一のジョブ型スキルの『初』である。
さすが、補正も習得出来るであろう能力も他と比べると見劣りする。
スキルが大魔術師とあるから、多分強化するとエラいことになるんだろうが。
てか三種属性ってなんだ。
回復属性ならわかる。おそらくヒールとそれに連なる魔法のことだろう。
では三種属性ってのはなんだ?
この辺は後で誰かに教えてもらおう。
さて、これが最後だ。
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『修復師・極』・・・Lv.X
概要・・・素材さえあれば、適切な方法を用いて破損や損壊した対象を修復できる。習得直後よりLv.X。これ以上の進化はなし。
素材さえあれば、対象に合わせた適切な方法を以って極めて高いレベルでの修復が可能。(Lv.X)
ただし、『道具使い:極』との揃ったスキル使用が前提のため、このスキルだけでは対象の修復の完成度は低下する。
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なるほどね。
『道具使い』のスキルで必要な場面で適切な道具を狂いなく扱えるからこそ、高い完成度の修復は成し得るということだ。
これは『道具使い』と合わせて運用すれば、いざという時にはとても助かるな。
素材は影に入れておけば良いから、必要時に取り出して好きなタイミングで直せるわけだ。
「とりあえず、ステータスがバグっているなら持ってるスキルもバグ揃いと」
とりあえず、仕事をしにギルドに行く用がある。
そこでさっきのスキルの確認で気になった点をリサさんにでも聞けば良い。
そのついでに依頼も受注して、お金稼ぎもしないとな。
では早速、荷物は全て影に入れて。
換気のために部屋の窓は開けておいて。
ドアだけしっかり鍵を閉めてっと。
れっつらごー。




