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最強傭兵団でこの先生きのこるには  作者: 蛇色の海
フローデ・・・イタリア語で詐欺
16/27

ドキッ!女二人の最強決定戦

「さあいよいよ一試合目が始まります

ロランさんこの試合、どういった動きになると思われますか?」


「そうですね、先ほども言いましたが王女の実力が未知数です

ここはお互い様子見になるのではないでしょうか」


王女と副団長はお互い離れた位置でグラスを片手に相手を見据えている

中央に白黒の縦縞模様のシャツを着たアルメル傭兵が、、、、

あいつアルメルじゃねーか、だからアルメルがここにいるのはまずいんだって

ともかくそのアルメル傭兵が中央に立ち真上に挙げた手刀を勢いよく振り下ろした


「第一試合!始めッッ!!」


始めの合図と共にバンッと弾ける音がしたかと思うと

副団長が撃ちだされた銃弾のように王女へ突っ込む

片手のグラスに注がれた酒は一滴もこぼれていない

そのまま王女の間合いに入ると一瞬でグラスを破壊した

グラスに入っていた酒は飛沫をあげてこぼれていった

王女は少しばかり甘くみていたようだ

さあ楽しませてねといった表情で副団長が居た場所にまだ視線がある

だが事体に気付き、その事実に驚愕する

「、、、え?」


「い、、、一試合目!勝者!フロメル副団長!光無き朝を届ける来訪者キーリ!」


副団長のあだ名がどんどん複雑で詩的になっていく

ともかくこれで一勝目だ


「驚いた、、、いや驚いたわ、強いとは思っていたのだけれど

ふふ、決めた、

私が勝ったらあなたには海軍に入ってもらう

私の副官にする

さっきの約束覚えているわよね?」


「もちろんですわレスビカ殿下

レスビカ殿下を私の好きにしていいんでしょう?」


副団長は自身が持つグラスの酒を一気に飲み干して

空になったグラスを高く掲げた

歓声が爆発するように大きくなる


副団長、本気だ

王女殿下に花を持たせようとか一切考えていない

だがそれがいい

これなら安心してみていられる

後は戦争演劇に集中すればいい


「さあさあ、あまりにも一瞬の出来事で何も実況できずに

一試合目が終わってしまいました、今の解説できますか?」


「ぶっちゃけ無理ですね、何が起きたのかも皆目見当もつきません

副団長が急に王女のそばに居て

王女殿下のグラスが割れていた

そうだったとしか言いようがありません

いやー相変わらず怖いですね副団長

そういえばトラットリアさん

副団長が勝ったらボッテの飲み代が

二日間無料になるって聞いたんですが、、、」


「さあ!さっそく二試合目が始まります!」


両者グラスを持ち直し二試合目が始まろうとしていた

縦縞模様の男が中央で手刀を振り下ろす


「はじめィッッッッ!!!!」


二試合目どうなるかと思われた

ここでも副団長は速攻を仕掛ける

手練れならばなんとか捉えられる速度で

王女に接近し、、、

いや、王女も飛び込んでいる!

二人は中央で激突した


「こ、これは!二人は中央で拳を合わせています!

王女殿下が飛び出した副団長の動きを止めました!

これはどういった状況ですか解説のロランさん」


「これはどうなるかわからなくなってきましたよトトリさん

一試合目の王女殿下は正直油断していたと言えるでしょう

しかし!この二試合目!

あの副団長の動きに合わせて来ました!

これまで見えて来なかった

王女殿下の実力の片鱗がやっとここで見えたと言えるでしょう!」


俺は思わず目を見開いた

王女が副団長の動きについてきた

二人は拳を合わせたままニヤリと笑うと

グラス片手に徒手空拳での争いが始まった


「アッー!ものすごい速度です!

申し訳ありませんが私の目では全く何が起きているか分かりません!

解説のロランさんあれが見えますか!」


「いやまったく見えませんね、ごめんなさい

例えるなら、まるで頭がいくもある蛇が

互いに噛み付きあっているような動きです」


ロランの例えは言い得て妙だった

王女と副団長の腕は互いに絡み合っている

だがわずかだが副団長が優勢だ



副団長の鋭い突きを受けようとした王女の腕が弾き飛ばされた

チッと舌うちしながら後ろへとステップする王女

その隙を逃さず必殺の蹴りを放つ副団長

その蹴りはグラスの縁をわずかに欠けさせそこから酒の雫が

グラスの外側を伝っていき、そして地面に滴り落ちた


血管を禿頭に浮かせた白黒縦縞模様の男が勢いよく宣言する

「それまでッッッ!!第二試合勝者!キーリ・アストージアッッ!」

観客が一斉に歓声を挙げる


「さあ!二本目も副団長が取りました!このまま勝負は決まってしまうのでしょうか!解説のロランさん!いかがでしたか」


「いやー王女殿下が副団長に対応したのには驚きました

だがそれを上回る副団長の格闘スキル

本当に敵じゃなくてよかったと思いますね」


王女と副団長が三戦目の前に言葉を交わす

「やるわね、少し本気を出したんだけど

それでも遅れを取るとは思わなかったわ」


「ふふ、レスビカ殿下、ずいぶんと余裕がありますね?

次、私が勝てばあなたは私の好きなようにされるんですよ?」


「もちろん、理解してるわ

あなたこそ理解しているのかしら?

酒を飲んで激しい運動

そうして引き起こされる体の変化に」


2~3言葉を交わした後、副団長は二杯目のグラスを空にする

わずかだが一杯目よりも時間をかけて飲みこんだように見えた


「さあ!三戦目です!このまま副団長が勝負を決めてしまうのか

どうですかロランさん!どうなんですか!」


「いやー王女殿下には悪いですが実力の差は明らかだと言えるでしょう

このまま副団長の勝利は固そうですね

所でトラットリアさん

副団長が勝利すれば

BBQも行われるとの事ですが

しかもトラットリア商会持ちで」


「さあ運命の三戦目!頑張れ王女!負けるな副団長!」


「見事にスルーされましたロランです

三戦目ですが現在副団長が二連勝し、勝利に王手をかけています

ですがすでに二杯も酒を飲んでいる副団長

今回グラスに注がれている酒というのは

随分強い酒らしいですねトラットリアさん?」


「ええ、コリナポルタ王国の秘蔵の蒸留酒で

透き通った味わいと非常に強い味わいが特徴です

それを二杯飲んで動き回るのはさすがの副団長でも

影響なしとはいかないでしょうね」


心なし副団長の頬が赤い気がする

だが中央で男が否応なしに手刀を振り下ろす

「三試合目ッッ!始めッッ!」


三度目の速攻

副団長は三度王女殿下に向かって突っ込んだ

王女は素早く腰に手を回し

取っ手の付いた短い筒を取り出して副団長へ向けた

全身の汗が蒸発するような感覚 

「避けて!!!」

俺は副団長に向かって叫んだ

だが俺の声が届く前に

王女は取っ手に付いた取っ掛かりに指をかけて引いた

すると炸裂音が辺りに響き筒の先から鉛が飛び出す

副団長は間一髪でそれを躱す事に成功した

だがその動きによってわずかにグラスの中の酒が揺らいだ

まるで山頂を目指すアルピニストの集団のようにグラスの縁を目指す液体は

徐々に先細っていく

そして先端が一滴に分離する事によって

液体はグラスの頂を制して外の世界へと飛び出していく

そして遥か遠く下の地面に向かって行った


「勝者ッ!ッッ!!レスビカ王女ッッ!!!」

わああああああああああっと歓声があがる


銃だ


傭兵団では見る事がなかったがこの世界にもあったのか

思い返せば会食の時からずっと腰にぶら下げていたじゃないか

副団長と王女が戦うと決まった時に伝えておくべきだったのだ

くそっ!なんて間抜けなんだ俺はッ!


「おっと王女殿下が大陸でもまだわずかにしか流通していない最新兵器である銃を使いました!

私実は一つ持っているんです

以前傭兵団に売りつけようとした時に

キーリに趣味じゃないと断られたんですね」

トラットリアさんはいつも腰の辺りに提げているかばんから銃を取り出した


ああ、なんだ、、、傭兵団にもあるんだ銃、、、知ってたんだ、、、そっか、、、


「油断したわね、キーリ

けどルールに武器を使わないなんて言ってないのよ?」


銃口から昇る煙をふっ、と息で吹き飛ばす王女


「その通りよレスビカ殿下その通り、異論はないわ

、、、思ったより鉛玉が速く飛ぶのね、失敗したわ、、、」

そういう副団長の頬は確実に赤く染まってきていた


手に持ったグラスの酒を飲み干す王女

「さあこれからがこの勝負の恐ろしい所よ

お互いに酔っぱらってどんどん収集がつかなくなるの

ただし私が酔っぱらうのはまだまだずっと先だけど」


そう言いながら一瞬でグラスを空にする王女

これで副団長の2連勝は消えて王女が1勝目

ここから再び副団長が勝利へリーチをかける最短ルートでも

酒を2杯空ける必要がある


「4試合目ッ!開始めィッッ!!」


副団長は四度目の速攻を仕掛けない

立ったまま俯いてゆらゆらと動いている

そんな、、、副団長酔ってしまったのか?


「あら、来ないの?ならこっちから仕掛けさせてもらうわよ」


王女はグラスを片手にゆっくりと近づいていき

副団長の間合いに入る

そしてそのまま副団長のグラスを持つ手を取った

だが相変わらず副団長はゆらゆらと揺れて抵抗する様子もない


「ねえ、そんなに酔っちゃったの?

まさかこのまま終わっちゃうのかしら?」


王女はそのまま副団長の手を傾けていく

だがその手はもう少しで酒が滴り落ちると言う所でぴたりと止まった

そして副団長はゆったりと王女に顔を近づけて

そのまま耳元まで行くと低く甘い声で囁いた


「レスビカ殿下、ロウダオってご存知?」


まず副団長は王女が掴んでいる自分の腕を自分自身に引き寄せた

王女は掴んだ腕を離さなかった為に前のめりな姿勢になる

王女はグラスの酒と自身のバランスを維持する為に

左足を前に出した

そしてその足が地に着く前に強烈な衝撃が王女の左足の左側から走った

王女の左足は右へ吹っ飛び、くるんと体は横回転しそのまま尻もちを着く

王女のグラスの酒は半分以上地面にこぼれていた


「勝者ッ!キィリィッッッ!!」


唖然としている王女の耳元で再度副団長は囁いた


「ごめんなさい、あなたが、、、レスビカがこんなに強いとは思わなかったの、どうせ親の七光でしょうってばかにしてたの

だからあんな戦い方しちゃって、、、

ごめんね?だけどここからはちゃんとやるから、、、ね?

もしかしたらどこか怪我をするかもしれない

レスビカが強いから仕方ないのよ

大丈夫怪我したら私の唾液をつけてあげるわ」


ぽんと王女の肩を叩いて勝負開始の位置へ副団長は戻る

戻る際にグラスを一気に空にした


副団長は手加減していたんだ

手加減というか只々身体能力に任せてそれで王女を圧倒していた

だが王女の力を認めてこれからはどうなろうがお前を倒すと言っている

王女は一体どういう顔をしているのだろうか


その後は一方的な内容だった

王女は必死に食らいつこうとするが手も足もでない

再び銃を使ってもすでに銃弾の速度を

把握した副団長には通用しなかった


「勝者ッッ!!キーリ!アストーーージアッッ!!」


そうして6度目の勝負が終わり

副団長はグラスを飲み干し歓声があがった


「キーリアストージアの三連勝!よって試合の勝者は

フローデ・メルチェナーリョ副団長、キーリ!アストージアッッ!!」


「レスビカ、、、?大丈夫?怪我してない?

待って、急所経穴を順番通りに突いていくからね?

何も心配しなくていいのよ?

気を楽にして、力を抜いて、、、」


後半からも終始王女を圧倒した副団長だが

特に最終6戦目はすごかった


すごかった





すごかった


顔を紅潮させた副団長が笑みを浮かべながら

開始早々に王女の経穴を突いて身動きを封じると

とても言葉にできない行為の後に彼女のグラスの酒を

飲み干して底に残った一滴を地面に垂らし

その後自身のグラスも空にして今に至る

身動きが取れないまま副団長にされるがままになっていた

王女の皴一つ無かったコリナポルタの海軍服は

艶めかしくはだけていた

王女は経穴を再度突かれびくびくと体を痙攣させて体の自由を取り戻す

がくんと膝を地面に着くと涙を流しながら俯き荒く息をした


「ひどいわ、、、あんな事するなんて、、、体がおかしくなりそう

、、、完敗よ、何もできなかった、、、ふふ、あなたを私の部下にするですって、、、驕りにも程があるわね」


絞り出すように喋る王女に副団長は近づいて行って

王女の顎を折り曲げた人差し指でくいっと持ちあげる


「レスビカも強かったわ、、、

だけど経験不足ね、、、

あなたは人体について知らない事が多過ぎる

けど大丈夫私が教えてあげるわ、、、

手取り足取り、隅から隅まで、、、」


恍惚とした表情で副団長を見つめる王女

そしてその王女を妖絶な笑顔で見つめる副団長

二人はお互いゆっくりと顔を近づけていく




「敵襲ー!!アルメルがペイシュパルデ平原に陣取っています!」


人だかりの中へ飛び込んできた伝令の声に副団長と王女は同時に振り向いた

辺りがざわざわと騒ぎ出す


随分早いなと俺は思った

だがここからが本番だ

いよいよ王女を戦場に案内しなければならない

副団長がしっかりと仕事をしてくれたおかげで

王女は遠方から視察するだけだ

それでも間違いがないように目を光らせる必要がある

次は俺が仕事をする番だ





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