魔術師の第一次転換期〜中編〜
「母様、今帰りました」
「アルヴお帰りなさい」
なにやらカティが慌ただしく移動している。
「母様、どうしてカ…」
「あら、後ろにあるのは何?」
話を逸らされた。まあいいか。
「僕の魔術、薔薇の城です」
「あら?薔薇の城とガーデンは何が違うの?」
「薔薇の城は移動要塞、つまり防御とかで主に使います。たまに攻撃にも使いますが。そして、中には自動治癒魔術があり、魔力を消費して回復してくれます。致命傷はやられたばっかでないと無理ですね。ガーデンは攻撃用で、毒があります。棘が刺さると死ぬ可能性のある毒を注入されます。神経毒、血液が凝固していく毒、強酸性の水、壊疽していく毒等、なぜか陣に付与してしまったんですよね。薔薇の城にいれば、攻撃されることはありませんし、母様や父様、カティとティナみたいな僕に親しい人達はまず攻撃されません。すぐに薔薇の城に取り込まれますし。とまあ、長くなりましたね。ここで区切りましょう」
長々と説明してしまって母様はポカンとしている。
「え、ええ。まさかそこまでの性能を持っているとは思わなかったわ」
あ、判別術式の説明してなかったけどいいや。
「はい、僕は部屋に戻っています。ティナも来ますか?」
男子が女子を自分の部屋に誘うと言ったら…と思うかも知れないが、まだ5歳よ。もうそろそろろくさ…ああ、そういや今日は自分の誕生日だったっけ。だからか〜。驚かないとな。
「え、うん。一緒に行くよ!」
うーん、なんか忘れてる気がする。そこまで重要性はないんだろうなぁ。
自分の部屋で遊ぶ(魔力制御の練習)をする事をする事30分。母様にご飯よ、と言われ、下に行くと、
「「「「誕生日、おめでと〜」」」」
うん、やっぱりな。
「え、ああ、ええ?」
「アルヴの6歳の誕生日、魔術師にとっての成長段階よ。何があるか分かる?」
いやわからんよ。うーんと悩み、諦めた。
「何があるのですか?」
父様が、
「魔導師養成学校の初等部に入れる、分かるか?」
ああ、なるほど。
「初等部、中等部、高等部と上がっていくのですよ。アルヴはもう初等部に入れる歳なのよ、どうするの?」
答えはもちろん決まっている。
「はい、行きます。学べる事も多いでしょうし」
「そうか、良かった。なら手続きはしておこう」
そう言うと、ペンと金色の紙を持ってきたカティが父様に渡す。すると何かを書き始め、ペンを置く。そして、それを上に投げると光が出始め、一際大きく輝いた瞬間、それは無くなっていた。
「す、ごい。何で作られたものですか。僕、とても気になります!」
「それはわからん、提出日が過ぎていても勝手に消えるし、提出してもあの様に消える。国王が作ったと言われているアーティファクトだろうな」
「ふ、ふふ、面白いのみっけちゃった……」
「「「え?」」」
あ、声に出てた。
「まあ、それはいいとして。お腹すきました」
「そ、そうね。早く食べましょう」
「そうだな。恵に感謝し、いただきます」
「「「「いただきます」」」」
母様とカティが作ってくれたご飯は、腕によりをかけて作ったのか、とても美味しく、懐かしい味がした。途中、涙を流して驚かれたのは余談である。
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