白銀の憤怒〜後編〜
また今回も視点別れます
僕は、しまった__。と思った
物理障壁を展開していれば、ティナに行く事のなかった魔法。
方向を変え、戻って守ったとしても遅い。ブーストを使っても間に合わない。
「あ、ああっ!」
咄嗟にティナは魔法を発現させ抵抗したが、意味がなかった。少しの時間抵抗しただけ。
そして、当たる__。
「……」
爆音が鳴り響き、俺を襲ったのは目の前が赤く染まるほどの怒り。
「コ…ロス……」
奴らは呆然としていた。
俺が今まで手加減していたのを知らないから。
踏んではいけない地雷を踏んだから。
逆鱗に触れ、キレた時の龍を知らないから。
「テメエラ、全員ブチコロスッッッ!!!!!!」
昔に放出した魔力量と同じだが増加していっている俺の魔力量は苦にしなかった。
ただの人が持っているとは思えない魔力。
「ひっ、ひぃっ!」
「ば、化け物…」
「なん、だ、これは…」
ああ、なんとか理性を保ててるなぁ…。
殺さなきゃ…
一人残らず…
殺す…
全員…
コロス…
「ふふっ、あははっ、アハハハハハハハハハッッハハハッッハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッッッ!!!!」
分かる、魔力を垂れ流しにしているだけで体が強化されていく。
変化はそこからだった。
「あっ、ガッ、グゥウラガァァァ!」
見える視界が真っ赤だったのがクリアになり、手の爪は伸びて尖っている。
背中から何かが生えてくる感じがする。背中の奥がモゾモゾ蠢き多大な不快感をもたらす。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
すると奴らの目が恐怖に彩られる。そうだ、そうでいろ。全員、殺す、殺、す。
「アルヴッ!落ち着いてっ!」
後ろから抱きつかれ、そのまま倒れる。この聞き覚えのある声は…。
「ティ、ナ?あれ、アスタ、ルテ」
ティナが抱きついてきたのはわかった。何故、あれでティナが生きているのか不思議だった。
だが、岩の後ろからアスタルテが出てきたので理由がわかった。
「あ、ああ、良かった、良かった…」
涙を流しながらティナに抱きつく。ティナも抱き返してくる。
「マスター、私はティナ殿の護衛を任されました。今後一切、あの様な事なき様にと仰られたのはマスターです。私を、信じてください」
「うん、ごめん。まだ、信じきれてなかったみたいだね、ありがとう、アスタルテ」
そうして話していると向こうの方から魔法詠唱が聞こえたのでありったけの魔力を吸収していく。
そして詠唱が終わった瞬間、発現はしたが霧散していく魔法。
「なっ!」
「ああ、お前ら許さないから。とりあえず、
死にはしないから安心してね♪
壊れるのは__」
魔術師たちは悟った。ようやく悟ってしまった。
この少女の逆鱗に触れたのだと。
「精神だけですからね…」
俺はガーデンをひたすらに硬化していき、それを魔術師たちに巻きつける。
「では、まず一人目です〜♪」
手足の指のへ針の様なガーデンの棘を刺し、それを動かしながら2本目を突き刺し、3本目ー、と次々と拷問を繰り返していった。叫んでいる様がいかにも笑える。
独奏。
「次は2人目です( ´ ▽ ` )ノ」
今度は微弱の毒を傷口へぺたりと張る。
しかし微弱とはいえ酸性のものなので激痛へと変わる。それをいくつも貼った。
ビクンビクンしながら1人目と同じ様に絶叫している様は面白い。
二重奏
「3人…」
「止めてっ!」
止めたのはティナだった。
「どうして、なんで止めるの?」
「なんでこんなことするのっ!?」
「なんでって、それは…」
俺は、俺は、俺は、俺は、なんで、なんでこんなことをしている?
俺だ、俺じゃない、俺だろ、俺じゃない!やっているのは__。
違う、違う、違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う________。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっっっ!俺はっ」
「どうしたの、アルっ」
ドンとティナを突き放した。ちょうどいた所へガーデンが突き刺さる。危なかった。俺が正気を失っていたから、ティナを危険にさらした。
もう会うのは、最後になるかもしれない。
だから、俺はティナに笑って、
(ごめんね__)
自分の心臓のあるところへガーデンを突き刺し
猛毒を思いっきり流し込んだ。
ーーーーーーーーーー
「……」
正直に言って死んだと思っていた。
でも、
「起きてください、ティナ殿」
「え…?」
目の前に黒く輝く壁があるのに気がつく。それも後数センチというレベルで。
「きゃっ!」
「それと、マスターを戻してください。頼みます」
壁がいきなり崩れ驚いたけど目の前のアルヴを見て最初に覚えたのは恐怖。
いつも抱きついていた背中から黒く輝き血管の様にアルヴの魔力がドクンと波打っているのが分かる。
アルヴが苦しむその声を聞いて止めなきゃと思った。
結果は、止められた。けれど、いつものアルヴじゃない。
あの響なのに、丁寧な口調の、あのアルヴじゃない。
だから、止めた。
あんなことをしているアルヴを見たくないから。
するといきなり叫び始め、様子が変わった。
「どうしたの、アルっ」
突き飛ばされ、見たのは、
ちょうど自分がいた所へ鞭が落ちるのと、
アルヴのとっても悲しそうな笑顔と愛するアルヴの胸から沢山の血が流れ出る所だった。




