プロローグ
「…はぁっはぁっ、くそっどこにいんだ…!」
俺は藤堂響。事情があって今ある女子を探している。謝らなければ、そう思った。
〜5時間前〜
屋上で大声がしたので行って見たら女子2人が居た。どちらも知っている。
「なんでだよっ!あいつの事が好きなんじゃないかっ!?」
怒りと悲しみが混じった顔で叫んでいるのは植村愛。同級生で親しい仲だった。
「でも、私は、」
気弱そうな彼女は篠原美波。幼馴染みだった。
「でもじゃない!早く付き合うなら付き合えよ!」
「うるさいなっ!なんでそんなにくっつけようとするのさ!」
うぐっ、と何かが喉に詰まったような声を出し、切り出した。
「…だって、あいつはお前の事が好きで、入る余地がなくて、だったら付き合ってくれたら、諦められた。でも、お前は答えを出していないじゃないか!」
「私はあいつの事はきr」
バンッ!と扉を開け、続け様にこう放った。
「俺の事なんか、で、なんだ。嫌いか。」
美波は顔を真っ青にして弁解しようとした。が、
「あっそ、嫌いなら嫌いと言ってくれよ。面白いんだろ、男を弄んで振るのが。俺もてめえは大っ嫌いだ。じゃあな」
そのまま出て行った。携帯にメールが届いていたが全て削除、植村からも来たが今は誰にも会いたくなかった。振られて嫉妬に狂った今の顔を見られたくなかった、が。
そして5時間経った今現在、自分が勘違いをしていた事に気づく。あいつは嫌い、ではなく嫌いじゃないけど、と言おうとしていたのだが、きr、と中途半端だったので気付けなかったのだ。自分の早とちりだった。美波は前から見つからないらしい。青い顔をして即座に出て行った、という事だ。
で、冒頭に移る。
〜〜〜
「お願いだ…悪かった、俺が悪かった!だから見つかってくれ…!頼む…」
その時、ふと道路を見た。見つかった、が。青信号なのに、トラックが迫っている、まずいと、思ったら体は勝手に行動していた。
「美波ぃッ!」
ぱしっと手を掴み、後方に投げる。直後、凄まじい衝撃が体を襲った。10メートルは軽く飛んだだろう。美波はボロボロ涙を流して叫んでいたが、鼓膜が破れたようで聞こえなかった。体はぐちゃぐちゃ、もう痛みすらも感じない、そんな中、言えたのはたった一言。
「わ…りい…あん…なく…な、綺麗な…かお…が、だい、なし…だ………」
それだけ言った後、コポッと血を吐いた後、響は命を引き取った。