第3話変化
しばらくは治療に専念をすると決めてから、しばらくして俺はようやく動いても大丈夫になった。
「さすがに動かなすぎて体が鈍ってるな。」
「レイン兄さん、それはそうですよ。」
俺のつぶやきに返してきたのは、グレンだった。
治療に専念をすると決めた二日後には、俺よりも怪我の具合も軽かったため動けるようになっていた。
そして俺のところに来ると、心配していた俺たちを裏切って1人で動いた事を謝ってきた。
その事で少しゴタゴタがあったがなんとかおさまり、グレンはこれからは必ずどんな事でも俺たちに相談する事を誓い、それに合わせて俺の名前を呼ぶときは兄さんとつけるようになった。
「しかしグレン、俺たちが動けるようになったという事は、ルードさんが絶対訓練をさせにくるぞ。」
「それは、諦めるしかないですよ。ジェイド達も道連れにするために来るでしょうし。」
「はぁー、それもそうだな。」
俺たちはそんな会話をしながら教会内を歩いていた。
これも立派なリハビリで、しばらくこういった運動もしていなかったために、普通の生活で使う筋肉から戻していっている。
「レインにグレン君じゃない!どうしたの?」
目的地もなく歩いていたら、たまたま食堂にたどり着いていた。
なんとなくで中に入ってみたら、リリー達女性陣が厨房で料理を作っている途中にでくわした。
「リリー、たまたま近くに来たから中をのぞいてみただけだよ。」
「そう?てっきりお腹がすいたりして、来たのかと思ったのだけど。」
「さすがにまだ昼には少し早いからね。」
会話しながら時刻を確認すると昼飯には少し早いぐらいだった。
今リリー達女性陣は、リリーの指導の元に家事を一通り教え込まれている。
リリー曰く、ライナは問題なく合格で、次にレン、ミリーときて、ユフィーとルナに関しては要努力といった感じらしい。
まあ、最初の自己紹介でもライナは家事全般はできるみたいにいっていたから大丈夫だったんだろう。
そしてユフィーとルナに関しては、とくにユフィーだが最初に感じたのは何処か良いところのお嬢様だったから、やはり想像通り家事はできなかったか。
「そうだ!レインにグレン君。ちょっと味の感想きかせてよ。」
そう言って俺たちに根菜で作ったスープの味見を頼んできた。
俺たちは、それを受け取って試食してみた。
うーん?
なんだろうな、美味しいのは確かなのだけど、どことなく味が薄いように感じるな。
味見を頼むくらいだからきっとまだちゃんとできてないんだろうな。
「2人ともどう?」
「僕は問題なしに美味しいと思います。」
「俺は少し味が薄いかな。」
「そう?ていうかレイン。あなた最近、料理の味が濃くなってない?」
「そうか?いつもと同じだと思うんだけど?」
「そう言われれば、レイン兄さんは少し味が濃い料理を好んで食べてましたね。」
リリーとグレンにそう指摘されてしまった。
そうか最近俺は味の濃いのをよく食べてるのか。
これは少し注意しないとダメだな!
「まあ、2人の感想を参考に完成させるわね。」
リリーはそう言い残して厨房に戻っていった。
他のメンバーにも声をかけようかと思ったが、みんな真剣だったのでそのまま出て行くことにした。
「お!お前達良いところにいた!」
ちょうど厨房からでると、ルードさんがタイミングよくいた。
「少し耳に入れておきたい情報が入った。全員に話す前にとくにレインには聞かせておきたいものだ。」
俺たちは、ルードさんに連れられてルードさんの部屋に入った。
「実はな、教会側からの情報でヘイブル王城が襲撃を受けているらしい。」
「「えっ!」」
俺と一緒にいたグレンは、驚いて声をあげてしまった。
それはそのはずだ。
だってヘイブル王城という事は、魔族の王がいるところだ。
さらには、魔族も人族も戦争をしていないから、こんな事が起きるとは考えていなかった。
「それで、ルードさん状況はどうなんですか?」
「その襲撃者は・・・・・・たぶんあの無口な男だ。」
「!!!」
グレンが反応をする。
俺はすかさずグレンの方を見ると、一瞬だけ殺意を目に宿したが、すぐにその気配はなくなった。
「レイン兄さん、僕はもう大丈夫ですよ。もうあんな事はしませんから。」
俺の視線を感じたのだろう、グレンはそう言ってきた。
「グレン、成長したな。それでレイン次の目的地をヘイブル王城にしようと思うがいいか?」
「ルードさん、それは全員に話してから決めましょう。」
「そうだな。もうじき昼飯だしその時に決めることにしよう。」
話はそれだけだった。
それにしても、何故今頃ヘイブル王城を襲撃しようとしたのだろうか?
奴らの目的がわからない以上こちらは後手に回るしかないから厄介だな。