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転生魔術師の第三の人生《仮》  作者: 赤李 基
第一章 弟子と水精霊の神殿
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#9 加入

今回は少ないです。申し訳ない。

特に、なんもないお話です。

「……はい?」


 突然現れたエルフ耳の美少女にそう聞き返したのはリューネだった。

 僕は見ての通り、女の子二人を連れた如何にも弱そうなキャラなのだけれど、何故そんな男が創設者のクランに入りたいだなんて言うのだろうか?

 別に自虐ネタとかじゃありません。


「んーと、君、それは僕らが昨日この街に来たばかりで、今日冒険者になったばかりの奴らだって分かっていて、その上での加入申請なのか? どうやら君は結構長い間冒険者をやってるように見えるけど?」


 言いながら少女の装備を見渡す。

 黄色と黒のジャケット、白いズボン、腰のベルトには二本の短剣ダガーが吊るされている。

 見た感じ、盗賊シーフ風の冒険者だ。


「はい、勿論ですよ。実は今ボク、パーティもクランにも入っていなくて……もしよかったら入れて欲しいなって思って……」

「いや、別に僕は良いけれ――」

「実力が分からないからには判断に困るな」


 僕の言葉を遮って言ったのはアリュンだった。

 いつの間にか小さくなっている彼女は、腰に手を当て薄い胸を強調させながら少女の見る。


「何より、名前すら名乗らんとはどういう事だ」

「あ! ごめんなさい、うっかりしてて……。ボクの名前はユーリ・ステンディーネ。妖精種エルフで前衛やっています」

「……ッ!?」


 …………ユーリ。

 ユーリだと?


「ごめん、よく聞こえなかった……。もう一回言ってくれると嬉しいんだけど……」

「え? は、はい。ユーリ=ステンディーネです」


 彼女は確かにそう言った。

 ユーリ、と。

 前の世界での僕の一人の弟子は、ステンディーネなんて言う苗字ではなかったし、そもそも別の世界の人がここに居るわけがない。

 同じ名前をした別人だろう。


「ありがとう。僕の名前はリオンハート=シャオラン。魔術師です」

「……アリュンだ」

「リューネ=ディニアスです」


 何故かアリュンが刺々しい口調で言い放つのが気になるが放っておこう。

 それよりも、だ。

 アリュンの言う事にも一理ある。

 パーティ、クランの両方に入っていないとすれば、もしかしたら彼女は相当弱いのかもしれない。

 僕らとしても、あまりお荷物な人は必要ない……って言うのは心苦しいけど、仲間にするなら自分達のレベルと合った人にしたい。

 丁度この後迷宮に行くし、腕試しでもさせてもらおうか。


「分かった、僕達はこれから第二迷宮に行くんだ。そこに君にも付いてきて貰って、そこで腕試しをしてもらう。僕が君を見て、クランに入れるか判断する。それでいい?」

「分かりました。よろしくお願いします」


 言いながらペコリと礼をするユーリ。

 どうやら良い子の様だ。

 礼儀・性格は合格かな、今のところは。



 その後僕らはギルドに戻って、ユーリのパーティ加入の手続きを済ました。

 手続き中に、食事処にいた冒険者達がソワソワヒソヒソしていたのが気になったから、早足でギルドを出て転移門へと向かった。

 そして今、例によって順番待ちしている。


「昼間よりは減ったからいいけど……流石冒険者の都市だなあ。転移門も混み混みだ」

「これだけ沢山冒険者がいるのですから、転移門をもう幾つか設置してもいいと思うんですけれどね」

「それなあ~」


 言いながら空を見上げるリューネを横目で見てると、アリュンが口を開く。


「主様は転移門が使用者の魔力を使って稼働している事は知っていますよね?」

「え、ナニソレ」

「……?」


 前の世界では転移の度に魔力ではなくてお金を取られていたから、コッチの世界の転移は無料タダでいいなあなんて思っていが、どうやら違ったらしい。

 魔力を吸われているのか。

 自分で言うのもアレだけど、魔力量が途轍もないため、ちょっとやそっとの減少だとハッキリ言って気がつかない。

 転移で魔力を使ったせいでいざと言う時に魔術が使えない! なんて状態にはならないだろう。


「て、てっきり知っていると思っていましたが……」

「リオンハート様も知らない事があるんですね」

「当たり前じゃん、僕だって人間だし」

「いえ、常識的なことは何でも知っていると思っていましたから……」

「どうして僕はそんなに過大評価されているのだろう」


 でも、知ろうと思えば知ることができる情報だったとは思う。

 僕は基本的に、前の世界と同じ要項、例えば転移門についてだとか、全く同じ魔物等の整体についてはあまり詳しく調べていない。

 知らないことだけを脳に植え付けている。

 転移門も、"お金取られないんだ、ラッキー、タダじゃん"程度のノリで考えていた。

 復習はやっぱり大事なんだな。


「リオンハート様、順番が来ましたよ」


 彼女の言葉を聞いて、門の中心に立つ。

 左にはアリュン、右にはリューネ、その奥には終始無言のユーリ。

 緊張でもしているのだろうか、ギルドでパーティ登録をしてから一言も話していない。

 既に出来上がっている輪の中に入るのだから、無理もない話だけれど。

 て言うか、最初のアリュンが感じ悪すぎたから話そうにも話しづらくなってしまったのではないだろうか?

 後で謝らせよう。


「じゃあ行くよ。転移、『第二迷宮』」

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