七不思議。
2025.4.22
“八番目の那由多”ーー……。
七不思議第八番の男の子。
身長は低めーー150センチくらい。身体は細いかな。
『あの子は地獄耳を持っていて噂をしていると聞かれているから悪い噂はしない方がいい』って言われてる。ーー他の七不思議にも聞かれているかも。
「ーーどうなんだ? 」
「どうって? 」
「……。全部聞こえているのか? だ。聞きたいのは。」
「全部じゃないと思うけどーー……。」
「流石に全部は無理じゃない? 」
「全部聞いて欲しいの? 」
「いやーー全部聞こえていたらーー……。聞こえているのなら、大変だろうなと思った。だけだ。」
「一番さんはやっぱり優しいよね。」
「うん。」
いつも気遣ってくれる、1番目花子さん。お兄さん。 見た目は中高生くらい。
僕のことだけじゃなくて、皆のことを気遣ってくれている。
「何だろうなーーお前を見ていると、こうーー……。頭を撫でても良いか? 」
「えーー? 」
返事をする前にその手は伸びて来て、僕の頭を優しく撫でた。
「ーー確かに僕はまだ小学生か中学生ではあるけど……。」
「なら問題ないな。俺はとっくに高校生だ。超えているかはわからなくなってる……。」
「年齢が分からなくなった? 」
「あぁ……。今は何年何月何日だったか……。」
「貴方はずっと大昔の人のはずですよ……。僕らより前に亡くなられてーー……。」
「あ、兄さん、どうだった? 」
「大丈夫でした。」
「土籠りさんと話し合いだっけ? 」
「はい。承諾していただけました。」
「そうなるとーーあっちの学校、七不思議足りなくなるんじゃない? 」
「はい、なので、貴方が。ーーあ、一番目さんではなくーー君です、二宮くん。」
「え? 僕? ーー那由多くんじゃ駄目? 」
「土籠りさんの所? 良いよ、行って来る。」
「土籠りさんが居なくても大丈夫ですか? 」
「あーー……。」
「やめておけ。お前は自閉症だ。新天地は厳しいだろう……。」
「僕に何して欲しいの? 兄さん? 」
「僕と同じ事を。」
「同じって? 」
「ーーあっちで花子さんをやって下さい。」
「それはーーいいけど、あっちの花子さんは? 」
「大丈夫です。土籠りさんが、『うちの花子はそろそろ卒業させてーー転生させたい。』と言っていたので。」
「代替わりか。」
「二宮くんが居なくなる……。」
「この学校には二宮くんが二人いるんですよ……。」
「花子さんは三人居るよね。」
「居ます。」
「ーー代替わりしても、居着いているよな。」
「那由多は居ないと意味が無いーーと、話の感じではそう思うんだが? どうなんだ? 」
「土籠りさん! 」
「あ、目輝かせてる? 」
「那由多くんって親戚好きだよね。」
「そうか、親戚に転生すればーーしよう……。」
「一番目さんはまだ居て下さい。見届けて欲しい……。」
「見届けて欲しい? 何をだ? 」
「那由多くんの門出を。」
七不思議の第八番目ーーそれを大々的にPRして語り継ぐため、七不思議として確立させるため、そのための門出。
「まだ新しい七不思議の君をーーお母さんと共に七不思議にします。ーーですけど、貴方のお母さん、二番目花子さんは不在なので、僕がそれに。」
「2番目花子さんも、もう有名だもんね。」
「大丈夫か? 」
「大丈夫だとーー……。彼が居るので。僕の弟が。」
「居るけど、居なくなるっていうか、居なくならせるよね? お隣に行かせるって話……。」
「はい。それで良いんです。ーー少しお耳を」
全員耳を近付けた。
「ーーそ、れは……。」
「オカルト、怪談祭りというかーー……。」
「大丈夫なのか? 」
「やばかったら呼びましょう、花子さんを……。」
「あぁ、花子ちゃんに全部投げる……。いつもの兄さんの悪い癖じゃない? 」
「花子には俺もいる。まぁ、やってみろ。」
「一番目さんーーありがとうございます。」
「ーーーーいつも思うが、お前らの会話、こっちでーーうちの学校でやると混乱しそうだな。」
「そちらは七不思議を番号で呼び合うんでしたよね? 」
「あぁ。そうだ。」
「こちらは名前で呼び合うのでーーあ! 」
「何? 」
「あっちでそれは気を付けてーー……。」
「あぁ、うん、気を付けるよ。ーー気を付けるけど、もう兄さんの中で決定事項? 」
「はい。行って来て下さい。」
「……。」
「……。」
「……。」
勿怪たちまで黙ってしまった。
七不思議。
藤棚の君、校舎を歩く霊、音楽室のピアノソナタ、天国へ続く十三階段(願いを叶える十四階段)、体育館に響くボールの音、プールサイドに伸びる手、天井裏に住む花子さんーー名前や場所や内容は変わる事があるけれど、大体これがこの学校の七不思議。
その七不思議に僕ーー八番目の那由多を加えるって話。
藤棚の君は美少年。背が高くてスラッとしていて色白。声も優しくて穏やか。天国に居るみたいな人。 でも、夜中に藤棚に色白の青年霊がボウっと立っているのが見えたらビックリはするから七不思議になってる。
女の子からの恋愛相談とかが多いのが悩みだったりする。
「この学校可笑しいよね。七不思議とか霊が身近過ぎて友達感覚になられているからーー……。」
「そうだね。」
「優しくて美少年だからじゃない? 」
「女の子が集まるのは確かにーーそう……。」
校舎を歩く霊は、母さんの義弟さん。
「那由多! 散歩? 散歩なら一緒にーーどう? 」
「歩くなら学校じゃない所が良いかも……。」
「そっか……。振られちゃったから、三番目花子さんか二宮くんは? 」
「振られた同士で、僕と歩こうよ。」
「ふふ、振ら恋慕……。」
「座布団一枚。」
音楽室のピアノソナタを弾いているのは曾祖父ちゃんーー1番目花子さんや二宮くん達にピアノを教えている時は、習っている人達が弾いてる。
「那由多はピアノを弾かないんだったっけ? 」
「弾けるけどーー……。」
「恥ずかしがり屋なんだよね。」
「あぁ、良かった。連弾が出来る……。さぁ、こっちに来て。次の課題曲なんだ。」
最近転生して子供の姿の曾祖父ちゃんは肉体がある。
天国へ続く十三階段(願いを叶える十四階段)は母さんの妹さんが加護と守護をしてくれている場所。
ーー母さんはここから落ちて死んだ。
先に亡くなってしまった寂しがり屋の義弟さんに落とされて。
二人は死んでも仲が良かった。母さんはちょっと怒ってでも許してたって、1番目花子さんから聞いた。
母さんが死んだーー死因の階段。色んな話が噂や怪談になって、一時期は沢山の人が死んだ。階段の怪談、願いや呪いのせいで……。
それを悲しんだり怒ったりした妹さんが、ここを護ってる。見張ってるくらい。この七不思議が悪いことに使われたり、悪さをしない様に……。
体育館に響くボールの音は母さんのお兄さん。
バスケットボールをよくしているから。
みんな教わりに行くし、遊んで貰う。
気になる学生が居ると、体育館に来るように呼んだりして教えてることもあるから、体育館の囁きって言われてもいる。
アドバイスを貰えるって態々遅くまで残る学生もいるから、先生達からは少し悩まれているけど、アドバイスが良い方向に向かうものだから追い出されたりはしていないよ。
ーー実は引っ越して来てこの小学校が母校じゃないからそれが気にされてるって話もあるけど。
ここが母校の母さんのお兄さんだからって校長先生が話してくれてた。
プールサイドに伸びる手は、実は1番目花子さんの悪戯が始まりとか。
昔話って、違うものになってたりするから、実際の事はわからないし、本人達も記憶が曖昧なんだって。
プールサイドを走っていると、危ないから足を引っ張ってプールの中に入れるんだって。
プールサイドで頭かち割れるよりはマシってさ。
態と走ったりしてると、ちょっとプールの中に入れられる時間が長くなったりするからやめた方が良い。
昔、プールの中にいる1番目花子さんを見付けた子がすごく馬鹿にしたりしたら、怒ってプールに沈められた後に雷を落とされて大変だったって話もあるけど、どこまで本当なのかは、やっぱりわからない。
天井裏に住むっていうのは、昔この学校の最上階に何故かトイレがあって、そこに3番目花子さんが閉じ籠もってたから。
ーー七不思議になってるって噂を聞き付けた双子の弟さんが、最上階にトイレを取り付けてーーっていうか、しっかり作り上げて。だから最上階にトイレがあった。
屋上の所に。
お墓の代わりに、だって。
弟さんが作ってくれたトイレだからってそこに住み着いて引き籠もってたりした3番目花子さん。
1番目花子さんもそうだけど、引き籠もりが多いみたい。花子さんって。母さんは引き籠もってなかったって聞いたけど。男女の差かもって。




