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#6 はじめての休日です

#6 はじめての休日です


4月中旬。

こっちの世界にも慣れ、学校生活も順調に(?)楽しんでいる私。


学校というのは毎週月曜日から金曜日が基本で、

土日祝と呼ばれる日々は休みらしい。

休みの日は学校に行かなくても怒られることはないんだって。それなのに....


「...それなのに、どうしてみんなが一緒にいるの!!」


学校でお友達になった水野さんに誘われて近くの公園で待機していると、

学校で見たことのある男女5人が集まってきたのである。


「こ、ん、に、ち、は、転校生ちゃん...?☆」


山村という男がまた私に声をかける。

っていうかその呼び方やめて。恥ずかしくなるでしょ...?


「す、すみません、お待たせして...」


「それはいいんだけど...何よこれ、学校と一緒じゃない!!」


ええっ、と驚くみんな。


「ご、ごめんなさい...せっかく優衣奈さんと遊ぶのなら

人数が多いほうが楽しいかなーっと思って...」


「そうっすよ。別に学校とか学校じゃないとか関係ないと思うっすよ?」


例の男子少女も言う。

するとそのあと、山村と一緒にいる少年が水野さんに問う。


「あ...ところでその...今日は何を...」


そうね、こんな大人数で一体何をするのかしら...


「...はい?」


この顔は、まったく考えていなかったというような顔だ。


---「ええ?2人だけで遊ぶのは寂しかったから何となくみんなを呼んだ?」


なんでなのよ!お友達になったのは私とあなただけなんだから

別に呼ばなくていいじゃない!


「いやぁ嬉しいなあ。こんな形で転校生ちゃんと一緒に遊べるなんて、ねぇ☆」


私が妖精のままだったら上級魔法で懲らしめてやってるわ。

すると幸佳っていう山村の後ろにいるおとなしい雰囲気の彼女が

何やら小声で言っている。


そのあと山村が声をかける。


「...そうだ、みんな。予定がないなら渋谷に遊びに行かないかい?」


渋谷。

トウキョウの街でも有名な、大きな交差点のある地域(エリア)

商業ビルやゲームセンターなど、この街の学生たちが

遊んだり買い物を楽しんだりする場所のようだ。

...商業ビルって何??


---最寄り駅から渋谷までは電車でおよそ20分。

同じトウキョウでもここはビルも道路も大きくてすごく楽しい...!!


「...優衣奈さん、楽しそうですね...?」


すると隣でホームを歩く水野さんが笑顔でそう言ってくれた。


「渋谷...はじめてだから...」


---そして街のゲームセンター、と呼ばれる施設に突入する。


「...あ、エーテル...」

山村と一緒にいる少年が、透明な箱の中身を見てそう言う。

すると幸佳がさっそくその箱に食いついていた。


「なるほど、幸佳の目的はそれだったんっすね。」

男子少女は笑いながら、腕を後ろに組んでそう言う。


「ね、ねえ、優衣奈さん。これ、一緒に遊びません?!」

そう言って水野さんが指しているのは

見たことのない形の太鼓が2台並んだ、大きなゲーム機だった。


「太鼓でドンドン...人気のゲームっすよ。」


「アンタ、ついて来てたのね、、、」


「アンタってなんっすか。自分は新井美歩っすよ、新井美歩。」

自分の名前(フルネーム)連呼する人はじめて見た!!


「み、美歩...っ!ちょっとこれが何なのかよくわからないから

見本っ、見せないよ!!」


「美歩だけに...っすね?了解!!」


---


そうして水野さんとゲームをはじめる美歩。

その腕はなかなかのものだっただった。


「さ、さすが美歩...負けちゃったぁ。」


なるほど。2台あったのは2人で同時に戦うためなのか。

美歩と一緒に遊んでいた水野さんと交代する。


「あれっ、いいんっすか...自分と交代じゃなくて...」


「今ので何となく分かったから、藍の仇を討ってあげる!!」


「...って、藍って呼ぶなー!!」


---ドドン。

おめでとう、フルコンボだド。


あっさり美歩に勝利する私。


「やったぁ...!」


隣で大喜びする水野さん。

まあこれくらい楽勝なのよね。


「ま、マジっすか...さっきはじめてって...」


「うんっ、けど魔法の練習もタイミングとリズムは大事だったから♪」


「ま、魔法...?練習...?」

あっ、しまった、と口を抑える私。

すると向こうからちょうど山村たちがやってきた。


「おや?3人は太鼓でドンドンを遊んでいたんだねぇ?☆」

そして山村の兄弟少年(?)が画面を見る。


「うわっ...誰か100万点叩き出してる...」


その画面に食いつく幸佳と山村の2人。


「...それ、優衣奈が出したんっすよ。」

美歩が説明する。


「よぉし、僕もやってみようか、な...☆」


「ふふーん?山村、私に勝てると思うわけー?」


バチバチの2人。

そんなわけで太鼓でドンドン対決が始まった。


---ドドン。

惜しい、99万点だド。


「あぁっ...!」


山村は100万点、わずか1万点差で負けてしまった。


「い、今のは練習!!もう一回やるわよ!!」


「分かった分かった。」


---ドドン。

惜しい、99万点だド。


「くぅぅーっ!!」


またしても1万点差。


「もう一回!!」


---ドドン。

98万点だド。


「もう一回!!もう一回、もう一っ...!!!」


「さ、さすがにもう難しいんじゃないか、な...」


周りを見ると、すごい数の人が私と山村の戦いに注目していた。


「な...」


なんでこんなことにーー?!!


----


結局太鼓でドンドン対決は山村に勝てなかった。

いつもの街に戻って最初に集合した公園を歩く。


「ああ、もうっ...!なんでアイツとやるときだけ負けちゃうのよぉ...」


「いやいや、優衣奈も十分すごかったっすよ?!」

私の機嫌を直そうとなだめる美歩。


「でも、あんなに楽しそうにする2人、ちょっと羨ましかったな...」


水野さんとの言葉にええっ?!と顔を赤くする私。

なんで?!私楽しそうだった?!


すると山村がこちらにやってきて言う。


「今日はありがとう、優衣奈ちゃん...☆」

そのまま私の手に小さな人形を乗せる。


「お土産だ、よ☆

また一緒に太鼓でドンドンの対決しようね、それじゃあ。」


そう言ってこちらに手を振る山村。

兄弟少年と幸佳も一緒に夕やけの中に消えていった。


「まったく...山村ってば...」


ぼーっとしていると、途中まで同じ方向の藍と美歩が先に進んでいた。


「ま、待ってよーーっ!!」


夕陽に照らされ2人を追いかける私は、なんだかとっても楽しそうだった...。


続く...


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