↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
劇場版 ブルーストーム 火の翼の台頭  作者: Fawole Oluwaseyi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/39

第39章

「アオイ! ジン先輩!」と叫びながら、ミツルたちが駆け寄ってくる。二人が足場から降り立つと、彼らの顔には安堵の色が広がった。


「うわっ!」ジンが反応する間もなく、ヒカル、ミツル、カズキ、リクヤが彼に抱きつき、その勢いでバランスを崩しそうになる。


「お、おい!」ジンは笑いながら、熱烈なハグに押されまいと踏ん張った。


そのすぐそばでは、アヤネたちがアオイに駆け寄り、彼女を強く抱きしめていた。あたりには笑い声と、安堵のあまり漏れるすすり泣きの声が満ちていた。


「二人とも、すごかったよ!」ミツルは鼻をすすり、頬に涙を伝わせながら言った。


「無事で本当によかった~!」ヒカル、カズキ、リクヤが声を揃えて泣きじゃくる。


ジンは苦笑しながら、彼らの頭を優しく撫でた。「ありがとう、みんな。お前らも無事でよかったよ」


「うわ~ん! アオイ!」アヤネが泣きながら、彼女をきつく抱きしめる。


「よかったぁ~!」サヤカも涙声で言った。


その傍らではイズミ、メイ、シズカも鼻をすすり、こみ上げる涙を必死にこらえていた。


アオイは温かな笑みを浮かべ、瞳を潤ませながら、みんなの抱擁に応えた。


少し離れた場所からは、ライトたちが歩み寄ってきた。その笑顔には、安堵の表情がはっきりと浮かんでいる。


「二人とも、すごかったな」ライトは茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべて言った。


「無事でよかったよ」とルナが言い、兄弟たちも同意するように頷いた。


「本当にそうだね」ヒロがジンに向かって微笑み、その隣にはアヤカが立っていた。


ジンも笑顔を返し、「みんなが無事で、僕も嬉しいよ」と言った。


言葉を終えるか終えないかのうちに、ボルトが突然ジンに飛びかかった。興奮した様子のボルトに地面へ押し倒され、ジンは顔中を熱心に舐め回された。


「おっと、ボルト!」ジンは笑いながら身を守ろうとしたが、その隙にギズモも興奮した鳴き声を上げながらジンの肩へと駆け上がってきた。


「やあ、ボルト、ギズモ!」ジンは笑い声を漏らしながら身を起こし、ボルトの耳の後ろを優しく掻いてやった。「よくやったね、みんな。僕も会えて嬉しいよ」


シンジが前に出ると、ジンの視線はすぐに彼に向けられた。


「おじいちゃん……」ジンが立ち上がろうとしたその時、シンジが歩み寄ってジンの頭を軽く叩き、そのまま力強く抱きしめた。


「二度とあんなふうに心配させるんじゃないぞ、この愚かな孫め」


老人の背中に腕を回しながら、ジンの目には涙が浮かんだ。


「無事でよかったよ、おじいちゃん」


やがて二人は抱擁を解いた。シンジは目元を拭うと、脇へと退いた。


ジンが姿勢を正すと、周囲の人々が自然と道を空け、そこには皆から数メートル離れた場所に立つミソラの姿があった。


彼女の瞳は涙で潤み、唇を震わせながら、両手は体の脇で固く握りしめられていた。


ジンの瞳も揺らぎ、頬にはうっすらと赤みが差す。「なあ、ミソラ」


彼は気まずそうに首の後ろをさすり、一瞬だけ目を閉じた。「よかった……無事で」


ミソラは息を呑んだ。そして、何も言わずに彼のもとへと駆け寄った。


「あの時、本当に怖かったんだから。あんたやみんなが……」


ジンが言い終わるか終わらないかのうちに、ミソラは唇を重ねた。


彼女は両手で彼の頬を包み込み、涙を流しながら情熱的に口づけをした。


周囲は呆気にとられ、沈黙した。中でもアヤネの驚きようは凄まじく、目は虚ろになり、口はあんぐりと開いたまま、指先を落ち着きなくピクピクと動かしていた。


やがてミソラは唇を離し、茶色い前髪を顔にかぶせるようにしてうつむいた。


ジンは頬を赤らめたまま瞬きをし、小さく笑った。「それ、さっきの俺の告白への返事ってこと?」


ミソラは歯ぎしりするように唇を噛み、拳を握りしめると、彼の胸を軽く叩き始めた。


「この大バカ! 馬鹿! 死んじゃったかと思ったんだから! 刺されて……」


涙を流しながら、彼女はしゃくり上げるように声を詰まらせた。「私を置いていっちゃったのかと思った! 思って……!」


怒りの混じった叫びは、やがて震えるような嗚咽へと変わっていった。


ジンの表情が和らぐ。彼は優しく彼女の手首を掴んで自分の方へ引き寄せ、再び口づけを交わした。彼の腕が彼女の腰に回り、しっかりと抱きしめる。


ミソラは目を閉じ、彼に身を預けるようにして、その首に腕を回し、口づけを返した。


しばらくして、二人はゆっくりと顔を離した。息を整えながら、互いの瞳を見つめ合う距離のまま。


「で……」ジンは茶目っ気たっぷりに笑った。「……それって、イエスってこと?」


ミソラは信じられないといった表情を浮かべ、小さく鼻で笑った。「本当に信じられない人ね」と彼女は呟く。


だがジンは、期待に瞳を紅く輝かせながら、ただ彼女を見つめていた。


ミソラの頬がほんのりと赤く染まり、やがてその表情は穏やかな微笑みへと変わった。


「私も愛してるわ、ジン」


ジンの顔がたちまち満面の笑みで輝いた。彼は彼女を強く抱き寄せ、その首筋に顔を埋める。


「愛してるよ、ミソラ」彼はさらに力を込めて彼女を抱きしめた。「本当に、愛してる」


ミソラも微笑みながら、彼を同じように強く抱きしめ返した。「知ってるわ」


数秒後、二人はようやく体を離した。ジンは身を乗り出して彼女の頬に優しくキスをすると、片手でその頬を包み込み、柔らかな笑みを向けた。


ミソラも同じように微笑み返す。そして二人は、仲間たちがいる方へと向き直った。


皆が二人を注目していた。含みのある笑みを浮かべる者、満面の笑みや破顔する者、そして顔を真っ赤にして立ち尽くす者もいた。


ミソラは皆の視線を避けるように頬を赤らめ、ジンはくすりと笑って、再び彼女の肩に腕を回した。


「つまり、二人は正式にカップルってことね」サヤカが腕を組みながらニヤリと笑う。


「やっぱりな」ヒカルとカズキが声を揃えてニヤリとした。


「何かあると思ってたのよ」イズミは顎に指を当て、満足げに笑みを深めた。


「うんうん」シンジも温かい笑みを浮かべ、納得したように頷く。


「姉妹揃って同じ日に告白かぁ」シズカが皆に聞こえる声で言った。「同じ日に結婚したって驚かないかもね」


「ちょ、ちょっと!」リクヤが顔を真っ赤にして抗議する。


「でも、本当のことだしね」ルナがニヤリと笑い、兄弟たちもそれに頷いた。


アヤネは腕を組み、視線を姉とジンの間で行き来させていた。やがて彼女は一歩前に出て、二人の数メートル手前で足を止めた。


「ジン先輩、姉のことを大切にするって約束してくれる?」


ミソラが瞬きをする間に、ジンはゆっくりと抱擁を解き、アヤネの方へと歩み寄った。


数歩先で立ち止まった彼の表情は真剣なものへと変わり、その深紅の瞳には強い決意が宿っていた。


「ああ」彼は体の脇で拳を固く握りしめた。「彼女を大切にすると約束する……俺は彼女を愛しているから」


その言葉にミソラの頬は熱を帯び、胸の鼓動が高鳴った。


アヤネは小さく息を吐き、組んでいた腕を下ろした。「わかったわ」


彼女は体を少しひねり、彼を横目で見やった。「だって、あなたは命を懸けて彼女を……そして私たち全員を救ってくれたんだもの」


一瞬表情を和らげた彼女だったが、すぐに目を細めて彼を見つめた。「全面的に応援するわ」


その瞳に、危険な光が宿る。「……でも、もし彼女を傷つけたり、泣かせたりしたら……たとえほんの少しでも」


彼女はジンを射抜くような鋭い視線を向けた。「……その時は、あなたの剣を奪って、私自身の手であなたを灰にしてあげる」


ジンはふっと息を漏らすように鼻で笑い、自信に満ちた笑みを浮かべた。


「ミソラを傷つけるなんて、考えたこともないよ」彼は振り返って彼女を見た。その深紅の瞳には温かさが満ちていた。


「今生でも来世でも……決してそんなことはしない」


その言葉にミソラの青灰色の瞳が感極まって潤み、胸の奥が温かさで満たされていくのを感じた。


アヤネは小さく鼻で笑うと、背を向けた。「いいわ。それと、勝利おめでとう」


立ち止まったアヤネが肩越しに振り返り、にやりと笑うのをジンは見つめた。


「『炎の少年』って呼んだのは、冗談じゃなかったわよ」


ジンは瞬きをし、それから同じように笑みを浮かべた。アヤネは再び背を向け、仲間たちのいる方へと歩き出した。


「それで、二人の関係を認めたの?」アヤネが近づいてくると、アオイが尋ねた。


「うん」アヤネはため息をついた。「まあ、私が口出しできることでもないしね」


彼女が振り返ると、ちょうどシンジがジンやミソラと楽しげに話しているのが見えた。シンジは満面の笑みを浮かべ、その隣に立つ二人は顔を真っ赤にしていた。


「それに……」アヤネは続けた。「お姉ちゃんだって彼のことが好きなんだから。お姉ちゃんが彼を選んだなら……私も認めるしかないでしょ」


メイはくすりと笑った。「そうだね」


イズミは腕を組み、いたずらっぽい笑みを浮かべた。「それなのに、自分たちの関係については、まだお姉ちゃんの許可をもらってないんじゃない?」


「えっ?」アヤネとリクヤが声を揃えた。


ライトは納得したように頷いた。「リクヤと付き合ってること、まだお姉ちゃんに言ってないだろ?」


アヤネとリクヤの顔は、瞬く間に真っ赤に染まった。


「お、お姉ちゃんはもう、私がリクヤを好きなこと知ってるもん!」アヤネは慌てて言った。


「大丈夫よ」アオイは無表情のまま、淡々と言った。「それに、あなたたちが付き合ってることは、もうお姉ちゃんに伝えてあるから」


「えっ――」リクヤは凍りついた。「待って、何だって?!!」


二人の背後で、ジンとミソラが静かに笑い合った。


その時、地平線に温かな光が広がり始めた。


彼らはそちらを向き、太陽がゆっくりと顔を出すのを見つめた。柔らかな黄金色の光が、「荒野」を包み込んでいく。


ジンは微笑みながらミソラを自分の方へ引き寄せ、その腰に腕を回した。ミソラは穏やかな笑みを浮かべ、そっと彼の肩に頭を預けた。


シンジがジンの反対側に歩み寄り、やがて他の仲間たちも次々と彼らの周りに集まってきた。三人を囲むようにして立ち、彼らは共に日の出を見つめた。


黄金色の太陽が空高く昇っていく。それは新しい時代の幕開け――彼らが激闘の末に勝ち取った勝利から生まれた、新たな始まりだった。


..........................


ジンたちが月森に戻ると、村人たちは彼らの姿を見るやいなや、歓声と喜びの声を上げた。


村の防衛のために残っていた戦士たちと共に、村人たちは彼らを温かく出迎えた。


やがて、皆がそれぞれの作業に取り掛かった。


村人や戦士たちが協力し合い、即座に村の再建と復興が始まった。戦いで負傷した者たちには、休息と回復のための時間が与えられた。


手当てを終えたアオイたちは、アヤカやイズミと共に温泉の女湯へと向かった。


男たちも同様に、治療を受けた後で男湯へと向かった。過酷な戦いを乗り越えた彼らは、湯船でくつろぎながら笑い合い、冗談を言い合っていた。


ヒロとジンが到着すると、彼らの気分はさらに高揚した。二人はすぐにミツルたちに温泉へと引きずり込まれ、からかわれながらも祝福を受けた。


その後、ジンがヒカルにカメラを返すと、金髪の彼は大喜びした。ヒカルはすぐにカメラを使い始め、まるで最初から取り上げられていなかったかのように、村の復興の様子を写真に収めていった。


やがて村と清華寺の復興が十分に整うと、ヒロは正式に月森村の新しい村長に就任した。


その直後、ついに彼とアヤカの結婚式が執り行われた。


同じ日、アオイたちやジン、イズミ、そして三匹の動物(アスト、ボルト、ギズモ)や清月(きよつき)の五つ子たちは、月森村の英雄として正式に称えられた。


村人たちは歓声を上げ、故郷を守るために戦った彼らを祝福する声が辺りに響き渡った。


ルナと兄弟たちは群衆の中に立ち、誇らしげな表情と感動に潤んだ瞳で、その祝賀の光景を見守っていた。


イズミの祖父である長老キヨサダは、誇らしげな表情でイズミと彼女の愛するペットたちを抱きしめ、喜びの涙を浮かべながら、彼らをどれほど誇りに思っているかを語った。


ヒカルたちはすぐに、ジンとシンジの許可を得てスマートフォンを取り出し、この記念すべき瞬間を写真に収め始めた。


ヒカルは並んで立つヒロとアヤカの写真を撮ると、その端末を新婚の二人へと手渡した。


二人はその画像を見つめ、不思議でありながらも魅力的な技術に、明らかに驚嘆していた。


シンジでさえもその端末に心を奪われていた。彼はすぐに端末に入っていたゲームに夢中になり、目を輝かせながら画面をタップし続けた。


かつての老長老がゲームに完全に没頭する姿を目の当たりにし、一同は呆気にとられ、額に汗を浮かべるような思いだった。


二日後、ジンたちは帰路につくための荷物をまとめ、村の門の前に立っていた。


「みんながいなくなると寂しくなるね」シンジは温かい笑みを一行に向けた。「君たち若者がしてくれたこと……そして払ってくれた数々の犠牲に対して、感謝してもしきれないよ」


「大したことじゃないですよ」サヤカはにっこりと笑って、気にする様子もなく手を振った。


「あなたや村の皆さんが無事でいてくれるだけで、私たちは嬉しいんです」シズカも穏やかな笑みを浮かべて付け加えた。


ミソラが一歩前に出て、シンジの前に跪いた。老人はすぐに彼女を温かく抱きしめた。


「孫の人生に関わってくれてありがとう」ゆっくりと抱擁を解きながら、彼は微笑んだ。「外の世界でも、あいつのことを頼むよ」


ミソラは微笑んで頷いた。「約束します、シンジ長老」


シンジはさらに笑みを深めると、ミソラに身を乗り出し、秘密を打ち明けるような小声で囁いた。


「それから、必ずジンと一緒になるんだぞ。お前たちが戻ってくる頃には、少なくとも六人の孫の顔が見たいものだ」


「ろ、六人!?」ミソラは顔を真っ赤にして言葉を詰まらせた。


「おじいちゃん!」ジンもまた、顔を赤らめて抗議の声を上げた。


その傍らでは、アオイ、アヤネ、メイがイズミに歩み寄り、彼女をぎゅっと抱きしめた。


「本当にありがとう、イズミ」抱擁を解きながら、アオイは微笑んだ。


「ええ」アヤネも頷く。「あなたの助けがなければ、何も成し遂げられなかったわ。あなたが作ってくれた武器のおかげよ」


イズミはくすりと笑った。「どういたしまして。役に立ったなら嬉しいわ」彼女の視線はアオイの背負ったリュックへと移った。「少なくとも、あれらは持っていってくれるのね」


アオイはリュックの脇に目をやった。そこには、新たに鍛え上げられた剣が鞘に収まっていた。


「ええ」彼女はそう呟き、イズミの方を振り返った。「でも、外の世界を冒険するというあなたの夢はどうするの?」


「そうよ」アヤネが心配そうに眉を寄せた。「私たちと一緒に来ないの?」


イズミは微笑んだ。「私は大丈夫よ」


彼女は腰に手を当て、自信に満ちた笑みを浮かべた。


「科学者になって外の世界を冒険するという夢を、諦めたわけじゃないわ」


彼女の視線は、背後に集まった村人たちへと向けられた。「でも、この村にはまだ私が必要なの。まずは片付けておかなきゃいけないことがあるから」


メイが優しく微笑んだ。「元気でね、イズミ」


イズミは頷いた。「ええ、もちろん」


メイはボルト、ギズモ、アストのそばにしゃがみ込み、それぞれ優しく頭を撫でた。


「私たちも、みんながいなくなると寂しくなるよ」彼女は微笑んだ。「イズミのことを、よろしくね?」


アストはさえずり、ボルトは吠え、ギズモは元気よく鳴き声を上げて応えた。


ミツルはにやりと笑い、ルナの肩に腕を回した。「自分でも信じられないけど……いろいろと、ありがとな」


「ああ」カズキも笑って頷いた。


「ちょっ、おい!」ルナは頬を赤らめながら、ミツルの腕から逃れようとした。「俺、お前らより年上だってこと、わかってるよな?」


「チッ」ライトが舌打ちをした。「諦めろよ」


少年たちの間に笑い声が広がった。


「不思議だな」リクヤが眼鏡の位置を直した。「最初はあんなに仲が悪かったなんて……」


「ああ」キサラギが頷く。「当時の俺たちは、決して歓迎ムードってわけじゃなかったからな」


「でも、それはもう過去の話だ」ヒカルはポケットに手を突っ込み、不敵な笑みを浮かべた。


ミツルがようやく腕を離すと、ルナは微笑んだ。


「お前らのおかげで、俺たちは自分自身を再発見できたんだ」


彼の視線が女の子たちの方へと移った。「特に、彼女たちのおかげでね」


ルナの言葉に合わせ、ライトたちもそちらへ視線を向けた。


「あの娘たちを怒らせちゃダメだぞ。お前らはラッキーだよ」


ヒカル、ミツル、カズキ、そしてライトの顔が一気に真っ赤に染まった。「え、ええっ?!」


彼らの反応に、ルナはきょとんとした。「いや、友達になれてラッキーだろってこと」彼は無邪気に首をかしげた。「俺、間違ってる?」


「い、いや!」ライトは明らかに動揺しながら言葉を詰まらせた。


司はにやりと笑った。「そうだな。お前ら四人はまだ誰とも付き合ってないんだから、陸也をあまり羨ましがるなよ」


満の目元がピクリと引きつった。「ねえ、今までお前らについて言ったり思ったりしたいいこと、全部撤回するわ」


「えーっ?」光希と高槻が声を揃えて不満げに言った。


仁がヒロと彩花のほうへ歩み寄った。


「本当に『火の翼』はいらないのか?」仁は片眉を上げて尋ねた。「本来なら、里の長に受け継がれるものなんだが……」


ヒロは微笑んで首を横に振った。「いいえ。俺には兄さんの剣のほうが合っていますから」


彼の視線が腰の剣に落ち、懐かしげな笑みを浮かべながら、指先でそっと柄(つか)をなぞった。


やがて彼は、何かを分かっているような笑みを浮かべて仁を振り返った。


「それに、『火の翼』は最初から、月城の血を引く者だけが持つべきものだったんですよ」


彼の笑みが深まる。「だって、仁さん自身がそう言っていたじゃないですか。『剣が人を長にするわけじゃない。心が清らかで誠実なら、誰だって長になれる』って」


仁は一瞬息を呑んだが、やがて温かな笑みを浮かべて頷いた。


そして、視線を彩花に向けた。「彩花もだ。里の長となった今、彼をしっかり支えてやってくれよ」


彩花の頬がたちまち赤く染まった。「は、はい!」


美空がくすりと笑いながら歩み寄り、彩花を抱きしめた。


「本当に、いろいろとありがとうございました、美空さん」抱擁を解きながら、彩花は感謝の笑みを浮かべた。


「いいのよ、そんなこと」美空も微笑み返した。「私こそ、あなたに感謝しなきゃいけないんだから」


彼女の表情が優しく和らいだ。「でも、ようやく一族の願いを叶えて、月森の長になれたのね」


彩花の笑みも、より穏やかなものになった。「ええ……」


彼女の視線がヒロへと向けられた。 「……でも、もう家族のためにやってるわけじゃないの。彼を愛してるから、やってるのよ」


美空は彼女の視線を追い、微笑んだ。「うん」


彩香は茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべて振り返った。「ジンとの関係、うまくいってね。それから、次に帰ってくるときは結婚してなきゃダメだよ~!」


美空は頬を赤らめながら、彩香の腕を軽く小突いた。「……うるさいな」


ミソラがもう一度手を振ってアオイたちの元へ戻っていくのを見て、アヤカはくすりと笑った。


ジンはイズミの方に視線を向けた。「ここでの用事が済んだら、必ず外の世界に出てこいよ?」


「はっ!」イズミはにやりと笑った。「任せとけって。村の『はみ出し者』のお前とは違うんだからな」


「うるさいな!」ジンはたしなめるように言った。


その場にいた全員が笑い声を上げた。


ジンもつられて笑い、やがてその笑みは穏やかなものへと変わっていった。


彼の視線は、目の前に立つ村人たちを巡った。彼らの顔には喜びと悲しみが入り混じり、誰もが別れを惜しんでいる様子だった。


そして、彼の視線は祖父へと向けられた。


シンジは村人たちの中に静かに立っていた。いつもの温和な雰囲気は消え、その表情は厳粛なものになっていた。彼の瞳は感情に揺れていた。


ジンの目元も優しく緩んだ。彼はこみ上げる感情を瞬きで追い払うと、祖父の方へと歩み寄った。


「ほら、じいちゃん」数メートルの距離で立ち止まり、ジンは穏やかな笑みを浮かべた。「悲しまないでよ。この日が来ることは、お互い分かってたはずだろ」


シンジは視線を落とした。「外の世界へ行きたくてたまらなかったお前が言うことか。それはお前の夢であり……もしかしたら、運命なのかもしれんがな」


「もちろん、そうだよ」ジンは苦笑しながら片膝をつき、腕を組んだ。「俺は、この世界のあちこちを旅してみたいんだ」


彼は目を閉じ、決意を込めた笑みを浮かべた。「でも、どこからか始めなきゃいけないだろ? だからこそ、ソウキョシには俺の生活や、俺を待ってくれている仲間がいるんだ」


「だが、あまりにも長い間いなくなってしまうじゃないか、この愚かな孫め!」シンジは声を荒らげた。


「うわっ!」祖父の突然の怒声に、ジンは驚いて身をすくめ、慌てて立ち上がった。


だが、シンジの怒りはすぐに消え失せた。彼は再び視線を落とし、その目元に影を落としながら、羽織の布地をきつく握りしめた。


「お前は三年前、別れの挨拶もなしにこの村を出て行った」彼の声は震えていた。「家族がここで待っていると分かっていながら、無事だという知らせさえよこさなかったんだ」彼は涙に潤んだ目をゆっくりと上げた。「せめて、たまには親父に手紙でも書けよ!」


頬を涙が伝い落ちる中、彼の唇は震えていた。「お前をここへ呼び戻すために、死の床にあるなどと嘘をつかねばならなかった……」


彼の声は途切れがちだった。「……本来なら、こんな事態になるはずではなかったことは、お前が一番よく分かっているはずだ」


ジンの目にも涙が浮かび、唇が震えた。彼は何も言わず膝をつくと、祖父に腕を回し、強く抱きしめた。


シンジは彼にしがみつき、肩を震わせて嗚咽を漏らした。


「何があっても……」彼は涙声で囁いた。「……お前は私の孫だ」


その声は優しく和らいだ。「この村がいつまでもお前の故郷であることを忘れないでくれ。準備ができたら、いつでも戻ってくるんだ……」


彼は抱きしめる力を強めた。「……だが、頼むから、無事でいることだけは知らせてくれ」


ジンが強く抱きしめる中、シンジの肩は震え、二人の頬を涙が伝い落ちていった。


「長い間、心配をかけてごめんね、おじいちゃん」ジンはシンジの肩に手を置いたまま、少し身を引いて囁いた。「戻ったら、必ず毎週手紙を書くよ」


シンジは鼻をすすり、潤んだ瞳のまま言った。「約束か?」


ジンは力強く頷いた。「約束するよ。大切なおじいちゃんだからね」彼は優しく微笑んだ。「でも、自分の体を大切にして、穏やかな暮らしを楽しんでね。村には新しい長がいるんだから、すべてうまくいくよ」


「とんでもない!」シンジは鼻息荒く言い、ジンの額を軽く叩いた。


「痛っ!」ジンは顔をしかめて叩かれた場所をさすった。シンジは視線を落とした。


「まるで、私の命があと数年しかないような言い草だな」彼の表情が和らいだ。「私はまだ、十分には生きていないんだ。お前が故郷に戻りたいと思ったときは、私が真っ先にお前を迎え入れるよ」


ジンは息を呑んだ。


シンジは涙を浮かべながら微笑んだ。「なにしろ、ひ孫の顔を見なきゃいかんからな。だから信じてくれ――私は彼らに会えるまで長生きするつもりだ!」


ジンは感極まって目を潤ませ、再び祖父を強く抱きしめた。 「約束します……」シンジは声を震わせ、すすり泣きながら言った。「たとえ何年経とうとも、僕はいつまでも、ジン王子が戻られるのを待ち続けます」


アヤネ、ヒカル、サヤカ、リクヤの頬を涙が伝い落ちていた。カズキ、ミソラ、シズカは涙がこぼれる前に素早く目元を拭い、アオイ、メイ、ライトは温かく優しい笑みを浮かべてその様子を見守っていた。


やがてジンは立ち上がり、シンジに最後の笑みを向けてから、ヒロの方を向いた。


「それじゃあ……行くよ、ヒロ」と彼は言った。


ヒロは小さく鼻で笑い、ジンから少し顔を背けた。「いい加減、行けよ。お前が夢を追ってる間、この村は俺が守ってやるから」


彼は腰に手を当て、目を閉じた。「少なくとも、お前の尻拭いをしなくて済むようになるんだからな」


からかうような口調とは裏腹に、その声は震えていた。「お前と一緒にいると、ろくなことがない。本当に、厄介な奴だよ」


震える息を吐き出し、彼は再びジンを振り返った。「だから行けよ。ソウキョシで自分の人生を生きるんだ」


ジンの瞳が潤み、目尻に涙が溜まった。


「俺も寂しくなるよ、ヒロ」彼は涙混じりの笑い声を漏らした。


ヒロの唇が震えた。彼もまた瞳に涙をいっぱいに溜め、ジンの方を向いた。


言葉を交わす必要などなかった。


二人の少年は歩み寄り、固く抱き合った。


ヒロの頬を涙が伝い落ち、嗚咽をこらえようとする彼の肩が震えた。


「必ず、また顔を見せに来いよ……」彼はジンを抱きしめる腕に力を込めながら囁いた。「……わかったか?」


ジンは涙を浮かべたまま微笑み、同じように強く彼を抱きしめた。「ああ」その声は穏やかだった。「約束するよ」


二人は数秒間抱き合ったまま過ごし、やがてゆっくりと体を離した。


ジンはヒロの肩に手を置いて優しく叩き、ヒロは必死に気を取り直そうと目元を拭った。


ジンは最後に温かい笑みをヒロに向けると、アヤカの方を向いた。


彼女は迷うことなく歩み寄り、彼を抱きしめた。


「みんなのことを頼むよ、アヤカ」ジンは優しい笑みを浮かべて言った。彩花は涙を頬に伝わせながら頷いた。「任せてね、ジン」


二人は最後に微笑み合いながら、ゆっくりと体を離した。


ジンは優しくアヤカの手を取り、ヒロの隣へと彼女を導いた。


新婚の二人は照れくさそうに視線を交わし、やがて指を絡め合わせた。互いに温かな笑みを浮かべ、頬を赤らめる。


ジンもまた温かい笑みを浮かべて頷き、二人の門出を心から祝福した。


ヒカルは鼻をすすり、目元を素早く拭うと、満面の笑みを浮かべた。


「ねえ、いいこと思いついた!」彼は突然、指を一本立てた。「記念にみんなで集合写真を撮らない?」


アオイはまばたきをした。「全員で?」


「村の人たちも一緒に?」とライトが付け加える。


ヒカルは頷きながら、背負っていたリュックを地面に下ろし、中を探り始めた。


「でも、スマホじゃ村全体は写らないよ」とミツルが指摘する。


「画角に収まらないもんね」とメイも言った。


「大丈夫だよ」ヒカルはリュックの中を探り続けながら請け合った。「僕のカメラを使えばいいんだから……」


探していたものに手が触れると、彼の琥珀色の瞳がぱっと輝いた。「あった!」


得意げな笑みを浮かべてカメラを取り出すと、彼は再びリュックに手を伸ばした。「それから、これも!」


彼はそのアイテムを広げて地面に置き、三本の脚を伸ばした。


「三脚!?」双子や男子たちは、信じられないといった様子で目を丸くした。


ヒカルはさらに笑みを深め、三脚にカメラをセットしてタイマーを合わせた。


「よし! みんな、写真撮るから集まって!」と彼は声を上げた。「全員フレームに収まるには、ぎゅっと固まらないとね!」


すぐにみんながわいわいと笑い合いながら、互いに身を寄せ合って集まった。


「またやるのか」ライトは苦笑した。「まあ、付き合うしかないか」


彼はふと横に目をやり、人だかりに押されて少し居心地悪そうに立っている葵に気づいた。


ライトは手を伸ばして彼女の腰に腕を回し、優しく自分の方へと引き寄せた。


「な、何してるの……?」葵は頬を赤らめながら呟いた。


「いいんだよ」ライトもまた頬をピンク色に染めながら答えた。「別に気にならないから」


葵は不意を突かれて瞬きをしたが、やがて微笑んで、彼に少し身を寄せた。


ライトはさらに顔を赤らめたが、気づかないふりをしてすぐにカメラへと視線を向けた。


「おい、ヒカル!」ミツルがにやりと笑って声を上げた。「こっちに来いよ!」


「カメラマンも一緒に写らなきゃだろ!」リクヤが口元を歪めて付け加えると、アヤネが彼に寄り添いながらピースサインを見せた。


「わかってる、わかってるって! 今行くよ!」ヒカルは急いでみんなの元へ駆け寄り、ちらりと時計に目をやった。


「よし、いくぞ!」彼は声を張り上げた。「みんな、笑って!」


シャッターが切られ、笑い声や笑顔、そして高揚した表情が入り混じった完璧な瞬間が写真に収められた。


ヒカルがシンジたちに写真を渡した後、ジンたちはリュックを背負い直し、村の門へと向かった。


ジンは門をくぐってすぐのところで足を止め、背後の村を振り返った。


葵たちも立ち止まり、自分たちを見送る人々の方を向いた。


ジンの視線が村人たちの上を走った。誇らしげに立つ侍たち、涙ぐみながらの笑顔、そして厳粛な頷き。その隣には「清月(きよつき)」の五人衆、アヤカ、ヒロ、イズミの姿があった……。


そして最後に、祖父のシンジ。老人は彼に向かって温かい笑みを浮かべていた。


すると、まるで無言の合図に動かされたかのように、シンジをはじめ村人全員が膝をつき、深く頭を下げた。


ジンと仲間たちはその場に立ち尽くした。目の前の光景に、彼らは驚きで目を見開いた。


ジンは息を呑んだ。月守(つきもり)の人々が自分たちの前で頭を下げる姿を見つめながら、胸の奥から熱い想いがこみ上げてきた。しばらくして、シンジはゆっくりと顔を上げた。


村人たちは誇らしげに、そして涙ぐみながらも笑顔でジンを見上げ、やがてゆっくりと立ち上がった。


ジンの視線は祖父に向けられたままだった。シンジもまた、温かな笑みを絶やすことなく、ジンの視線を受け止めた。


ジンの唇が震えた。一瞬、こみ上げる感情に飲み込まれそうになる。


だが、やがてその表情は、静かな決意を秘めたものへと変わっていった。


「ナイチンゲール!」


ジン、ミソラ、そして仲間たちは一斉に姿勢を正すと、左手を腰の後ろへ回し、右手を滑らかな弧を描くように胸元へと運ぶ「ナイチンゲール」の正式な敬礼を行った。


ジンは誇らしげに微笑んだ。その瞳には、こぼれ落ちそうな涙が光っていた。


シンジも同じように微笑み返し、心からの想いを込めて、最後にもう一度深く頷いた。


ジンも頷き返し、最後に一度だけ手を振った。アオイたちもそれに続き、村の方を振り返りながら別れの挨拶に手を振る。


シンジや村人たちも手を振り返した。その瞳には悲しみが宿っていたが、顔には明るい笑みが浮かんでいた。


門から遠ざかっていく間も、ジンは手を振り続けた。


その時、ヒロが息を呑むような音を立て、突然走り出した。彼は門の方へと急ぎ、入り口で立ち止まると、遠ざかっていくジンたちの姿を見つめた。


ジンは草に覆われた丘の頂上に着くまで、手を振り続けた。


彼は足を止め、振り返った。ヒロと視線が合う。


ヒロは微笑み、力強く頷いた。


ジンも同じように頷き返し、最後にもう一度微笑んでから、再び仲間たちの元へと戻った。


アオイたちが、近づいてくる彼を見つめていた。


ジンの視線は仲間たちをひと通り見渡し、やがてミソラの上で止まった。


彼女は優しく微笑みかけてくれた。


ジンは頬をわずかに赤らめながら彼女の元へ歩み寄り、その手を取って、優しく指を絡め合わせた。


「みんな」彼は振り返り、一年生たちに声をかけた。「帰ろう」


葵たちは、明るい笑顔と、何かを分かり合っているような含みのある笑みで応えた。


ジンは前を向き、ミソラを隣に従えて歩き出した。他のメンバーもすぐ後ろに続く。


「あーっ!」ミツルは頭の上で大きく背伸びをすると、そのまま両手を後頭部で組んだ。「最高の冒険だったな!」


リクヤは片眉を上げ、ニヤリと笑った。「冒険なんて、あれが最初で最後かもしれないけどな、ミツル」


ミツルはふんと鼻を鳴らした。「それでも楽しかったけどね」


不服そうな彼の顔を見て、メイはくすりと笑った。


「村に着いた時から、あの戦いまで……」サヤカは興奮した様子で拳を握りしめ、にっこりと笑った。「そのすべてが恋しくなりそう」


ヒカルは片眉を上げた。「戦いまで楽しかったのか?」


「俺はごめんだね」ライトが小声で鼻で笑った。


「俺も」「私も」と、カズキとシズカが同調する。


アヤネはサヤカの方をちらりと見た。「それに、自分の『優雅さと美しさ』が崩れるとか、気にしていなかったの?」


サヤカは肩をすくめた。「それは数日前の話よ。それに、あの時解き放った圧倒的な力と引き換えなら、そんなものどうでもいいわ」


アヤネは眉をひそめた。「私たちが経験したあの変身……一体何だったと思う? 突然のパワーアップや、瞳に浮かび上がったあのリングのことよ」


リクヤはアヤネの隣を歩きながら、彼女の手を優しく握り、考え込むように唸った。「さあな」


彼は鼻筋の眼鏡を押し上げた。「まだ謎のままだ」


サヤカはにっこりと笑った。「何だったにせよ、もう一度体験してみたいわね」


彼女は空に向かって素早く二度、パンチを繰り出した。「戦っている時、すごく力がみなぎっているのを感じたの! まるで全身が燃えているみたいだった」


メイの瞳が好奇心で輝いた。「確かにそうね」


ミツルは腕を下ろした。「ああ、でもアオイやジン先輩ほどの威力はないけどな」


彼はくるりと振り返り、アオイを指さして言った。「ていうか、一体どうなってたんだよ!? さっきまで普通に戦ってたのに、急にジン先輩の『炎刃(えんじん)』の技を繰り出すなんてさ! ずるいよ~!」


アオイはまばたきをした。「実は、あれは予定してたわけじゃないの」歩きながら、彼女は視線を落とした。「それに、ジン先輩が炎の力を少し分けてくれたから……。だから、さっきはあんなふうに戦えたのかもしれない」


ライトが頷く。「ああ。それなら説明がつくかもな」


ジンは二人を振り返った。「アオイがどうやって『炎刃』の技を使えたのか、俺にもまだよく分からないんだ」


彼は再び前を向き、ミソラの手を優しく握りしめた。


「まだ分からないことは多いけど……」決意を込めた笑みが彼の顔に広がった。「今はあえて、そのままにしておきたいかな……」


彼は前を見据えた。「……そして、もっと強くなっていきたい」


彼の言葉にみんなの表情が明るくなり、互いにニヤリと笑い合ったり、決意に満ちた笑みを浮かべたりした。


「だね!」サヤカが拳を握りしめて頷いた。


ヒカルはカメラの画像をスクロールしながら、目を輝かせた。


「これが一番のお気に入りかな」


「見せて! 見せて!」アヤネが急いで彼の元へ戻り、肩越しに画面を覗き込んだ。


「わあ、私たち……」彼女は満面の笑みを浮かべた。「みんな、すごくいい感じだね」


ある二人の姿に目が留まると、彼女の瞳がぱっと輝いた。「アオイとライトも、すごくお似合いだね~」


「えっ?!」葵とライトが同時に声を上げた。


「き、気を使っただけだよ!」ライトは頬を赤らめながらしどろもどろに言った。「あの輪の中で、彼女が居心地悪そうにしてたから……」


「そ、そうだね」葵も顔を熱くしながら、素早く頷いた。


ヒカルは片方の眉を上げ、ニヤリと笑みを深めながら、さらに写真をスクロールしていった。


「そういえば、この写真、数日前に俺が撮ったやつを思い出すな」


「え?」葵はまばたきをした。


「どんな写真?」ライトがカメラを覗き込むように身を乗り出した。


「電車の中でのやつだよ」ヒカルは画面をタップし、二人に見せた。


それを見た瞬間、葵とライトの顔は真っ赤に染まった。


その写真には、ライトの肩に頭を預けて穏やかに眠る葵と、彼女の頭にそっと頬を寄せたまま眠ってしまったライトの姿が写っていた。


「すごく可愛いよね~?」アヤネが両手を頬に当てて、うっとりとした声を上げた。


「な、なんでそんなの撮ったんだよ?!」ライトは顔を真っ赤にして声を荒らげた。


ヒカルはただニヤリと笑った。「落ち着けよ。ただ、その瞬間を残しておこうと思っただけさ」


「笑い事じゃないだろ!」ライトは抗議したが、頬の熱さは増すばかりだった。


「わ、私は……結構好きかも……」葵が小さく呟いた。


ライトは驚いて目を見開き、勢いよく彼女の方を振り向いた。


葵はそのまま写真を見つめ続けた。「……なんか、可愛いよね」


彼女はライトを見上げた。「だって、自分がこんなに穏やかに寝てる姿なんて、めったに見られないから」


ライトは彼女を見つめたまま、今聞いた言葉をうまく飲み込めずにいた。


彼はすぐに視線をそらし、両手をポケットに突っ込んだ。


「もういいよ! とっとと帰ろうぜ!」彼はぶっきらぼうに言った。狼狽する彼の姿に他のメンバーがクスクスと笑う中、彼の頬は熱く火照ったままだった。


シズカは、少し前を歩いているジンの方に視線を向けた。


「そういえば、ジン先輩。帰りもあのトンネルを通るんですか? ここに来る時に通った、あのトンネル」


「あの、落ちていった深くて暗いトンネルがある恐ろしい通路のことか?」ミツルは身震いしながら、自分を抱きしめるように腕を組んだ。「勘弁してくれよ」


ジンは彼らを振り返った。「ああ、あっちを通る必要はないよ」


「えっ?」全員が彼の方を向いた。


ジンの深紅の瞳に、茶目っ気のある光が宿る。


「代わりに山の外側を回っていくんだ。それが一番早いルートだからね」


全員が目を見開いた。「はあ?!」


「でも、それが一番早い道だって言ったじゃないか!」ミツルが不満げに声を上げた。


「うん……」ジンは屈託のない笑みを浮かべ、指を折りながら数え始めた。「……つまり、かかる時間は……」


彼は言葉を切り、こう続けた。「……駅に着くまで、たったの3日さ!」


静寂が流れた。


「でも……お前……なんで……?」ミツルは肩を落とし、うなだれた。「お前の村についていくって決めた時には、そんなこと一言も言ってなかっただろ~」


アヤネの眉がピクリと動いた。彼女は目を閉じ、無理やり引きつった笑みを浮かべた。


「リクヤ、今、私の中でいろんな感情が渦巻いてるの」


彼女は不気味なほど愛想の良い笑みを浮かべながら、彼の方を向いた。「ねえ、私を押さえつけてくれない?」


「えっ?」リクヤは瞬きをし、頬を赤らめた。


アヤネのターコイズブルーの瞳がゆっくりと見開かれる。彼女は指の関節を一つずつ鳴らしながら、恐ろしい形相でジンを睨みつけた。


「だって、押さえてくれないと、今ここで誰かを殺しちゃいそうだから!」


彼女は突然、勢いよく飛び出した。


「うわっ、おい!」ジンは悲鳴を上げると、ミソラの手をしっかりと握ったまま、すぐに走り出した。


「うわはは!」ジンは満面の笑みを浮かべて笑った。


彼の隣でミソラも吹き出し、リクヤ、ミツル、ヒカルの三人は、怒り狂うアヤネを必死になだめようとした。


「戻ってきなさい、この役立たずの二股野郎!」アヤネは彼らの制止を振り切ろうと暴れながら叫んだ。「あんたについて言ったいいことなんて、全部撤回してやるから!」


彼女の瞳は怒りで真っ白に染まった。「それに、私のお姉ちゃんから手を離して! この関係を、私は正式に認めないから!」


「また始まった」メイは面白そうに微笑みながら、呆れたように首を振った。


アオイ、サヤカ、シズカもその光景を見て笑った。


「やれやれ……」カズキは首を振りながら呟いた。


ライトは小さく息を吐き、口元にわずかな笑みを浮かべた。


アヤネはなおも男子たちに押さえつけられながら暴れ続けた。「このクソガキ……!」彼女は逃げていく二人を激しく指差した。「戻ってきなさい、炎の野郎!!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。